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終章

「バルムング…………」


痛々しく右目から出血しているバルムングを見てアシュタロトはかける言葉も見つからない。


「私の目なんてどうでもいいのよ、それよりフラグメントを…………千年かけてやっと集めたのに…………」


失った右目を押さえている指の隙間から血が滴る。

バルムングはライト・ハンドに奪われたフラグメントだけを気にしている。


「あっ、総帥………」


ふと気配に気付きルシファーが振り返る。


「…………………………。」


寡黙にレリウーリアのメンバーを書き分けバルムングの元へ行く。


「総帥、申し訳ありません……………フラグメントを………………奪われてしまいました。」


ここまで順調だった計画が白紙に返されてしまった。

今にも泣きそうな顔でヴァルゼ・アークを見上げる。


「目を失ったのか………?」


出血の量を見ればそこに眼球が無いとわかる。


「私の身体など………心配するに及びません。ただ……フラグメントが………ぐっ……」


「無理をするな、さ、掴まれ。」


自分を介抱しようとするヴァルゼ・アークの気持ちには応えられない。


「い、いけません!私は…………あっ!」


言いかけのバルムングを抱え上げ優しく微笑む。


「奪われたものはまた奪い返せばいい。それだけの事だ。」


心中は穏やかではないはずだ。

フラグメントが無ければオノリウスの魔導書は手に入らない。

それでいながら…………バルムングはヴァルゼ・アークの優しさにほだされ彼にしがみつき啜り泣く。


「ヴァルゼ・アーク様………ううっ………」


「ジャッジメンテス、重力レンズの状況は?」


「はい。間もなく不死鳥界を飲み込むかと。」


「………………消せ。俺の前から全て!!」


怒りの咆哮は不死鳥界へ向けられる。


「了解しました。」


一言返事をするとジャッジメンテスが指令を出す。


「重力レンズ加速!不死鳥界を消滅させなさい!!」


「「はいっ!!」」


ジャッジメンテスの指令に全員が敬礼して応える。

 急激に重力レンズの力が強くなる。

並の人間ならこの時点で過度の重力によって潰されて死んでいる。


「また一つ…………世界が滅んで行くのね…………」


ティアマトが悲愴に溢れた言葉を口にする。


「黄昏れてる時間はないわよ、ティアマト。」


「わかってます。」


ルシファーに促され脱出の用意をする。


「さ、行くわよ!みんな!」


アドラメレクが指揮をとり自分達の世界へと帰る。


不死鳥界が悲鳴をあげてその存在が消えて行く事を告げる。

戦いは終わるはずだったが、ダイダロスの出現で闇の中へ迷い込んで行く。

次なる戦いまで時間は待ってはくれない。


もうじき、全てが始まる………。



  〜第二部 完 〜


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