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メイドとの問答

 アンリ前陛下より王位を受け継いでから俺がまず行ったのは治安改善と雇用問題、生産向上のために一つ。

 聖魔光王国首都ダサルベルクからほど近い場所に広大な農場を作る計画を出した。

 ダサルベルク城下街は四層の壁に囲まれている。王城を守るためにある城壁。城壁と第一壁の間にある上層街、貴族や将帥、豪商などが住む富裕層の街。第一壁と第二壁の間にある中層街、富裕層には及ばないが王都における平均的な生活水準の街だ。そして第二壁と第三壁の間にある下層街。十六ある大通りとその周辺は中層街にも劣らないほどに活気があり、治安も比較的高い。


 視察した折に中層街と下層街の一部の地区における犯罪率の高さと治安の低さが目立った。いわゆるスラム街である。大通りや門から離れたような不便な地域は地価も安く、人も寄りつかないためスラムや不労者の集まる所となっていったのだろう。

 そこの住人は仕事がなく仕方なく不労者となった者も数多くいる。かといってモンスターを狩るハンターとしてやっていくにはスキルや魔力、年齢などにより能力に適性がなく、一般的な仕事を得るには学がない。


 その者達のために寮付きの国営農場を一から作る仕事を作り与えた。

 さらにこの農場で働いてる間に読み書き計算も学ばせたり、農場経営者の就職紹介や自営自立の支援も行えるように内務卿指揮下の内政執務室に草案を出すように命じた。


 もう一つは各都市における教育機関の設立を提案した。現在は貴族や商人といった金のあるものしか通えない魔法学校や軍学校、メイドになるための家政学校は存在する。

 しかし庶民にはそんな学費を払う余裕もなく、教育を施されないまま社会に出る者も多い。それがスラムがで来てしまう理由の一つでもあると考えた。


 だから俺は10歳までに読み書き計算の基礎を憶えさせる初等学校と11歳以上が通える農業や建築、事務、鍛冶など一般的な仕事に就けるための職業訓練校を各都市に作る計画を立案した。

 初等学校は家庭状況を考慮して全額免除から全額負担まで、収入に応じて一割幅で免除の額を設定させる。

 講師は現役で働く者の中から公募し、希望者から選定した者を税による雇用、軍人とも政務官とも似て非なる公務員を組織立てた。


 そして最後に、俺自身の親征だ。

 前線基地に出向いて防衛に加わりつつ、停戦交渉、合わせて周辺国との国交を作る。

 最大のネックは神蒼帝国が話を聞くかどうかだが、いざとなれば物理的な交渉をやるつもりだ。


 創造魔法、好魔素体質、受け継いだインフィニスト、この三つを組み合わせて魔法の実験をした。

 その結果、見たことある場所への転移移動が出来たり亜空間に数百メートル級の岩山一つを収納できたり、それを材料に2000人規模が生活できる石造りの寮が三秒で出来上がったりとぶっ壊れた性能になっていた。


-----


 今日は国営農場で就労したいと城下広場に集まった800人の希望者と警備や生産状態の把握など、また寮の管理を任せるための100人の軍人と内務官、メイドを大量の馬車で送り届けてから執務室に戻ってきた。


 王の執務室もこれまた豪華で補佐官にはシュレリアともう一人、レイラという女性が加わった。

 レイラはアドウェネドとフロミラの娘で、歳は17。両親や祖父母のように王を補佐する者としての教育を幼少からたたき込まれており、俺がやりたいことを提案すると、シュレリアと共に手段や方法のよき相談相手となってくれている。


 俺の机には数枚の決裁書類だけがあって、俺が椅子に座ると紅茶を出された。

 ミルクと砂糖を多めに入れて混ぜながら書類に印を捺す。

「陛下、お疲れ様でした。本日の政務は以上でございます」 


 書類を受け取ったレイラは目を通してから、俺に笑顔を向けた。シュレリアは手帳を取り出すと、

「陛下、明日のご予定ですが……」

 と明日の予定を伝えてくる。

 まだ戴冠して10日ほどしか経っておらず、戴冠を祝うために首都や貴族領の貴族や大都市を任せている太守やその名代の謁見対応、午後は決裁書類との戦いと俺が立案したことの実行のために視察や外出をしまくっている。

 もちろん、明日もそんな感じの一日だ。


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 全てを終えて自室に戻ろうと執務室を出るとイゾルデが二歩後ろに控えてついてくる。

 自室前に着くと警備の兵に手で挨拶をし、兵士は俺に頭を垂れてから扉を開けた。


 中はいつも通り綺麗に整っており、イゾルデとアゼリアの仕事っぷりがよくわかる。

「陛下、本日もお疲れ様でした。お食事はいつお持ちいたしましょうか?」 

「うん、先に少し汗を流したいから湯の準備をお願いします。それから食事を」


 王となっても丁寧語はまだ抜けず、シュレリアやレイラ、メイドのアゼリアやイゾルデにもこの口調のままで、それを知ったカルトバウスらには「陛下なのですから命令口調になされたほうが……」と苦言を呈されたのは数日前。


 イゾルデが湯の準備に風呂の方へと行ってからノックの音がした。

 返事をしたらアゼリアだったので入るように言う。

「陛下、失礼いたします」


 彼女はワゴンを押していて俺の服や果物のたぐい、それと香を乗せていた。

 香はこの国の上流層富裕層には当たり前の物で、一級品や新作ともなると流行り出すものもある。そして城には一流の職人が王城専属で雇われていて高官や将軍格の者らはこぞって発注するほどだ。


「本日の香は深夜の草原に咲く月鈴花をイメージした香りでサノラ匠の新作でございます」

 アゼリアはベッド脇にある小棚の上に藍色の皿を置くと円錐状の香を皿に乗せて魔法で小さな炎を出すと火を付けた。


 そして衣類の片付けが終わる頃に風呂場の方からイゾルデが戻ってきた。

「陛下、お湯の準備ができました。どうぞ、おくつろぎくださいませ」

 着替えやタオル、石鹸を受け取り風呂に入った。


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 俺が風呂から上がり、短い休息の後に食事をしてからベッドの方に向かう。すると寝具を改めて整え直していたアゼリアとイゾルデが小さな声で何事か話していた。

 俺に気づくと少しばつの悪そうな顔をしてベッド脇に並ぶと直立不動になり、顔には緊張が見える。


「二人してどうかしましたか?」

 俺は椅子に座ってから声をかけると二人とも気まずそうなまま、目線を交わす。それからアゼリアが、

「陛下におかれましては、こちらに来られてから毎日勉学に励まれ、王位を継承されてからも毎日軍臣民がためと御政務に励まれておいでです」


 俺は何事かと様子を見ながら話の続きを待つ。イゾルデは顔を真っ赤にしながら、

「そ、それで、その、ほ、本日より陛下のお夜伽を仰せつかりました。も、もちろん陛下が私たちでは不満だとおっしゃいましたら、すぐにでも別の者がお相手致します」


 俺はほんの少しの間、何を言われたか理解するのに時間を要した。

 アゼリアの方を見ると先ほどまでは我慢できていたのか、今は両頬を朱に染めていた。


「えーと……だ、誰の指示かな?詳しく、ね?」

 二人はたじろいで目で会話をする。俺が交互に彼女らの顔を見ていると、

「カルトバウス様が陛下に見合う王妃となられる方の選定が終わるまでの間、不釣り合いな身でこざいますが陛下をお慰み申し上げます」


 俺は唖然としてから、

「あー、えー、っと……、二人は納得してるのかな?」

「も、もちろんでごじゃ……ございます」

「この身をもって陛下に誠心誠意、ご奉仕させていただきます」

 イゾルデは顔を赤くしたまま、少し怪しい呂律で返事をし、アゼリアは目を閉じて頬と首筋を染める。


 イゾルデは服の上からではわからないものの、スレンダーな美人で、柔らかそうな唇や肌は瑞々しさを持っている。

 アゼリアも歩くだけで揺れるほどの巨乳と薄い唇は相まって少女でありながら欲情をかき立てる色気を持つ。


 思わず息か唾液かわからない物を飲み込み、のどが鳴る。


 手を出してもいいのか。いや、出していいとこれほどの女性から言ってくれている。

 俺は本能的に伸びそうになる手を自制して、

「俺は不義理なことは好まない。もし、心のどこかに命令だからという気持ちがあるならば……俺はしない。恋人や想い人がいるならば……正直に答えて欲しい」


 と俺は二人に告げる。すると二人は小首をかしげてから、アゼリアは事もなげに、イゾルデは頭の花までが赤に染まって、

「私達は望んで陛下の元に参りました。陛下の専属メイドは独身で恋人もない処女でなければならず、この身は陛下に捧げる所存です」

「そ、それに、陛下の専属メイドに希望した者は多く、容姿や技能の長けた者しかなれず、名誉で誉れになります」


 俺は困った顔を浮かべることしかできなくなり、観念の一歩手前になる。

「俺は何というか……そういうことは恋人や夫婦でやることであって、王だから、誉れだからとかそういうのは意として欲しくない。……簡単に言うと、女の子が好きでもない男に体を許すのはよろしくないと思う」


「……陛下、ご無礼をよろしいでしょうか?」

 少しの沈黙の後にアゼリアが口を開き、俺は頷く。

「陛下は城内外でどのものにも隔たりなく優しく、口を開けば民の、それも最下の下々を優先する。身を詐り、城下の者らに話しかけ、必要な施しを探しながら笑顔を向けられる。そのような陛下を毎日見ていて、私は身分の違いを感じながらも、憚りながら懸想しております」

 アゼリアは俺と目が合うと目線を急いでそらし、イゾルデに向ける。


「わ、私だって。陛下のこと、大好きです。毎日、仕事の終わりには必ず褒めてくださり、笑顔を見せてくださります。私のようなメイドが話すことを喜んで聞いてくださります。私はそんな陛下をお慕いしております」

 イゾルデも普段俺と接する口調から崩れたる直したりしながら想いを口にした。


 ……二人は仕事ではなく、女として俺に抱かれたいということか……。ならば、拒否することはない。それに、これほどの美女を抱けるなら男として冥利に尽きる。

 俺はベッドに二人を呼んだ。

【Heroine Profile】


アゼリア・フォーカス

半蛇ピンクラミアー族

プレート・レッド

161cm・56kg・16歳

B93W61H80・Gカップ

髪 ・腰までのストレート(仕事中はポニーテール)

髪色・ピンク

瞳 ・深紅

職業・城中メイド

ラミアー族は魔力や得意属性で色が変わり、腰回りの鱗に出ます


誤字脱字がありましたらご指摘の程お願いいたします

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