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3.魔術講座と魔力操作

 その後、俺は城の一室を与えられ、そこで休むことになった。明日からは戦闘訓練、魔術訓練やこの世界についての講義を受けることになるらしい。

 まあ、常識や戦う術はある程度持っておかなければならないだろうしな。


 魔術に関しては魔力が少なくても、各属性に対する適性や魔力操作の技術を身につければ使えるとのことであった。……適性、あるといいな。


 途中で思い出してルルに夢のことを話したが、全く心当たりはないと言われてしまった。ただ、見た目はルルと瓜二つだし、召喚に関係しないということはないだろうと思っている。とりあえずそのことは後回しで、当面はここでこの世界で生き残る術を身につけねばならないだろう。

 とにかく今日はもう疲れた。俺は明日に備えて眠りについた。





 ーーーーーーーーーーーーーーー





 翌日、今俺は、この世界の常識や簡単な歴史、魔術などの座学をルルに机を挟んで教わっている。たまに分かりやすい図を書いて説明してくれるのでとても分かりやすい。


 なぜ一国の王女さまであるルルに直接教わっているかというと、単純にルルがトップクラスの魔術師だからである。今回の勇者召喚もルルが中心になって行われたそうだ。知識も豊富であり、その上剣術も相当なレベルで扱えるそうだ。ルルは恐ろしいほどの天才なのである。


「つまり、魔術とは術者の具体的なイメージが重要なのです。ここまでで何か質問はありませんか?」


「ああ、なんとか大丈夫だ」


 魔術に関しては俺が過去読んだファンタジー小説などと似ていて、というかほぼ同じ感じのものですんなりと理解できた。ただ、世界的にトップクラスの人の授業とかマジ緊張するんだけど……


 通貨はゴールド。

 ちなみに全て硬貨で、鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨という感じだ。


 この国の歴史についてはそのうち説明する事にしよう。


「魔術には、基本的に知られているものには詠唱が存在します。詠唱とは、使う魔術のイメージを固め、魔力を魔術に対応する形にします」


「魔力を形に?」


「はい。詠唱とは簡単に言うと魔力の型です。詠唱し、魔力を練ることで魔力を変質させ各属性の魔術を発動させるのです。ただ各属性に対する適性によって、消費する魔力やそもそも使えるかも変わってきます」


 適性次第ならもう魔術に関しては持ってなかったら終わりだな。


「そして魔力の形を記憶し、魔力操作で変質させて魔術を使う技術を無詠唱と言います」


 やっぱり無詠唱があるんだな。大体無詠唱は高等テクニックで発動速度が速くて便利だったりするんだよな。


「無詠唱は発動速度が速く、声を出すことが出来ない状況でも使えたりなどのメリットがあります。しかし、使用には高い魔力操作の技術と魔術の熟練度、想像力(イメージ)が大切になります。ここまでで質問はございますか?」


「無詠唱のデメリットはあるのか?」


「無詠唱にデメリットはほとんどございません。せいぜい威力が若干下がり、使用魔力が気持ち増えるくらいでしょうか」


 無詠唱強くね?俺が知ってるのだともうちょいデメリットがあったりするんだけど。


「しかし、先程も言ったように簡単ではないし、ある程度イメージする集中力が必要です。戦闘中にそちらに意識を裂きながら行うのも危険な行為です。口で言うほど容易ではないのが現実なのです」


 なるほどね。確かに他に意識を裂きながら戦うのは危険だし、熟練度も必要だ。メリットは大きいけどそこにたどり着くまでにそれ相応の努力があるってわけか。


「それでは魔術を使うために魔力を操作する技術を身につけましょう。まずは私が実践しますね」


 そう言って立ち上がるとルルは瞳を閉じた。するとルルの体の周りを淡い光が包んだ。


「これが意識を集中させ魔力を発した状態です。そしてこれがーーー」


 今度はルルの右手だけを光が包んだ。


「ーーー魔力を操作して、一部だけに纏わせた状態です」


 そしてルルが瞳を開け、右手を包む光が消えた。


「これが自分の意志で魔力を感じ、動かすということです。やはりこれもイメージが大切なので魔力の存在を意識して行うとやりやすいと思います」


 そしてルルは今度は俺の番だと言い、椅子に座った。


「えーっと、具体的にどうすれば……」


「とにかく自分の中に魔力があることを意識して感じるのです」


 ここにきて説明がかなり感覚的になった。もしかしたら考えるな、感じるんだ的なものじゃないと説明できない領域なのかもしれない。


 とりあえず実践するために俺は立ち上がり目を瞑った。まずは体の中に意識を向けてみる。

 うーん、これか?体の中に”なにか”の存在を感じる。さっきのルルから感じたものに近い気がする。多分これが魔力だろう。

 次に魔力の移動を意識してみる。とりあえず開始点を胸の辺りに意識して、右肩、肘、手首、掌というようにゆっくりと意識していった。



 そして目を開く。すると少し驚いた表情のルルがいた。


「どうだった?何かまずかったかな?自分的には出来てたような気がするんだけど……」


「あ、いえ、むしろ完璧でしたよ!そのことに少し驚いただけで、初めての場合普通は存在の認知に多少時間がかかり、そこから動かすのには人にもよりますがさらなる時間かかるもので……。それにレン様は初めてのはずなのに魔力の揺らぎもほとんどなくてとても静かで美しい魔力の動きでした」


「そ、そっか。上手く出来てたんなら良かったよ」


 少し心配だったが褒められて良かった。これすら無理だったらもう魔術は絶望的だったからな。とはいってもまだ適性を見てないからなんとも言えないけど。


「ルル、魔術の適性はどうやって見るんだ?」


「あ、はい。それ専用の魔道具がありますのでこれから適性を見ましょう。ご案内します」


 そういってルルは俺を先導し歩き始めた。


 このときルルは蓮が思ったよりも内心とても驚いていた。

(あの魔力の揺らぎのないスムーズな動き。初めてなら誰だって魔力の動きは相当ぎこちないものになるはずなのですが……)


 ルルの内心の驚愕など知らず俺はルルの案内に素直に従って行くのだった。

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