10.模擬戦にて 〜ルルの実力〜
久々の投稿になってすみません。
午前の座学、昼食を終え午後、俺、ルル、エレナ、ルークさん、そして国王様も含めた5人でいつもの練兵場にやって来た。
エレナはルルが言っていたように怪我をした場合の治療、ルークさんは審判、国王様は見学だそうだ。
ちなみに公務の方はいいのかと聞いたら模擬戦を見るために午前中に急いで終わらせたらしい。国王様も自分の目で成長具合を見たかったそうだ。
「模擬戦も訓練用の剣を使うんだよな?」
練兵場に着くなり一応ルルに確認をする。
訓練用の剣は刃を丸めてあるので殺傷性が抑えてある。故に訓練に使用されるのは基本的には訓練用だ。それでも立派な鈍器にはなるので気を付けなければいけないが、直撃して斬り飛ばされるのと骨を叩き折られるのでは大きな違いだ。いや、どっちもヤバいな、やっぱり。
とにかく模擬戦ということなのでてっきりいつものだと思っていたのだが……
「いえ、普通の剣を使いますよ?」
「え?」
「だって訓練用と普通の物では感覚に差が出てしまいますし、そもそもそのためにエレナを呼んだのですよ?」
と、何を当たり前のことをという感じで軽く返された。
「え、でももしものこととか、剣が直撃したらーーーー」
「大丈夫です。私も気を付けますし、何度も言うようにエレナもいますから」
「オーケー、怪我でも何でも来やがれってんだ!ボクに任せときゃ飛んでった腕でも頭でもあっという間にくっ付けちゃうぜ?」
そんなルルにこちらを見ながらいい笑顔でサムズアップするエレナ。とりあえず俺はエレナに向かって、
「いや、頭は死んでるから」
と、諦めのため息を吐きながら冷静なツッコミを入れるのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
諦めて刃ある剣を使うことにした俺はいつも使っている訓練用の剣と同じタイプの剣を選ぶ。
対してルルは少し細身の剣だ。俺の知っている剣の種類だとレイピアなんかが近いのだろうか。まあ、あまり詳しく無いのでよく分からんけどね。
「それではルールを確認します。これはまず無いと思いますが、相手を死に至らしめることは禁止です。勝敗は相手が降参、または私が勝負ありと判断した場合に決まります。魔術、魔法の使用は自由です。それではどちらも頑張って下さい」
練兵場で少し距離を置いて向かい合った俺とルルの間でルークさんがルールの確認をする。
「レン様はこういった勝敗のある試合は初めてだと聞きましたが、レン様の実力をしっかり見極めながら勝たせていただきます。私も幼い頃から剣を振っているだけあってそう簡単に負けるわけにはいかないので」
「お手柔らかに頼むよ」
そんな会話をしてお互いに構える。
俺はいつものように左足を少し前にして少し腰を落とし、右手に持った剣は下に構え左手は柄頭に軽く添える。この構えは、ルークさんに最初の訓練の時に構えやすいように構えろと言われたので、アニメのキャラとかがやっていそうなものをやってみてやり易かったのでそのままにしているものだ。つまりほぼ我流。もしくはアニメ流。なんだそりゃ。
対してルルは剣を持つ右手を前に半身の姿勢。足は軽く開いた状態だ。
正直すごく様になっている。こんな事を言ったら失礼かもしれないが前に剣を扱えると聞いても全然イメージ出来なかったので、やはり魔術特化で接近されたら剣を牽制に使うとかそんな感じだと勝手に思っていた。
しかし、いざ構えて正面に対峙されるとルークさんにも感じるような迫力がある。
まあそれでも俺もそれなりには頑張って来たんだ。勝ちにいく。
「それでは……始め!」
ルークさんの合図の直後、俺はルルに向かって駆け出した。そして走った勢いを乗せた横薙ぎの一撃。
それをルルは危なげなく軽いステップで躱す。そのまま連続で斬撃を繰り出すがどれもまた躱されるか、剣で勢いを受け流された。
一旦息を整えるため下がる。
「はあ、はあ、全然当たらねぇ……」
「レン様は剣筋がだいぶ素直ですね。ですから読みやすい部類です」
開始早々連続攻撃で息の上がる俺。それに対しその攻撃をすべて完璧に捌き息一つ乱れていないルル。この時点で彼我の実力差は歴然。
てか、読みやすいのかよ俺の剣……。
「それでは今度は私から行きます!」
そしてルルは左足を前に出し、剣を胸の高さで水平にして後ろに引く。おそらく突きの姿勢だ。
「ッ⁉︎」
突如悪寒を感じた俺は身を横に逸らす。すると俺の目の前には鈍く光る剣の刃。それが頰を少し掠めている。
痛みを感じるより先に体を逸らした勢いで地面を転がり、立ち上がるなり全力で後ろに跳び距離を取る。今度は鼻先数センチを剣が通り過ぎる。
「最初の突きで決めるつもりだったのですが、二撃とも躱されるとは思っていませんでした」
剣を構え直しながら少し驚いた様子のルルがそんな事を言う。
驚いたのはこっちだよ!ビックリしたよ!なんだよさっきの!速すぎるわ!
それでも反射的に躱した俺に自分で更にビックリ。ほんとよく躱したよ。
「ていうかあれ食らったら死なねぇか⁉︎顔掠ったんだけど⁉︎」
「大丈夫ですよ。ちゃんと即死しないようにしてますし、なりよりエレナもいますから」
エレナ推し凄すぎるだろ。それにちゃんと即死しないようにって、ほっといたら死ぬ攻撃って事じゃね?めっちゃ痛いんじゃね?
「それではここからは軽く<身体強化>をかけてやっていきますか」
焦る俺にそんな事を言い出すルル。
「いや、待って、それもう無理だから⁉︎マジ死ぬから⁉︎」
「やめません」
ルルさん、めっさいい笑顔です。
チクショー、こうなったら腹を括るしかない。
剣の技量では勝てない。魔術でも勝てない。魔法に至ってはそもそも使えない。
なら、どうするか。気合いで切り抜けるしかない。とにかく集中して、ルルの動きを見て、捌く。躱す。それぐらいしか思い付かない。なら、やってやる。
そう思考を切り替えた瞬間、俺の髪を撫でた風の音が、やけに遠く感じた。




