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老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件  作者: 穴の空いた靴下
旅編その3 ダンジョン都市バルトール
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101話 ほっと一息

 翌日、42階探索は順調に進み、43階への階段、セーフエリア、宝箱も全て回収。

 昼前ではあったがセーフエリアで今日は休息日となる。


 セーフエリア内は照明魔道具で煌々と照らす。タイマーで光量調整をすれば、ダンジョン内であることを忘れさせることに役立ってくれる。

 そんな場所で全員、優雅にバーベキューの準備をしている。


 こういう冒険で精神をリラックスさせることは重要だ。

 特に今回のような長丁場では。

 VOでのダンジョンなんて数分で1階層終わらせてダンジョン全体でも一時間程度でMD攻略だが、実際の探索はそういうわけには行かない。


 それでも白狼パーティのダンジョン探索は普通の冒険者のソレに比べると安全性も速度も段違いだ。

 俯瞰視点により敵との偶発的な遭遇はない、むしろ先手を取り有利な状態での戦闘が多い。

 また各種魔道具を惜しむことなく使用すれば、戦闘が開始された後に結界を張ることで極論を言えば優雅に昼食だって取れてしまう。

 それでも見えないストレスと言うものは貯まるもので、そういったものを発散する意味合いも込めての休息日だ。 


「さて、それではここまで大きな問題もなく、そして素晴らしい成長を遂げている事を祝って、かんぱーい!」

 「「「カンパーイ」」」「ワン!」


 みなそれぞれのグラスにビールやらエールやら果実酒やら果汁炭酸割りを入れて乾杯だ。

 多分他の冒険者が見たら何がダンジョン探索だ! と、怒られてしまいそうだ。

 ユキムラ特製のバーベキューセットでは串の刺された肉が美味しそうな香りを立てている。

 ダンジョン内にバーベキューの匂いを巻き散らかすわけには行かないので、魔道具で対策もしている。

 焼肉屋で煙を吸い込むような形で更に匂いは分解している。妙なこだわりだ。

 

「大根おろしに醤油でさっぱりが好きだなぁー」


 ユキムラは一度串から外して上品に食べている。


「僕はやっぱりこのバーベキューソースですね!」


 口いっぱいに頬張りながら幸せそうにしているレン。久々の特訓から開放されて心の底から嬉しそうだ。いくら尊敬するユキムラの教えとは言え四六時中だとさすがにしんどい。


「このフルーツソースが好きですね。フルーツをソースに使うってのは想像よりも合うんですね」


 ハムハムと上品に食べているが、既に4本目なのをユキムラは知っている。

 案外大食い、早食いなのだ。戦士に必要な素質ではあるんだけどね。


「この塩はそれぞれ風味が違くて楽しいのよねー、ほんとユキムラちゃんこだわり強いわねー」


 ユキムラが作った各種、味塩たちを存分に楽しんでいる。


「それに、このキンキンに冷えたビールってのはたまらないわねー。ダンジョン内でこんなことしてバチが当たらないか心配になっちゃうわ」


「フルーツの果汁でお酒を割ったり、フルーツから作るお酒にこんなに種類が多いなんて知りませんでした。どれも本当に美味しくて……」


「炭酸っていうのも美味しいですねすごくさっぱりします! 師匠のアイデアは凄いです!」


「やっぱり食事って大事ってこの世界に来て本当に痛感したんだよね……」


 ユキムラはしみじみと食事とお酒を楽しんでいる。

 皆も喜んでくれることがとても嬉しかった。

 人と囲う食卓の楽しさと満たされる気持ち。

 こんなにも大事なものだったんだなとユキムラは痛感している。

 

「なぜかカレーは別腹で入っちゃうんですよねー」


「わかるー。しかもこうやってご飯も控えめにちょっと食べると数種類楽しめて最高!」


 レンとヴァリィは箸休めにカレーだ。

 お茶碗ぐらいの器に乗せられたカレーの香りは皆の鼻と胃袋を絡め取る。


「わ、私も食べますー」


「ソーカ俺にも頂戴、右の魚介の辛いやつご飯少なめで!」


 カレーの魔力に抵抗できるものは少ない。

 タロは野菜とお肉をバランスよく。味付けはせずに食材本来の味を楽しんでいる。

 参考までにタロの好みは鳥肉>豚肉>牛肉だ。

 鶏肉の中でもサナダ街の放し飼いの地鶏を最も好む。通である。


「最近だとこの焼鳥って食べ方が一番好きかも、もーお酒と合いすぎて困っちゃう」


「わかりますー、すべての部位がそれぞれ美味しくてあと一本、あと一本ってついつい食べ過ぎちゃうし、飲みすぎちゃってー」


「甘辛いタレも塩も両方いいよねー。比較的脂っぽいとこはタレが好きだけど俺は」


 ユキムラも今日は珍しくお酒が進んでいる。

 実は昨晩のうちに新装備を作り上げてしまい、自分自身もゆっくりしようと切り替えたからってのもある。大人組は久々の開放感に普段よりも上機嫌だ。

 

「ふあー、なんか食べ過ぎたら眠くなってきちゃいました。

 ちょっと休んだら先にお風呂入って寝ますねー中にいますー」


 レンは日々の疲れからか早目の時間に車へと戻っていく。


「やっぱり、ちょっとハードだよね攻略ペース……」


 ユキムラはちょっとやりすぎたんじゃと反省する。


「いえ、あまり長期に渡って連絡が取れないのも、それはそれであとあと問題が……」


 街との連絡が取れるようになってからの折衝を考えてソーカはフォローする。


「レンとソーカには街の運用で負担ばっかかけてごめんね」


「そ、そんな負担だなんて! わ、私はユキムラさんの力になれて凄くうれしいです……」


 最後の方は段々ボリュームが小さくなりながら真っ赤になってうつむいてしまう。

 お酒も入っているのでちょっと大胆になっているソーカだった。


「ユキムラちゃんもソーカちゃんのこともっと優しくしてあげなさいな、それが一番ソーカちゃんは嬉しいんだから」


「ソーカにもヴァリィにもレンにもタロにも本当に感謝してる。

 無茶な要求にもしっかりと応えてくれるし、みんなに出会えて俺は幸せだよ」


「うーん、とっても嬉しいんだけどそうじゃないんだけど、ま、ユキムラちゃんらしくて好きだけどね! 苦労するわねソーカちゃんは!」


 ヴァリィの笑い声と真っ赤になるソーカとユキムラ。穏やかなちょっとした休日は更けていく。







 

誰かが準備してくれて片付けもしてくれるバーベキューがしたい(ワガママ)

焼き鳥は串から外さず食べるのが好きだなぁ……まとめて頼むのも好きじゃなくて数本づつ追加して熱々でお酒とやりたいですね……


仕事中なのに俺は何を書いているんだ……ちくちょう


明日も5時に投稿を目指します!

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