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オコ、なのです!

 二人を部屋から追い出したクレアは俺の隣に座り、襟の辺りを掴むと胸に顔を押し当ててきた。

「陛下、私は凄く怒っています。ジルノイヤー家の諜報員だってかなりいるんです。私が陛下にお目かけいただいてからは、より備に陛下の情報は集めております。……なんで無茶をするのですか?」


 だんだん泣いているような声になり、シャツを掴む手が震えている。

「陛下だから心配してるんじゃありません。好きな人が危ないことをして、毒を盛られて、襲われて、私がどんな気持ちになったか、おわかりですか?」


「……すまない」

「すまない、の一言じゃすみません!私だけじゃない、レイラさんだって、あのメイドの子二人だって、陛下だから心配してるんじゃないのです!あなたが好きだから、心配しているのです!」

 感情的な声を上げて顔を見せたクレアの目には大粒の涙が浮かび、そして溢れた滴は珠となって落ちていく。それなのに俺を見ることはやめない。


 あの時、アゼリアは俺のために戦闘形態になったが日頃から訓練をしているわけではないため魔力を酷使してかなりの無理をしていたらしい。帰路の間、俺には見せなかったが王都に帰り着いてから一日半、寝たきりになったそうだ。

 俺をどれ程心配していたか、レイラもクレアもアゼリアもイゾルデも……。


 俺は微かに震える腕でそっとクレアの体を抱く。胸板にクレアの顔が当たり、熱を帯びた涙が熱い。

「……ごめん……レイラにも同じ事怒られてる。王としての自覚だけでなく夫としての自覚も足りないってね」

 我ながら情けない声が出る。クレアも俺もそれ以上の言葉はなく、俺の胸の中でクレアは少しの間震えてから、

「……もう、大丈夫です」


 そっと離すとクレアは少しいじけたような、何か言いたそうで言い出せない。顔にはそう書いてある。

「……もう一つ……」

 しばらく待つとクレアの口から言葉がこぼれ落ちる。

「……っとも……しています……」


「何だ?」

「妻でも婚約者でも愛妾でもない、そんな女に好きな人が襲われたんです……」

 プクッと頬を膨らませたクレアに優しくキスをした。唐突にしたのでクレアの方は先ほどまでとは違う理由で顔を赤くし、

「今……」


 俺が話した唇に指を震わせながら当てている。

「うん。初めてクレアにキスしたよ?」

 俺が陛下ではなく俺の顔で笑ってみせる。クレアは今までに見せたことのない笑みを浮かべる。

「……嬉しい……です。メイドの子にも色々したというのに……」

「クレア、思った以上に可愛いことを言うのだな?正妻のレイラはともかく、メイド二人に俺が手をつけていることに嫉妬していたのか」


 俺はクレアをソファーに押し倒して柔らかく長い髪に振れる。そしてその間から姿を見せている形のいい三角の耳にも触れていく。

「あ、陛下……くすぐったい、です……」

「今は陛下ではないよ?」


 クレアは俺にされるままソファーに寝ていて可愛らしく見上げる瞳は潤み、何か期待しているかのようだ。

「獣人の娘に手を出すときはあることがしたいと思っていた」

 クレアの目が点になり、小首をかしげた。俺はそんなクレアに口角の上がった笑みを見せて、

「モフモフの耳と尻尾を堪能したい、とね」


 俺は素早くクレアの頭部を逃げられないように片手で押さえると口を寄せて薄く毛のある耳の尖端を唇で食む。さらにもう片方の手はクレアの腰に伸びてふわふわの尻尾を柔らかく撫で触る。

「あ、あぅ、へい、か……」

 頬を紅潮させクレアは息を荒げる。俺の手が尻尾の付け根に届くと体を震わせ、俺の服を掴み少しばかり背中を浮かす。


「だから、今は陛下じゃないって。二人の時の呼び方で、ね?」

 俺が耳から口を離して頼むようにいうと、また頬を膨らませてからまなじりを緩ませて甘えるような声で、

「しゅーいちさん」

 耳に届く甘い声、耳を食むと何度でも聞かせてくれる。


「しゅーいちさん、しゅーいちさん」

 クレアの方から抱きついてきて胸を顔を押しつけてくるのだが、

「クレア、それは少しマズいのだが……」

 クレアの胸がちょうど股に当たり、柔らかい感触が布越しに当たる。

「しゅーいちさん、私は……いいですよ?」

「……そんな笑顔をされると……抑えられんぞ?」

 クレアは俺のが硬くなるのを感じているのか、妖艶に微笑む。そして俺は問う。

「……湯で汗だけでも流すか?」

「しゅーいちさんのお好みで」

 なんだろう、主導権があるようでクレアの思惑の中にいる気がする。

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