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第四十七章 悪魔の為に鐘は鳴る

「見つけたぞ。ライト・ハンド。」


崩壊していく不死鳥界から避難しようとしているところをヴァルゼ・アークに見つかってしまった。


「これはこれは………魔帝自らわざわざ私を探していたのですか?光栄です。」


含み笑いを浮かべヴァルゼ・アークを迎える。


「…………ルバートに犠牲の柩をかけたな?」


「見抜かれましたか。でもどうです?あの役に立たない魔法をあそこまで完成させたのです、私も捨てたものではないでしょう?」


「くだらん………褒められるような事ではない。」


「ハハハ!お気に召しませんでしたか。なら次はもっと研究しておきますよ。」


「もうひとつ、リスティを天界から助けたのは貴様らしいな?何の為に助けた?」


「何の為に?私はただ彼の豊かな才能が欲しかっただけですよ。」


「………確かにリスティは天才だ。だが奴が天才だと何故貴様が知っている?リスティは人間だ。希代の天才と謳われてはいたが、その名が不死鳥界にまで届いていたとは思えんな。」


重力レンズが歪める空間の圧力で地割れが酷くなる。


「フフ………鋭いですね。貴方のおっしゃる通りです。不死鳥族は他種族と交流がありませんでしたからね、人間界の事情など知る事は不可能です。」


「!?」


ただならぬライト・ハンドの気配に絶対支配を具現化して警戒する。


「大切に使ってくれているようですね、支配のロストソウル……」


「……………………………ライト・ハンド……………貴様、何者だ!?」


目の前にいるライト・ハンドはライト・ハンドではないと気付く。

彼にはこれまで一度しか会っていない。

それなのにヴァルゼ・アークの所有するロストソウルの名前を知っている。


「絶対支配………この世の万物を自分の支配におくという意味を込めて貴方が命名したんでしたよね?」


「………………………。」


嫌な汗がヴァルゼ・アークから流れる。

ロストソウルの命名の意味などレリウーリアのメンバーですら知らない。知っているのは命名したヴァルゼ・アーク以外では一人だけ。


「そう警戒しないで下さい、貴方とやり合うつもりはまだありません。」


「やり合う?自信過剰は命取りになるぞ?」


「心得てます。でも過剰ではないんですよ、証拠にいいものをお見せ致しましょう。」


そう言ってファイナルゼロを具現する。


「!!!!!…………………まさか…………それは…………ファイナルゼロ!!!」


「そうです。トランスミグレーションと対になる剣、ファイナルゼロです。これでわかっていただけたと思います。」


言葉がない。ヴァルゼ・アークにとっては予想外では片付けられない。

ファイナルゼロはかつてあの男が所有していた剣なのだから。


「馬鹿な…………信じられん。貴様…………まさか…………ダイダロス!!?」


「その通りです。お久しぶりです。もっとも貴方は覚醒する事で本来の姿を取り戻せたみたいですけど、私はそうはいきませんからね気付かないのが普通かもしれません。」


「生きていたのか…………?」


「いえ。貴方と同じくファイナルゼロに記憶と力を託して、不死鳥族ライト・ハンドに継承させたのです。」


考えてみればおかしな話ではない。ロストソウルを創ったのはダイダロス。ロストソウルと同じ能力がファイナルゼロに宿っていたとしても筋は通る。


「厄介な………」


割れた地面の破片が磁石で吸いよせられるように空中へ舞う。

絶対支配を構え攻撃体勢に入る。


「言ったはずですよ、貴方とやり合う気はないと。それと言い忘れていましたが、フラグメントは頂いていきます。」


「何?」


ライト・ハンドが四つのフラグメントをヴァルゼ・アークに見せる。


「貴様、それをどうした?」


「貴方の愛する部下から頂いたのです。まあ多少じゃれはしましたが…………」


それは強引に奪った事を示唆している。


「バルムングをどうした?」


「そんな事を聞いている暇はないでしょう?もうじきここは失くなりますし、フラグメントを持っていた彼女からは身体の一部を奪いましたから。」


淡々と話すライト・ハンドから笑みが消える事はない。


「くっ…………!」


構えは解かないが、オーラが弱くなった事でヴァルゼ・アークに戦う意思が無くなった事がわかる。


「賢明です。早く部下のところへ戻ってあげて下さい。大層な怪我ですよ。」


「……………ライト・ハンド、いやダイダロス、聞くまでもないだろうが貴様もインフィニティ・ドライブを?」


「ええ。私の目的はインフィニティ・ドライブを手に入れて宇宙になる事。私自身が宇宙になる事で永遠に存在する事が出来る。人々の喜び、悲しみ、怒り、妬み………何もかもが私のものになる。神をも超えた新しい存在の誕生です。」


「バカバカしい。そこまで言い切るのだから真実を知っているのだろう?ならばそれは不可能だ。」


「………所詮は貴方も神なのですね、不可能に可能性を求めない。貴方は宇宙を無に還そうとしているようですが、その先には何も存在しない。貴方や貴方の可愛い部下までもが死ではなく、存在が消えてしまう。それこそバカバカしいと思いますが?だいたいどうやって宇宙を無に還すのですか?インフィニティ・ドライブにそれが可能かはわかりませんよ?」


「貴様に方法まで説明する必要はあるまい。どうせすぐに殺すのだからな………ダイダロス。」


時間がない。強い怒りを抑えてライト・ハンド………いやダイダロスに背を向ける。


「………………今回は退いてやる。だが覚えておけ、最後に勝利の鐘を鳴らすのは俺だ。」


「フフフ…………期待してますよ。 それと、貴方達とトランスミグレーションの使い手のおかげで私の法則は破られました。一応お礼を述べておきます。」


「……………………………つかの間の夢、せいぜいよく噛み締めておけ。」


フラグメントはダイダロスに預けたまま仲間達の元へと飛び立って行く。

ヴァルゼ・アークを嘲笑うかのように口元が緩む。


「お互い、ベストを尽くしましょう…………」


ダイダロスもまた崩れ行く不死鳥界を後にする。

 ヴァルゼ・アークとダイダロス…………二人が口にした『宇宙』という言葉。

そこに一体どんな意味があるのか……?

 隠れていた物語の真実が少しずつその姿を見せ始めていた。


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