術暦(1)
B.C. 21年 再生主降臨
B.C. 2年 計画開始
術暦1年 戦国時代の終結
術暦21年 『生贄柱』の破棄
術暦480年 対を成す双子が誕生
術暦500年 計画中止
術暦541年 人類の全盛期の終焉を迎える。
術暦587年 人類滅亡
術暦600年 再生主再臨
術暦601年 以後の歴史は白紙
上記の内容を記した紙が一つ
そして、紙の周囲の空間はその紙に記された世界とは変わってしまっている。
その紙の上で踊らされ続けた人間という存在にとっては、想像もつかない秩序で構成されている。
「なんだこれ?」
一つの存在がその紙を拾う。だが、拾うという定義に当てはまる行動ではない
その紙を魔術で認識しているだけだ。
その紙に意思があるから人間はそれを読み取る。
一定の線の羅列が言葉として意味を成す。そしてその言葉を一定のパターンでさらに特定させられる意思へと変化するように
「わからん。恐らく何かを記した者には間違いないだろうが」
もう一つの存在が意思を他者へと伝える。
「何かって何だよ?てかさ、俺はこの手のジャンルは苦手分野なんだけど」
「ああ、お前は字の解読は苦手分野だったな。大丈夫だ。私はこの手の暗号は得意分野だ。」
「さっすがー。頼りになるぜ!」
暗号。それはすなわち線の羅列となった言葉に過ぎないというのに
だが、そこにいる存在は言葉を知らないが故にただの線の羅列にしか見えない。
だから、ただの暗号という定義に成り下がってしまう。
「・・・術暦?」
「どうしたんだ?」
「いや、見た事も無いパターンの暗号があったものだからな」
「へーえらく珍しいな。解読できないなんて」
「術暦・・・どういう意味を持つんだ?この場合は暦というパターンを重視して年号の一種であると認識して良いのか?」
「独り言つぶやくなつーの」
長い間停止し続ける空間で、その存在はただその羅列を見続けていた。
一つの言葉にも多くの意思の集合体がその奥にある
その事を未だ知らずに
―――
私は思う。
いずれにせよ、全ての真実を封じられたこの空間では知りえない事
この二つの存在が知りえる領域には無い。
長い長い間人々が告がせ続けて辿り着いたその真実への歴史書。
・・・まずは双子の話から始めようか。
私の名か?名乗ってもいいが、またの機会にしよう。