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老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件  作者: 穴の空いた靴下
フィリポネア共和国編 ベイストの街
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173話 面会準備

 ユキムラ達はその日を、翌日に控えた面会で色々と提案するための準備日とした。


「魔道具を幾つか献上するのと、防御系結界発生装置、それにGUガーディアンユニットですね」


「海底洞窟の鉱石は硬度が高いけど加工しにくいんだけど、スキルだと関係ないからいい素材になるんだよね。いくらでも確保できるし。問題は動力回路に使う魔石が今のままでは弱いなぁ……」


「あとは【穢れ】に対抗できるほどの物が作れるか、よねぇ……」


「そこなんだよねぇ……」


「バウ!」


 タロが一吠えすると首から下げられた時計が輝き出す。


【丁度いい話をしているわね】


 そこにはアルテスが映し出されていた。


【やっとある程度の【穢れ】の解析も終わってとりあえず急ぎの対抗策が出来たわ。これを見ればユキムラはわかるわよね】


 一枚の設計図がユキムラの頭上からふわりと降ってくる。

 何かの回路図、魔道具の設計図だった。


【その装置で作った結界内なら【穢れ】の行動をかなり制限できるわ、強化された分が抑えられるだけでなくて本来の力も低下させられるはずよ。最終的には【穢れ】を持つものを消滅させる物まで作りたいと考えているんだけどね。いやー、ちゃんと考えてくれる人が増えてほんとに助かるわ。頑張ってね】


 時計の輝きが消えると共にアルテスの姿も消えていく。

 まるで測っていたかのように今一番欲しい物が手に入った。

 これで【穢れ】を持つであろう魔王軍に対抗する兵器開発は加速する。


「これをGUに搭載して……」


「師匠とりあえずGUの図面を切りましょう」


「ユキムラちゃんそれ作るならこの魔石が足りないわよね、ちょっとソーカちゃんと集めてくるわね」


「ああ、すまない。あと魔道具屋みてこれとこれあったらあるだけ買ってきちゃって」


「わかりましたユキムラさん、それでは行ってきます!」


 魔王軍という軍隊との戦いになる以上、今までの考えでは甘いことをユキムラはサナダ街の惨劇で思い知った。

良い武器防具を整えていてもある程度の人的被害は起きてしまう。

 帝国でも本当は考えていたが、思っていたよりも早くこっちへ送られてしまった……ユキムラの誤算だった。


「よし、いくつか武器を素材に戻そう。そうするれば結構素材が手に入る。

 もう弓と籠手と剣と杖だけに絞るよ」


「まぁ、ここのMDでもまた素材が得られれば作れますからね! 師匠は何を使っても最強ですから!!」


 それから素材に戻した鉱石達を利用して二人して男の子全開で戦略兵器を作っていく。

 あれもしたら強そう、こうしたら強い。と無邪気に戦略兵器(大事なことなので二度言いました)を作っている二人は、それはもう楽しそうであった。


「それでこれが試作一号ってわけね」


 目の前に立つ白銀に輝くゴーレムに似た人形。

 外殻には海底洞窟を支える強固な海重石とオリハルコン、それにヒヒイロカネによる合金製。

 動力は上級魔石を利用した魔道回路が血管のように外殻に張り巡らされており、人よりも自由な稼働を可能にしている。それを動かすのはドラゴンの革とヒヒイロカネで作った人工筋肉、そこから生み出される力は本物のドラゴン以上のパワー、空を舞う風龍よりも素早い動きを可能にさせている。

 各種武器も使用可能だ。魔法は使えないが魔道具を起動することはできるので持たせる魔道具によって様々なことが可能になる。


「対【穢れ】結界を展開可能だ。周囲5キロを囲うことができる。

 連続稼動は2週間、一時間休眠すればまた2週間活動が可能だ。自己修復能力もある。

 コアさえ無事ならバラバラにされてももとに戻れる。まぁバラバラにするのは俺でもどれくらいかかるかわからないけど……。

 基本的には敵対行動を取るものに対する迎撃を自立して行えるけど、この制御リングを通して指示を出すこともできる」


 大変不穏な事を言ったような気がするが、とんでもないものが完成したことは白狼隊のメンバーは全員理解した。


「合金にして重要鉱物の使用もできる限り減らしています。

 師匠の武器の一部を素材に戻して鉱物に戻したものでもかなりの数を作成可能です」


「ユキムラさんこのGUはどれぐらいの強さなんですか?」


「さっき試しにタロと戦ってみたけど、あ、もちろん素手で魔道具もなしでね、それで2時間ぐらいは耐えきっていたね」


「くぅーん……」


 タロは少しバツが悪そうだ。本当だったら軽くいなすつもりがかなり本気になってしまって、更に行動不能には出来なかったのだ。


「ねぇねぇ、ユキムラちゃん、これって物凄い危険なものなように聞こえるんだけど?」


「人間には敵対しないようできてるから平気だと思うけど、万が一暴走したら全員本気で、この世から殲滅するつもりで戦ってね」


「ユキムラさん……」


 ソーカもドン引きだが、ある意味仕方がないのだ。

 ユキムラもここまでのものを作るつもりは、たぶん、なかった。

 どうしても脳裏に壊滅したサナダ街が壊滅したシーンが繰り返されてしまう。

 皆を守る盾として、ユキムラに後悔はなかった。

 そこには思いっきり開発ができてすっかりと満足をした一人の男しかいなかったのである…… 

明日も17時投稿を目指します!

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