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こっちもオコ、なのです!

 二人で風呂に入ってと汗などを流すと二人でソファーに座っていた。


「クレア、事後になってすまないが俺と結婚してください」

 俺はクレアの目を見てからそう言って頭を下げた。

「も、もちろん。喜んでお受けいたしま…」

 とクレアが喜声をあげるのを我慢しながら返事をしてくれたときにノックの音がされた。


 許可もなく開けられて入ってきたのは、

「失礼します。二点ご報告……を……。……」

 俺の私室にはレイラは返事を待たずして入っていいことになっているので入ってきたようなのだが、俺とクレアの雰囲気を読み取り、そして表でも聞いているのだろう。


 ニッコリと笑って、

「……」

 小さく小首をかしげて、

「……あなた様、クレア、少々お話よろしいですね?」

 レイラから放たれる怒気は俺の生きてきた中で二番目に怖いものになった。


 レイラはクレアとは反対側、俺の左に座ると俺を上目遣いで睨み付ける。目線からするに相当お怒りだと察した。

 レイラに睨まれている俺は取り繕うわけにもいかずクレアに手を出したことを謝ろうとしたが、

「クレア、どういうことかしら?」

「あは、は……レイラさん、私正式に側室にしていただけることになりました。先ほどその話を……」


 先に口を開いたレイラにクレアが睨まれて汗を流しながらそう言うと、

「そう……私が怒ってるのはそこじゃないのよ?」

「えーと……執務サボって、ごめんなさい」

 俺が素直に謝るとクレアは困り顔になり、レイラは違うと首を振る。


「私が怒ってるのは……」

 書類を机に置くとレイラは俺の首に腕を巻き付ける。そして顔を真ん前まで寄せて、

「……最近、忙しくて私としてないのに……クレアにだけなんて……」

 あ、レイラの変なスイッチ入った。告白時にも言っていた面倒なところ、独占欲が強く甘え癖がある。


「えーと、だな……」

 俺が説明しようとしたがレイラの口は俺よりも早く動く。

「あなた様のお嫁さんは誰ですか?私ですよ?一番可愛がってくれないとイヤです……」

 口調が砕けて拗ねてしまった。頬を膨らませているレイラの頭を撫でる。


「あ-、執務は……」

「八割以上終わってるし、実質明日でも問題ない状態って知ってるわよ?孤児院の方も順調にロイド君の捜査とカルトバウス大臣の精査が進んでるわ。私の方は予定規模の土地があるかどうか、調べてるわ。あとグレナルドさんの下につける候補達としてのリストとあの子が通っていた士官生学校の視察予定の報告があったけど夜でいいわよね?」

 レイラはかなり早口にそう言って期待する目を俺に向ける。


「あー……うん……はい」

 俺が観念して笑い顔で両手をあげる。レイラは俺の降参、納得を得たとキスをねだる。

 甘えん坊なレイラに一度目は軽く、二度目は長めに。

「……プァ……どうする?」


 レイラは俺ではなくクレアに視線を向けていた。俺とレイラのキスを見ていたクレアは顔を赤くしていたが、

「あ……う……わ、わた、私は……」

 クレアの視線はかなり泳いでいる。そして俺は部屋の中に視線を迷わせながら少し考えて、

「……ちょっといいかな?レイラとクレアってどんな関係?クレアはレイラをさん付けで呼んでるよね?」


 普通なら王妃様や左殿、左様と呼ばれるのだがクレアは一貫してさん付け。幼馴染みのシュレリアさんはレイラと互いにレイラ、リアと呼び合う仲だ。

「ふふ、ジルノイヤー家も社交会には必ず顔を出すからリアも私もクレアとは小さい頃から知ってるの。だから側室がクレアならいいかなぁって」


 以前のレイラの言葉に少し引っかかることがあって俺はレイラを問いただした。

「だからレイラはエルフ公国の宰相の娘の時に激しく反対したのか」

「う……よく憶えてるのね……。それは、私だって……好きな人が別の子を正妻にするのはイヤだったし……なれるなら私がって思ってたし……」


 俺の首に回していた腕を離して、レイラは深く腰掛けると指先を合わせたり離したりしながらそっぽを向いて照れていた。

「レイラ、こっち向いて」

 俺はレイラがこちらを向くと頬に手を当ててキスをする。ネットリと下を絡めて、そして音を立てて唾液を混じらせ合う。


「ふふ……」

 キスが終わった後にレイラは満足げな顔をする。

 レイラは不意に立ちあがると一度部屋を出ると表の二人に何事か伝える。そして二人の足音が遠ざかっていく。

 レイラはこちらに戻ってくると、

「今日の執務、終わりにしておいたわ。ロイド君にはアゼリアに伝えるようにあっておいたし、夕食はこちらから取りに行くと言っておいたわ。」


 そしてレイラは俺の手を取るとベッドの方に誘う。チラリとクレアの方を見て、

「んー……クレアはどうする?」

 引っ張られるままにベッドの側まで来てクレアの方を見るとクレアの方は顔を赤くしつつも、

「……私も……もっと……」


 クレアはソファーから立ちあがると俺とレイラの側まで来る。

 そして俺とクレアの痕を三人で見て、

「……変えるか」

「そう、ね」

「うぅー……」

 比較的冷静な俺とレイラに比べてクレアだけは顔を真っ赤にして両手で覆っていた。


 俺とレイラがササッとシーツや汚れたタオルを中表に丸めて予備から綺麗な物を出してベッドメイキングをする。するとレイラは俺の手を必要とせず、手早くシーツを交換する。

「レイラ、意外と手慣れているんだな」

「ふふっ。専任のメイドがいなくても私一人でも王の公私にわたって補助ができるように教育受けてましたから。右や左の候補達は幼い頃から訓練を受けているんですよ」


 レイラは手際よくベッドを整えると俺に抱きついてベッドに押し倒した。そしてそこにクレアも加わると、

「あなた様、今日は覚悟してくださいね?」

「しゅーいちさん、私もたくさん可愛がって欲しい、です」

 二人して女の顔をして俺を挟むようにして左右に寝転ぶ。


「もちろん、私が先ですよね?」

「え?レイラさん、それはしゅーいちさんが選ぶんですよね?」

 レイラはやや圧のある声室で、クレアは少し媚びるような甘えた声で、俺を求める。


「クレア、あなたはさっきしてもらったんでしょ?私は……してもらってないんだから……」

 モジモジとするレイラは俺に期待を込めた視線を向けてくる。

「えーと……」


 俺は曖昧な笑顔を作って贅沢な選択をどうするか、悩み始めた。

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