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老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件  作者: 穴の空いた靴下
フィリポネア共和国編 ベイストの街
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175話 近海の主

「おお、この状態でも普通に剥ぎ取りできるんだね」


 甲羅には大穴、内部はぐちゃぐちゃだが剥ぎ取りを行うと、シーザウルスの甲羅、シーザウルスの肝、シーザウルスの魔石、シーザウルスの肉などを剥ぎ取ることが出来た。


 ユキムラがホクホクと剥ぎ取りを終えると口を開けたまま機能不全になっていた街の人達が再起動を終了していた。まだ現状を正確に理解できない程度の機能障害は残ってはいた。


「今の、主、GU、消えて、主が、街が……」


 ラクパも含めて目の前で起きたことの整理がつかないようだ。


「落ち着いてください。近海の主であるシーザウルスはこれから街の守り手となるGUによって退治されました」


 レンが端的に今起きたことを説明して回っている。

 その後も皆がきちんと話せるようになるのには時間がかかったが、GUの有効性は十二分に伝わってくれた。


「基本的には一つの街に5体配備していきたいと思っています。東西南北の監視と街内での救護などに一体、こちらには医療用に特化させていこうかと思います」


「正直話していることはあまり理解できないが、シーザウルスを赤子扱いする物が五体この街を護ってくれるということでいいんですな?」


「はい、コントロールユニットはラクパさんにお渡しします。

 魔物以外への攻撃は上位命令で禁止しています。まぁ犯罪者を取り押さえるとかは出来ますが……」


「なんと言っていいかわからんな、いや、ありがとう。街の安全のためにも有効に使わせていただきたい。ユキムラ殿には頭があがらん……」


「いえいえ、他の街の方への紹介などは本当にありがたいので。お気になさらないでください」


 フィリポネア共和国には大きな街が5個ある。

 北西のベイスト、北東シズイル、中央海底洞窟ダンジョンのそばセンテナ、南東ウラスタ、そして王都フィリポネアだ。その他、小さな村もあるがだいたい街の周囲に存在していていざとなったら大きな街への避難を徹底してもらえばいい。

 

 今回試作したもので良ければ50体くらいは作成できる。

 医療用などの特化機体や、それぞれに特色をもたせたり、ユキムラの脳内には妄想が広がっていた。


「やはり防御特化、攻撃特化、速度特化、遠距離特化をパーティとして支援型をバックアップに回せば……」


「師匠、妄想がだだ漏れです。一応商会の顔合わせもあるんですから他の商店の方々にもご挨拶をお願いしますよ」


 ユキムラ達はゴタゴタが終わった後、領主が開く夕食会へと招待されていた。

 

「レンにそういうのは任せるよー……」


「商会のビジネスの打ち合わせはしますけど、会長は師匠なんですからご挨拶と世間話ぐらいはお願いします!」


「また余計なこと話しそうで怖いんだよー」


「何を今更……」


 パーティ仕様の華やかなアロハシャツにホワイトの麻のズボン。通気性の良い素材で作られたシューズ、長身で鍛え上げられた肉体に完璧なデザインで作られた服がフィットしている。

 清潔に短く刈り揃えられた黒髪にため息が出るほどの美男子。

 レンも少し身長では劣るもののよくトレーニングされた肉体、少し長めの金髪に幼さの残る端正な顔つき。

 この二人が会場の端っこで絡んでいると、その場が会場の中心のように男女を問わず人目を引く。


「ユキムラ様、あちらの王都御用達の商会の方がお話がしたいそうです」


 美しい赤毛をパーティ用に盛っている。最近とくに少女から女性へと変貌してきた美しい顔つきはパーティ用の化粧によってさらに一輪の花のように艶やかに彩られている。

 ヴァリィのスタイリストとしての技術力は超一流だ。それに素材の良さも加わり会場に咲き乱れる花束のようになっている。ドレスも艶やかで艷やか、会場の男性の目線を一身に引き受けている。

 その鍛え上げられた肉体に女性らしい美しいライン、所作振る舞いは凛として、同性も思わず目を奪われてしまう。おねーさま……なんて呟く客まで出る騒ぎだ。

 ヴァリィも派手ではあるがその肉体と相まって妙なマッチ感がある。

 その恵体には上位冒険者たちも一目を置いている。

 タロはかわいいアロハシャツを着てお行儀よく座っているのでその周囲には常に人混みが耐えない。

 知的で美しく可愛いタロがおめかしをしているのだから仕方のないことだ。


 ユキムラは挨拶で少し疲れていたが、パーティで出された各種料理には大変満足していた。

 新鮮な魚介類やスパイスをふんだんに使用した料理はこの国の気候と合わせてお酒の友としてたまらない相性の良さがあった。

 なお、近海の主は美味だった。噛みごたえのある肉にスパイスの辛味がマッチして大人気料理になっていた。

 さっぱりと飲みやすいビールをユキムラたちが寄贈した冷蔵庫でキンキンに冷やして提供しており、サナダ商会の製品のアピールにも一役買っている。

 ココナッツを使ったお酒などもユキムラは珍しがっている。

 パーティでは巧みにレンとソーカがユキムラの作った玩具などを紹介していろいろなところで盛り上がっていた。

 冒険者たちはダーツに群がっていたり、商会の重役たちはチェスやリバーシなどに興味津々だった。

 女性陣はシャンプーやリンス、トリートメントや各種石鹸などに食いついていた。

 商会としての商品紹介としてはこれ以上無い成功と言っていいだろう。

 いろいろな人のつながりを作ることにも成功しており、サナダ白狼隊にとって得るものが大変多い、大成功と言ってよかった。


「またユキムラさん鼻の下伸ばしてる!」


「ソーカねーちゃんも諦めなよー、今は仕方ないでしょ……」


 ソーカが目を離すとすぐに女性陣に囲まれるユキムラにヤキモチを焼く羽目になった事以外は……

あーー……南国にでも旅行に行きたい……


私の話、基本的に性善説なので、悪者以外いい人しかいないのでGU悪用も心配ないという薄い設定です。


明日も17時に投稿いたします。

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