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第三十一章 ベルゼブブ

上手い事城へ侵入出来た。が、警備兵に見つかりそこそこの運動を強いられた。

何事も強制というのは気分が悪い。


「全く、だだっ広い城だからまだよかったけど勘弁してよね。」


任務は後から来るであろう仲間がすんなり城へ侵入出来て、なおかつ無駄な戦いする事なく不死鳥王の元まで辿り着く事。

彼女にはさほど難しい任務ではない。

ベルゼブブの足元には不死鳥族の警備兵が山を作っている。


「はぁ…………それにしても私を満足させてくれる奴っていないわねぇ…………」


ロストソウルを山の頂上にぐさぐさと何回も突き刺し苛立ちを表す。


「お望みとあらば、私が貴女を満足させて差し上げましょう。」


「………お前は…………?」


「お初にお目にかかります、私は不死鳥族裁きの戦士コーダと申します。」


不死鳥族特有の真っ赤な鎧を纏い、男が山の頂上にいるベルゼブブを見上げている。


「ふぅん…………随分と自信があるみたいね?」


「いえいえ、自信などと恐れ多い。ベルゼブブと言えば闇十字軍レリウーリアの中でも屈指の魔王………一度お手合わせ願いたいと思っておりました。」


「フフフ…………腰が低いのねぇ…………いいわ、相手になってあげる。」


残念ながら今のところベルゼブブの期待感はゼロ。

少し遊べれば御の字だと思っている。


「感謝致します。では……参ります!!」


ベルゼブブより若い不死鳥族の戦士は剣を抜いて飛び掛かって来る。


「来なさい…………」


ロストソウルを構えるまでもない。コーダと名乗る戦士の太刀筋を見極めその都度軽くあしらう。


「どうしたの?まさかその程度って事はないわよね?」


「ご心配なく。期待にお応え致しますよ。」


「言っとくけど、軽口叩く男は嫌いよ?」


ベルゼブブは不死鳥族の警備兵で築き上げられた山の頂きから一歩も動く気はないらしい。

どうやら気に入ったようだ。


「ベルゼブブ……貴女の命は私が貰う!!!」


第二波はスピードを増して撹乱させるつもりらしい。


「ハアッ!!!」


ベルゼブブの周りを駆け回り乱数的在り方で攻撃が繰り出される。


「ヌルい!ヌル過ぎる!」


どんなに変化に富んだ攻撃も、ベルゼブブには通用しない。

ロストソウルを振るだけで、山から降りる必要はない。


「さすがはベルゼブブ王………生半可な攻撃では傷一つつけられませんね。」


コーダが余裕を覗かせる。それがベルゼブブには気に入らない。遊んでるつもりが遊ばれているように思えるからだ。


「そう思うなら最初から本気で来いっ!!!グダグダ殺り合うのは嫌いなんだよ!!ムカつく野郎だ!!」


言葉使いが変わる。一つになったもう一人の神藤愛子になる。


「フッ…………悪魔とはいえ、女性が使う言葉とはとても思えません。そんなんでは女性としての未来はあまり期待出来ませんねぇ…………」


「ハッ!男も女も関係あるかっ!強者だけが全てよ!弱者には未来すら無い!!女性としての未来など、ヴァルゼ・アーク様がいてくだされば他に何もいらぬ!!あのお方が私を愛してくださる限り私の未来は光に満ち溢れている!!」


山頂から轟く演説に、狂った信者でも見てるようで吐き気がする。

コーダはこの手の女が生理的嫌悪感を抱く。


「たいそうな演説で…………しかしながら、魔帝ごとき悪魔に我が不死鳥王が劣るとは微塵も感じられない。これからの未来は我々不死鳥族が創る!ベルゼブブ、貴女の妄信断ち切ってしんぜよう!」


「妄信だと?許さぬ!私の愛を妄信呼ばわりするとは!覚悟しろっ!!」


ようやく山の頂きから降りる決心をしたらしい。

だがその決心はコーダにとっては脅威でしかない。

静観から一転、容赦なくロストソウルを振り回してコーダを追い込む。


「死ねっ!クソガキッ!!」


広々とした空間とはいえ激しいバトルとなると戦いづらい。

ベルゼブブの容姿からは到底想像出来ない力が、コーダの全身を疲労させていく。


「ベルゼブブの名は伊達じゃないわけですね………」


「うるせーよ、私を満足させるんじゃなかったのか!?」


「そう怒鳴らないで下さい、いいでしょう私も貴女に時間をとられるわけにもまいりませから。」


コーダは両腕を下げ、軽く目を閉じた状態で息を吸い込む。


「行きますよ?覚悟をしなければならないのはベルゼブブ、貴女の方です。」


そのままでベルゼブブに話し掛ける。


「いちいちムカつく野郎だ。さっさと来やがれ!」


普段の穏やかな彼女とは違い、ジキルとハイドのハイドの方は非常に気が短い。

それを楽しんでいるかのようにニヤリとしてオーラを高める。


「これは………!」


ベルゼブブが高まるコーダのオーラが熱を帯びて二人の空間が熱に侵され始めた事を感じる。


「魔王ベルゼブブ…………いえ、闇王ベルゼブブ、貴女を倒せば私の名も不死鳥界どころか神界にまで轟く。それは神への第一歩……」


「ククク…………」


「何がおかしい?ベルゼブブ……」


「おかしいじゃないか、神への一歩だって?アハハハハハハハハハハ!!下っ端の考える事はどの種族も一緒だな!腹がよじれるよ。」


「神の座から堕とされた貴女に笑われる筋合いはない!!」


コーダは至って真剣だった。

ベルゼブブの笑いはコーダの信念にますます火をつける。


「神という種族はそんなに特別な種族じゃない。教えておいてやるよ、神も不死鳥族も悪魔もそして人間も、それぞれにない能力を持っているただそれだけだ。お前達不死鳥族にはフェニックスの恩恵を受けた寿命がある。まあ十万年というのは本来の寿命ではないだろうが、それでも神よりも若い時代を長く過ごせるという事。それはお前達だけの特権だ。神には自然を操る能力、我々悪魔には闇を自在に操る能力、そう人の心の闇さえも。どれも他の種族には備わっていない、問題はそれをどう使うかだ。」


「フン………なら人間はどうだ?自分達が住む世界さえ破壊する愚かな能力しかない生き物にどんな能力がある?」


「………奇跡。」


「何?」


「人間が地球に降り立ち地上を奪った。それから彼らは地球の環境に適応出来ず絶滅寸前まで追いやられる。神の気まぐれがあったとはいえそこから知恵という能力を磨き今に至る。これは紛れも無い奇跡だ。わかるか、少年?」


「何を言い出すかと思えば………神とてこの地上が無ければ神界を維持するのが不可能だから泥人形を創ったんじゃないですか!奇跡などと到底呼べる代物では…………」


「話しても無駄か。思慮の浅いお前ではやはり私を満足させる事は出来ない。」


熱く包まれた空間がベルゼブブから放たれるオーラに掻き消されて行く。


「バカな…………!」


「バカはお前だ、コーダ。神に憧れる者は決して神になる事は出来ん。」


ベルゼブブの瞳が青く光る。


「いや!私は神になるっ!!」


先手必勝、コーダは全オーラを放出してベルゼブブに挑む。


「コーダ、お前は浄化などで殺しはしない。死して冥界に行くがいい!」


ベルゼブブが左手を上空にかざす。


「死ねーーーっ!!ベルゼブブ!!」


コーダの身体を炎が包み、不死鳥の如くベルゼブブを狙う。


「冥界に行き己の浅はかさを呪うがいい!!ベルゼビュートキャンディ!!」


かざした左手の上空にオレンジ色の大きな球体を造り爆発させ、爆煙に包まれた球体が真ん中から割れて悪魔の瞳が現れる。


「うおおおおーーーっ!!!」


ベルゼブブに技を繰り出させまいとスピードを上げて突っ込んで来る。

悪魔の瞳から一閃のレーザーが放たれコーダの心臓を撃ち抜く。


「ぐはっ…………!」


コーダはベルゼビュートキャンディの一筋のレーザーに押され背中から倒れる。


「くっ………わ…私は……神に…………」


最後まで己の野望を求め息を引き取る。


「神はヴァルゼ・アーク様一人で充分。」


山の頂上から不死鳥城の高い天井を見上げる。


「強すぎるのは………罪なのか………?」


ベルゼブブ………圧勝。


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