式典祭・壱
街は年末年始よりも賑わいがある。昼間だというのに酒場には人がひっきりなしに入り、店はバーゲンを行い、店を持たない行商の者は役所に書類を出して出店を広げている。
当然人が集まれば揉め事も起きる。城下街ではいつもの三倍の兵が警備と巡回に走っており、対応にあたっている。
俺は手すりに肘をかけて体を預けるとテラスから街を眺めている。すると後ろに来る人がいる。フワッと抱きしめられて、柔らかい双丘が背中に当たる。
「クレアか」
「はい!お久しぶりです」
俺の横に回ってきて 俺と同じように街を見て、
「……ここは街が一望できるのですね」
「ああ。街の、民の声が聞こえる俺が王として一番好きな場所だ。立派な玉座よりも、忙しい執務室よりも、ここのほうが王として役割を果たせているのがよくわかる」
俺は街の行き交う人々を眺めながら口にする。ここからでは表情は見えないが声は確かに聞こえるのだ。
「王として、ですか」
「ああ。個人的には風呂かベッドが一番いい。くつろげる」
そう言うとクレアは拗ねたような表情を浮かべて、
「そこは、クレアの傍が一番いい、とおっしゃってくださると期待していたのですが」
妻になる者としての矜持か、拗ねて俺の腕に抱きついてくる。意識的か無意識かはわからないが胸の谷間に腕が当てられる。
「クレア」
そこに第三者の冷たい声が届く。二人して振り返るとそこにいたのはレイラ。浅葱色の髪が少し浮き上がるかのように揺れていて、群青色の瞳には怒りの色が見える。
「は、は、は、はい」
狼狽したクレアが震えながら返事すると、
「陛下の一番は私、ですよ?」
俺は怒っているレイラの前に行くとキュッと抱きしめて、
「威嚇しないの。正妻はレイラで一番なんだから余裕を持ってないと」
「そうじゃないですー。拗ねてませんし、怒ってません」
そういう口調は明らかに拗ねている。数日前からクレアが城に来たことで俺と二人っきりになれる時間が減ったことで少しばかり機嫌を損ねている。
「やれやれ……これじゃ安心して背中を預けられないな」
俺が呆れたように笑うと、
「ええっ!?だ、大丈夫ですよ!陛下の背中は公私で私が支えますから」
慌てたレイラが俺の胸の中で拳を作ると胸板をポカポカ叩く。
「……私はどう反応するのが正解なのかなぁ……」
後ろでクレアが呆れ困って佇んでいた。
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馬に引かれた移動式の舞台の上では管楽が流れている。通りに出ている屋台などでは飲食品は飛ぶように売れて、どの店も客の出入りは途切れることなく続いている。
その屋台ではある金券でも食べ物が買える。その金券は下層街に配布された施物だ。
『下層街の者に銅貨二枚分の金券を配る。公費負担で店や屋台では現金扱いとして、式典の後に役所に持って届ければ現金と交換する』
俺が式典の一月前から取り組んでいた公共事業の一つだ。目的は下層街の住民把握。仕事をしている者は何らかの協会に所属しており、所属に当たって書類の提出がある。
名前や住居の他に家族構成などの記入も必要でこれによりどの都市も住民数の把握している。
だが下層街には働いていない者、もしくは協会を通さない仕事をしている者がおり、実人口の把握が端まで届いていない。
ちなみに上層街と中層街の子供達にも銅貨一枚分のチケットを配ってあり、子供は街の屋台を楽しんでいるだろう。
なので俺は今回金券を使って下層街の人口把握の一手を打った。住民登録をした者には一人一人金券を配布して、家族がいる者には全員来てもらっている。病床や高齢、負傷などで動けない者の場合のみ兵が直接自宅に行く対応を命じてある。
また立て札を立てたところで文字の読めない者もいるため、兵の口頭による説明も路上で何度もしてもらった。
小狡い者は複数回住民登録をして金券を掠めようとしたが、残念ながら登録時に真偽玉と呼ばれる水晶魔道具を使っているので嘘は通らない。
この真偽玉はアンリ先王の作った魔道具で捕虜の尋問用に作られた物が裁判やこういったことに転用されて多くの場所で使われている。
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俺はお忍びで街を歩いている。護衛は陰から見ているギルドットだ。どこにいるかわからないし、視線を感じないから本当にいるのかわからないが建物の陰に隠れて名前を呼ぶとどこからともなく現れる。
俺の目的地は中層街にある国立孤児保護院。この祝喜典に合わせて開院し、午後から始めた開院式にはレイラを派遣した。王妃として祝辞を述べてもらい、慈愛の王妃のイメージを付けさせる。
俺はと言えばクレアとの結婚式や式典の準備と打ち合わせに時間を割いた。しかし俺は式典の言葉も結婚式の言葉も考えてあり、衣装もレイラとの式で使った物をそのまま。
結果として時間を存分に余らせてしまい、街を見に来る俺だったのだ。どうせ上層街は後日馬車で練り歩かされるのだからと中層街を選んだ、とも言える。
俺が孤児保護院に着くと開院式は終わっていてちょうどレイラの馬車が表から出て行くところだった。
俺はソッと隠れてやり過ごすから保護院の中に入る。ここでは俺を王と知る者もお忍びとわかっているので国政調査員シュウ・ナゥリバーとして扱ってくれる、ただし凄いVIP扱いなのは変わらない。
と言っても知るのは院長と副院長の二人のみで他の者は国政調査員でここの院長と同権同責を持つ責任者であるという認識でいてもらっている。
ホールに入ると俺の姿を見つけたのか院長、ミトラ・サズトゥルがすぐに挨拶に来る。
サズトゥルは元は行政執行局執務長補佐という肩書きで内政で何か行うときの実行部隊の指揮官の補佐、ナンバーツーだった。新法施行を臣民に知らせたり今回の金券配布を行ったりなどの実働部隊を仕切っていた。
現場での高い指揮力とリーダーシップ、部下への指導力を俺は高く評価して抜擢した。
まだ三十になったばかりだが切れ味抜群の判断力のあるナイスガイで内政官の割りにはいい体躯をしている。
ちなみに種族は海洋人テンタクラス、イカの魚人だ。といっても何かヌルヌルしてるわけでもないし、手足が触手というわけでもない。
たぶん戦闘形態になれば話は別だが。
「これはこれは。ナゥリバー様。直々のお出まし、ありがとうございます」
「私の管轄ですから。不足事はありますか?」
俺が尋ねるとサズトゥルは首を横に振り、
「何もございません。経験ある職員をいただけたことで初日でも大きなトラブルはなく、今日からの式典祭にはそれぞれが子供達を引率して中層階と上層街を回る予定になっております」
俺は満足と頷く。
「それはよかった。私も幾人か推薦させてもらった甲斐があったというものです」
正確にはミックに頼んで国政調査員に潰れそうな教会を見つけさせて、吸収合併したに過ぎないのだがな。そして書類審査で何人かは推薦状を書いたのは事実だ。
「子供達には金券を配ってくれましたかな?」
「ええ。子供達は陛下の慈悲深さに大層喜び、感謝の言葉を口々にしておりました」
そこまで言われるとくすぐったいがおそらく実際は「新しい王様はお金の替わりになる券をくれたからいい王様」という認識レベルだろう。
「褒めても大人にはやらんぞ?あくまでも子供に……」
と言ったところで頭に何かが当たった。そこまで硬くはないし重さもないがそこそこの勢いで飛んできたそれは床に落ちた。
表面に布が張ってある丈夫な蔦で編んだボール、ハニカム構造はどこも綺麗な六角形で作られている。手作りの物と市販の物があり、だいたいの家には子供のおもちゃとしておいてある。
それを拾いに来た者を見たサズトゥル一気に怒りの表情になり静かに怒声を出す。
「テオ・ドゥアレス、何をしている?」
まだ若い、成人になったくらいの男はしまったなぁと言うような表情で、
「ケルカとリアンが取り合いをしていてファリナが止めようとはしてくれたのですが喧嘩になって、それをフェノが俺に伝えて喧嘩の仲裁をしたら拗ねたケルカがボールを蹴っ飛ばしたらこちらの方に当たりました」
頼りなさげに笑ってから俺に向くと、
「えっと、なんかすみません」
たぶん彼は悪くないがなんだか真剣味に欠ける雰囲気がある。たぶんヘラッと笑っているのがダメなんだろう。しかし、
「大丈夫ですよ」
「いやー、よかった。お客様に怪我でもあったら俺クビでしたよ」
カラッと明るく笑い俺の手を勝手に取るとブンブン上下に振る。俺は呆気にとられながらも、
「ええ、うん、まぁ」
曖昧に笑って手を解いた。
「テオ・ドゥアレス、この方はシュウ・ナゥリバー様という方で私が以前説明したな?」
ドゥアレスは少し思い出すかのように考え込んでから、
「ああ、院長と同じ権限のある国政調査員さんでここの責任者ですよね?こんな若い方だったんですか」
なんとなくドゥアレスは頭がよくなさそうだと認識し始める。
「驚きですよ、俺より少し上でしょ?凄いなぁ」
「テオ・ドゥアレス、子供達はいいのかね?」
ケラケラ笑うドゥアレスにサズトゥルは怒りを込めてそう言うと、
「あ、いっけねぇ。喧嘩も止まったしあの子ら連れて祭りに行ってきますよ」
と翻して走って行った。
「申し訳ありません。愚直でいい加減な男故、不作法ご無礼致しました」
「いや、かまわんが彼の前歴は?」
「はぁ、なんでも街で仕事を探していただけの若者で田舎で農夫だったそうですが何か?」
「いや、なんでもない」
俺はそう言いながらも内心では驚く。田舎で農夫をしていただけの男が子供達の名前をさらっと言えるほどに覚えている。もしかしたら彼は優秀な人材なのかもしれない。
「少し様子を見に来ただけでな。サズトゥルも職務に戻ってくれ」
サズトゥルが一礼して事務室の方に向かっていた。
俺はドゥアレスが消えていった扉を眺めていると扉がふたたび開く。中から出てきたのは子供達に手を引かれた少女だった。周りにも三人、衛星のように周りにいる。
「ほらー、早く行こうよ」
「ねーねー、走って走って」
十歳かそれより少し下ほどの子供に両手を引かれている少女は足を止めて子供達を並ばせた。それから藍色のワンピースをパンと払い、少し顔を厳しくして、
「今日からは祭りで人が多いから走りません。それにお祭りは逃げないから大丈夫です。ちゃんと約束を守れる人だけ連れていきます。約束できますか?」
そんな口約束など役に立つかは知らないが子供達は一斉に手を挙げて気のいい返事をする。
俺はそんな子供達を見てぷっと吹き出してしまい、少女はこちらに気付いた。俺の顔を見て表情が一転し明るく笑い俺の方に駆け寄ってくる。その途中で怒っていたところを見られたことを理解して照れて、
「こ、こんにちは」
「どうも、カトレアさん」
俺が笑いかけるとカトレアは益々照れて赤くなる。
「少し時間ができたので様子を見に来たんですよ」
「そ、そうなんですか。院長からシュウさんがここの責任者って聞いて驚きました」
慌ててるような困ってるような声を出しながらもカトレアは笑っている。
「なんだかそういうことになりまして」
俺も笑っていると先ほどカトレアが連れていた子供達も寄ってくる。カトレアのいた教会の子供ではなく初めて見る顔だ。どの子も女の子で年は下は八歳くらい、上は十二、三歳といった感じだ。
その年上らしき子が興味を持ったのか、俺を上から下まで見て、
「このお兄さんは誰?カトレアさんの彼氏?」
ストレートな一言。カトレアはその言葉に慌てふためく。
「いや、そんな関係じゃなくてね、うん、そうね、なんて言ったらいいか、えっと、うーん、お、恩人、かな?」
ほぉ、そう思っているのか。
「どうも、お嬢さん。シュウ・ナゥリバー、ただの国政調査員ですよ」
俺は少しおどけたように挨拶して、腰を折り頭を垂れる。すると、
「私はミスリラ。お兄さん、面白ーい。ねぇねぇ、一緒にお祭り行こうよ?」
ミスリラは兎の耳を曲げ伸ばししながら俺の手を引っ張る。俺は時間はどうだったかなと腕時計を気にしてから、
「……うーん、少しだけですよ?」
俺は悩んでから了承する。たぶん二時間程度なら遊んでても問題ないだろう。
苦笑いで了承した俺に子供達はぴょこぴょこ跳ねて喜ぶ。知らない人がついて来てもいいのか、人さらいに遭っちゃうぞ……。
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先に俺は外に出て路地裏に入るとギルドットに二時間程度遊ぶことを伝えるとギルドットは苦笑いを浮かべて、
「右様にお伝えしておきます」
と言って姿を消した。
俺が通りに出るとカトレアと子供達がちょうど出てきていた。その後ろには先ほどのテオ・ドゥアレスが男の子達を連れて出てきていた。
「あれ?ナゥリバーさん、どうしたんです?」
俺を見るとヘラッと笑っていて凄く軽薄に感じる。先ほどは感心したというのに残念感が漂う。
カトレアは俺を見つけると子供を連れて寄ってきて、
「さぁ、行きましょ」
「そうですね」
俺とカトレアが子供を挟んで歩き出すと後ろ駆け寄ってきたドゥアレスが、
「あ、あれ?二人はどういった関係で?」
デシャヴな質問に俺は苦笑いを浮かべてから、
「私が国政調査員としてカトレアさんのいた教会を訪ねてここの職員にならないか話を持ちかけた、という関係ですが?」
「そう、ですね。私からすれば恩人です」
カトレアもニコニコと笑って答える。すると、
「そーなんですかぁ。もしかして一緒に行くとか、ですか?」
「そう、ですが何か?」
ドゥアレスは俺とカトレアを交互に見て苦い雰囲気で俺とカトレアに尋ねて、カトレアは笑顔で嬉しそうに答える。
「じゃぁ、俺達も一緒に、いいですか?」
何故だか同行人が増えた。
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大通りに出ると商店からの出店や屋台、的屋もある。
「いやー、賑やかですね」
「そうですね。見たいお店があったら言ってね」
カトレアは俺と話しながらも子供達に目を配らせている。小さい子が駆け出そうとするが俺やカトレア、もしくは大きい子が手をつないでいるのではぐれることはない。
「……なんなんだよ-。あっち行こうぜ?」
すぐ後ろではドゥアレスが引き連れてる男の子集団がいるが子供達はなんだか不満そうだ。
ものすごく視線を感じる。
俺は子供と街の様子を見ながら散策する気持ちで歩く。なんだかカトレアから視線を向けられているがどうしたのか。
「あー、あのお店見たい!」
子供の一人が声を上げてその視線の先を見ると輝石のアクセサリーを扱う露店がある。中層街に店を出すと言うことはおそらく修行中の若手か一見ではわからない傷物や訳あり品なのだろう。
子供とはいえ女の子、やはりヒカリモノが好きなのはどの世界でも変わらないらしい。
お店の前でしゃがみ込んでキラキラと光る石にキラキラした視線を注ぐ。
「うー、これ欲しいなぁ」
「私はこれかなぁ」
値段を見ると小銅貨五枚均一、そして看板には名前と出身が書いてありおそらく名前を売り出しにしている若手なのだろう。
「どーだい、嬢ちゃん達。どれも俺の作ったやつだけど皆が買ってくれるなら少しサービスするぜ?」
そういうと女の子は五人共が一つずつ選び、小銅貨一枚分を値引いてくれる。
子供達は嬉しそうにしているがカトレアは店主から品を預かり、
「落としちゃいけないから私が預かります。院に帰ったら返します」
そう言って鞄にしまう。女の子達は少し不服そうな顔をしたが年長の子の、
「落として無くすよりはいいわよね」
の一言で納得したようだった。
また通りを歩いて行くと酒場や飲食店の並ぶ辺りに出る。この辺りは食べ物が多くいい匂いがする。その中で大きな喧伝が聞こえる。
「さぁどうだい、どうだい!力自慢はいないかね?腕相撲に勝てばラバドエラ産エール小樽を一樽、挑戦料はたったの銅貨五枚!魔力を使ったってかまわないさ!」
ラバドエラといえばエールの名産地でうまい酒で小樽一樽でも小銀貨三枚ほどするはず。たまには部下に酒をご馳走するのも悪くない、はずだ。
俺はそう思って、
「少しだけいいですか?」
空いている手でその喧伝の聞こえた方を指さす。
「同僚と吞みたいので」
「あ、はい」
カトレアは少し驚いた様子で俺の行動を見た。俺は子供をカトレアの手につながせて喧伝に近づく。
俺が見えたのか酒場の前で喧伝していた男がこう言った。
「おっ?兄ちゃん、挑戦かい?」
「ああ」
銅貨を五枚出して樽の上に置く。横にある木製の机の向こうには二メートルほどはありそうな筋骨隆々の巨漢が小さそうな椅子に座っている。
「おー!!さっきは魔物狩りの兄ちゃんがギリギリ負け!その前は休みの番兵さんが挑戦したがダメだった!だが新たな挑戦者だ!今度は細っこい兄ちゃんだが大丈夫か!?」
周りからは野太い声が上がり「兄ちゃん、大丈夫かよっ!?」「ボザレ!腕ごといっちまえ!」などが飛び交い横ではどちらが勝つか賭けまでされてる。
おそらく腕相撲より賭けの方で儲けているのだろう。まぁこれはこれで祭りらしくていい。
「兄ちゃん、名前いいかい?」
「国政調査員のナゥリバーだ」
たぶんプロレスのようにコールするためだろう。
名前を聞いた男は周囲に通る声で煽り立てるように言う。
「現在朝から十九連勝負けなしのボザレ!魔物狩りの中でもパワーのある狩人で有名だ!そして対する細っこい兄ちゃんはナゥリバー!なんと国政調査員さんが挑戦だぁ!」
煽るような言葉にボルテージが上がる。野太いヤジや声援の中に、
「シュウさん!頑張って!」
カトレアの声が聞こえた。男はボザレと俺の手を組み合わせて上に手を置くと笑い、
「アレは彼女かな?彼女にいいとこ見せたいよね?頑張って、色男!レディ、……ファイトッ!!」
俺は瞬時に腕全体を魔力で強化、度合いはトライメタル級。押し返すと言うより場所の維持のために腕を固定しようとする。このボザレがどの程度かわからない分、ある程度は力を出さなくてはとしたものの、
(あ、あれ?)
思ったより弱い。たぶんシルバーの上位レベルだ。俺は強化の度合いを少しずつ下げていく。
「おおっと!?ボザレは疲れが出たのかなかなか押し切れない!ナゥリバー、チャンスか!?」
顔を真っ赤にして力を込めているボザレだが俺の力には遠く及ばない。少し力を込めて押すとボザレの腕は机に近付いていく。そして何の苦もなく、
「勝者……ナゥリバー!!国政調査員さんが涼しい顔で勝利だぁぁぁ!!!!」
俺は男に腕を掴まれてボクサーの勝者のように手を挙げさせられる。
横では俺にかけていた物は相当少なかったらしく、勝った方はほくほく顔で金を分配していた。
「じゃ、エールは国政調査員室のシュウ・ナゥリバー宛てで王城に届けてください」
俺は男にそう告げて立ち去る。そしてカトレアたちと合流する。
「す、凄いんですね」
「お兄さん、強ーい」
「お兄ちゃん、凄ーい」
カトレアと子供達が褒めてくれるが、
「たぶん国政調査員なら勝てる相手ですね。国政調査員は調査以外にも武働きがありますから」
さらっといた言葉に周りはどよめきを隠せずにいた。
右直属部隊の一つである国政調査局、実働部隊の調査員は時に犯罪組織にもメスを入れるので腕利きが揃っているのは事実だ。
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