9.魔力操作の可能性
丸太置き場に突っ込んだ日から数日、午後の訓練が終わってからは毎日エレナの監視付きで自主訓練をしている。
流石に宮廷魔術師というだけあって魔術に関してのアドバイスも的確で、色々と実践的な方向で魔術の練習ができた。
そして、魔力操作の練習にもより力を入れ始めた。
この前に俺が吹き飛んだ理由は魔力の制御の失敗による暴走、その結果による爆発のせいだった。
魔力操作や魔術の練度にもよるらしいのだが魔力を操作し魔術を発動する行為にはもちろん集中することが大切なのだが、何らかの理由により集中を乱し、制御に失敗するとこの前のようなことになるらしい。あの時俺は魔術を発動するタイミングで話しかけて来たルルに反応してしまった。その結果の爆発である。
戦闘中に魔術の発動だけに集中することはそうそうできることではないだろう。つまり、またあんな目に合わないようにするためには魔力操作を完璧にすることと、魔術の練度を上げることが必要なのだ。
そして俺は魔力のイメージにとても依存する性質に目をつけた。2回目に<気弾>を発動するとき、俺は回転する弾丸をイメージした。その結果、特に形など具体的なイメージを持たずに発動した1回目に比べて強い威力を発揮した。
その時俺は思ったのだ。魔力を操作するときにもっと明確な形や動きをイメージすればその通りに魔力は変化するのではないかと。
早速、掌に魔力を集めながらボールをイメージしたらできてしまった。そしてこれをもっと色々な形に変化させたりする練習を始めた。
それがここ数日の魔力操作の練習の内容だ。
そしてもう1つ目をつけた点がある。それは俺を吹き飛ばした魔力の爆発だ。
話は少し変わるが、別に<気弾>などの魔術は掌からでなくとも発射できる。掌から発射することがイメージしやすかっただけで、自分の周囲から好きな方向に向けて発射することは可能なのだ。
そして魔力は制御を誤ると爆発する。
もし、これを自分の踏み込みのタイミングで足の裏で爆発を起こすことが出来たら高速移動ができるのではないかと考えた。
こちらも思いついてから早速試してみたがなかなか制御が難しい。そもそも足の裏で一度制御をわざと崩し、爆発させているので、その加減が特に難しい。あと体への衝撃がすごい。まあ足の裏で小規模な爆発が起きているのだから仕方がないのだが。他にも急激に上がる速度への対応や、姿勢制御など、課題は多い。これもまた地道に練習を続けていくしかないだろう。
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「模擬戦をしてみませんか?」
ある日の朝食の席、ルルが唐突にそんなことを聞いて来た。
「え、模擬戦て、なんで?」
「私は訓練の方は見ていないので今のレン殿の様子がきになってしまいまして」
「いや、急に言われても……」
「あ、ルーク副団長の方には伝えておきましたので、模擬戦は午後の時間を使ってもいいそうです。それに、怪我などに関してもエレナを呼びましたので大丈夫です」
「でも、エレナも急に呼ばれたら困るんじゃ……」
「エレナは楽しみにしているようでしたよ?」
エレナ……。エレナの楽しそうに答える様子が目に浮かぶ。やらざるを得なくね?この状況。
「まあ、分かったよ。けどあんま期待しないでくれよ?まだまだ大した成長したとは言えないと思うし」
「いえ、副団長からは順調に成長していると聞いていますよ」
「儂もそのように聞いているぞ」
会話の行方を見守っていた国王様もルルに続いて会話に入って来た。
「レン殿はもう少し自信を持っても良いのではないか?副団長が褒めているということはしっかり成長していることが見えるということだ」
「そうですよ。レン殿は自信をもっと持っていいと思います。座学の方もとても飲み込みが早いと思います」
そんな風に2人は褒めてくれるが自分で実感が持てない以上よく分からない。
ルークさんとは訓練をしているが、あれは模擬戦というより稽古で勝ち負けがはっきりあるようなものではない。つまりこれからやる予定になったルルとの模擬戦は初のしっかりとした戦いということになると思う。
午後にやることになった模擬戦について考えながら午前の座学を受けたのだった。




