212話 阿修羅との戦い!
3面の顔、3対の腕、その手には日輪、月輪の投擲武器、弓矢、そして無手だ。
「石像だと思って鈍いと思うと怪我するよー」
ユキムラの助言は的を射ていた。石像でありながら阿修羅像は凄まじい速度で戦闘をこなす。
ユキムラとソーカを相手取り無手による近接戦闘、タロとヴァリィを日輪月輪で翻弄しながら、レン、アスリを弓で的確に狙ってくる。
いままでの戦闘の中ではかなりの強敵だった。
「槍じゃ駄目だな、ソーカ俺はあいつと超近接戦闘をするから隙き見て攻撃入れてくれ、タロとヴァリはそのままでいいよー、レンは防御を最重視! ダメージは俺とソーカで稼ぐ!!」
一瞬でユキムラは手甲と軽鎧に換装する。
瞬歩の様に一足で阿修羅像との距離を詰める。
合掌した阿修羅像の腕が超高速でユキムラを雨のように襲う、それでもユキムラは全く怯むこと無く攻撃を捌き0距離まで接近すると本格的な攻勢に転じる。
無手による超高速、一撃でも受ければ致命傷となりかねない攻撃。
ユキムラは確実に攻撃を捌きつつ、合わせられる攻撃にしっかりとカウンターを決めていく。
久しぶりにユキムラの本領発揮だ。
流れるような美しい組みてを見るように、白狼隊のメンバー、それにアスリは目を奪われそうになる。
「日輪・月輪強いなぁ……ソーカ片手投擲武器にしない?」
拳の雨がユキムラに降り注いでいる中、平然と通話を続けるユキムラに、アスリは感動を越えて呆れに近い感情を覚えた。
先程からレンの指示で弓を持つ手に集中して矢を打ち続けているアスリ。
装備のおかげかいくら矢を放っても疲れなどは現れない。
阿修羅像の弓を穿つ手はボロボロになってきている。アスリの放つ矢は命中すると爆発する魔装武器を利用している。
ヴァリィとタロを苦しめていた日輪月輪もその不規則な軌道を見きったタロが砕き割った。
すでに阿修羅本体もユキムラのカウンターや猛ラッシュ、ソーカの剣撃によって上半身と下半身がお別れする時が訪れる。
下半身が崩れ落ちる。それでも阿修羅像は弓を離してその手で懸命に動こうとする。
すでにボロボロの腕が自重を受けて折れてしまう、次の手を使うが、今度は左右の高さが合わない。
「……なんか、可哀想になってきた……」
未だにコア周りの胸部はあまり損傷がなかったのだが、移動のために複数の腕を利用することになり攻撃の手が回らず……最終的にユキムラの一撃で石像を操っていた動力コアが破壊されその働きを終える。
「強かったね。そしてここはセーフゾーンになるみたいだね」
光の粒子と消えていく石像の破片が全て消えると部屋は聖なる気に包まれる。
宝箱も現れる。
「今日はここでキャンプにしよう。明日からは火山攻略になる」
強大な敵との連戦をわずか一日でこなしてしまった白狼隊、普通のバランスだと同レベルの相手だと、一日一部屋ぐらいを想定していてこの通路を通るだけでも一週間ぐらいはかかるバランスなのだ。
個人個人の能力にオーバースペックの装備の合わせ技によって、今日も白狼隊は突き進む。
そして、ダンジョン内とは思えないいつものキャンプ風景。
事前に聞かされていたアスリでもその規模と性能に驚かされてしまう。
「ほんとにでたらめだた君たちは、味方なら頼もしいが、敵に回るなら王には諸手を挙げての降伏を、命を懸けて勧めることにしよう……」
驚きも通り越してあきれるしかない。
アスリからしてみれば少しは自信のあった自身の見識を、すべて根底から粉々にされたようなものだ。
食事を終えて汗も流し、軽く明日からのブリーフィングを行う。
「明日からは火山地下洞窟になる。こことはガラッと変わって火属性と土属性の敵が多くなると思う」
「師匠、装備の構成はどうしますか?」
「このレベルだと2種類に絞ると危ないから、火と土耐性8割、その他に2割ぐらいのリソースを振り分けよう。
攻撃は基本は水でいいと思う。ゴーレムもそうだけど防御が固い奴らが多いので打撃系武器もサブ武器でいつでも持ち替えられるように、あとは……地形の影響は魔道具で気にしなくていいから……そんなとこかな?」
「ユキムラさん投擲武器って扱い難しいんですか?」
「そうだなぁ、ソーカはもともとニンジャみたいな事出来るしたぶんすぐ使いこなせそうな気はする……
実はもう作ってあるけど、まぁお遊びで余裕あれば使ってみてよ」
ユキムラはアイテムボックスから試作の投擲武器『乾坤圏』を取り出す。
武神である哪吒太子が使った宝具として有名だ。
ユキムラ仕様で真・乾坤圏 改Ⅱ Ver3.04 くらいに性能は上げられている。
物理攻撃でありながら投擲すると敵のみを切り裂くという魔法のような攻撃になる。
そのまま斬りつけても凄まじい攻撃力を十二分に発揮できる。
しかも、持ち主以外使用できないので敵に奪われることもない。
実力者が投擲すると、敵を攻撃するという結果が出て手に戻っている。そんな逸話も有る。
「片手に刀、片手に乾坤圏。ああ……あんか湧いてきた……ユキムラちゃん、鎧のデザイン形にしたら一回見てちょうだい! 燃えてきたわぁ!!」
武器を持つソーカはヴァリィの琴線に触れたようだ。
阿修羅像もその造形は大変素晴らしく、雄々しく動く石像に芸術の火をつけられていたヴァリは、和と中華をミックスしたような天女のような鎧をデザインし、ユキムラがそれを形にする。
ここに、武神ソーカの伝説が始まるとか始まらないとか……
明日は17時に投稿致します!




