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後始末

 床に落ちている服を拾い集めて、俺にかかっていた毛皮をとるとまずはタオルで俺の体を拭く。そして綺麗にしてから俺に服を着せていく。


「うわぁぁぁん」

 アゼリアは俺に服を着せた後に大声で泣き出した。

 俺は薬で痺れていて何も出来ず、ただ見ていることしか出来ない。

 大粒の涙をこぼしながらアゼリアは俺に抱きついて泣き続ける。大きな胸に顔を包まれて、柔らかく素敵な感触なのだが、非常に不味い。


 息が出来ない。ポヨンポヨンのアゼリアのおっぱいが鼻と口を塞ぎ、俺は呼吸が止まり始める。ゆっくりと酸欠を起こし始めて、意識が薄くなる。

 アゼリアは俺の異変に気づいて慌てて体を離す。そして、

「へ、陛下、しっかりしてください。私が言えることじゃないけど息をしてください」

 うん、アゼリア。本当に君の言えることじゃないよ。あ、おっぱいは相変わらずポヨンポヨンで堪能したよ。


 なにかに気づいたようなアゼリアは俺からいそいそと離れるとヤルナを殴り倒したところに行くと、

「起きなさい」

 冷たい声がした。そして何かをはたく鋭い音がする。

「起きなさいって言ってるでしょうが!!」

 パパパーン!!スパパパーン!!

 おそらくだが起きないヤルナにアゼリアはビンタをかまして無理矢理起こそうとしている。そして、

「あの方に飲ませた毒の解毒剤を出しなさい」


 かなり暴力的に薬を出させるとアゼリアはひったくって持ってくると口移しで俺に飲ませた。

 ついでなのか、俺の口に舌を入れて舐め回す。少し悦に入った顔で俺の舌に自らの舌を巻き付けると貪り喰らうかのように吸い付いて舐めてくる。


 しばらくアゼリアが俺を堪能していると薬が効いてきたのか、俺の指先や口が少し自由になる。

「アゼリア……すまない……迷惑を……」

「陛下……私にはもったいないお言葉……」

 アゼリアは安心からか、また涙をポロポロこぼす。しかし先ほどとは違い笑顔を浮かべている。

「褒美を、やらなくてはな……好きな物を考えておけ」

 俺はゆっくりと立ち上がる。すぐにアゼリアは俺の体を支えるように寄り添い、俺がしっかりと立ってからそっと手を離す。そしてまたヤルナのほうに行く。


 アゼリアは冷たい表情を浮かべると倒れたままのヤルナに蹴りを入れた。

 その脚は裸足でおそらく戦闘形態になったときに靴は壊れてしまったのだろう。

「起きなさい、このゴミクソ女(雌豚)

「アゼリア、その者の名はヤルナだ。そんな言葉遣いはやめてくれ」

 俺が注意するとアゼリアは振り向いてとても悲しそうな顔を浮かべて、踏んでいるヤルナを蔑み見て、

「起きなさい、雌豚(ヤルナ)

 うん、何か、雰囲気でわかっちゃった。


 ……アゼリアは怒らせちゃダメ。


 数十分後、ヤルナの牽く荷台に乗った俺とアゼリアは森の外に到着した。そしてアゼリアが打ち上げた魔法弾に気づいたガダルフォン龍爵の兵達に保護されて村に戻った。


 その夜は疲れ切って俺は寝てしまい、アゼリアは一晩中俺の側にいてくれた。


-----


 翌朝、俺が起きるとアゼリアが、

「陛下、御身が汚れていますのでよろしければ湯の手配はいかがでしょうか?」

 アゼリアはニコニコと俺に湯を勧めてきた。


「ああ?そうだな、頼む。あと龍爵を呼んでくれないか?渡すものがある」

 俺はアゼリアに頼むとアゼリアは笑顔を浮かべて、そして軽やかな足取りで部屋を出て行った。


 しばらく待っていると龍爵が部屋に来て、

「陛下、昨晩は大変申し訳ありません。私が拝領している中での陛下への狼藉、何なりと処罰を受ける次第でございます。少なくとも当人の斬首と私の隠居、そして王への謝罪と致しまして献上金を……」

 入室してすぐに跪きさめざめと泣いている龍爵に俺は困ったが、

「まず、当人の処罰については私が直々に王都にて行う。そなたが隠居しては誰が治める?嫡子はまだ任せられるほどの歳ではなかろう。領民に感謝されているそなたを廃して他家に任せる気も私にはない。献上金は民のために使いなさい。そもそも税でも私財でも献上金をされても困るし、龍爵を責める気もない。私が油断して毒を盛られた間抜けな王なのだ」


 俺は情けなく笑い、そして亜空間倉庫から切裂骸骨王の落とした玉を出す。

「切裂骸骨王を仕留めたときに落ちた物だ。何に使えるかわからんのでそなたに下賜する。利用価値がある物であれば民のため、開発のために使い、私への謝罪がしたいなら預けている領の開発と領民の平和安寧をはかり後進育成に励め。それでよい」

 俺は跪いたままの龍爵の肩に手を置いてて笑顔で気にするなと伝えた。

 むせび泣くおっさんはややむさ苦しい。


 龍爵が落ち着いてから部屋を出て行き、アゼリアがすぐに入ってきた。どうやら待たせてしまっていたようだ。

「陛下、湯の準備が出来ました」

「では、参ろうか」

 アゼリアの案内で宿の浴場に来た。

共用の浴室普通の銭湯っぽい造りなのだが、見事に磨き上げられており、安っぽくは見えない。


「陛下はお風呂が好きなので、陛下がお帰りになられたときにすぐには入れられよう準備しておきましたので……」

 アゼリアは俺のために掃除までしてくれていたらしい。

 顔を見ると照れたように笑っていて可愛らしい。思わずナデナデをしてしまった。

「はぅ……」

 煙でも出そうなくらいに顔を赤くしていアゼリアは俺が撫でたところを嬉しそうに触る。


「では、入るのでアゼリアは……」

 俺がアゼリアに出て行くように言おうとしたが、アゼリアは俺を見つめて、

「陛下は昨日に褒美をくださるとおっしゃいました。陛下と共に湯に入るという褒美をください」

 アゼリアの求めた褒美は物ではなかった。

 言ってしまった手前、断りにくいし、心配もかけたし、助けてもらったし……こんな瞳をされては……、

「本当にそれが褒美でいいのだな?」

「はいっ!!」

 凄く嬉しそうに元気な返事をされた。

誤字脱字がありましたらご指摘の程お願いいたします

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