表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/53

第二十四章 DEAR MY FRIENDS 〜forte crisis〜

事態は深刻だった。テストも終わり昼寝でもしようかと帰って来たらフォルテがいなかった。

レジェンダも知らないうちに出て行ったらしい。


「どこに行ったんだあの野郎………」


羽竜達がいない時は外出などした事がない。

それ以前に嫌な予感がおさまらない。


「羽竜、書き置きだ。」


どこからかレジェンダが何が書かれてるかわからない紙切れを持ってくる。

多分、不死鳥界の文字だろう。

 レジェンダは肉体が無いから持ってるというよりも、念力みたいなもので浮かせている。


「読めないな。レジェンダ、読めないのか?」


肉体がなくても景色の把握も出来るし文字も見えてるはず。問題は不死鳥界の文字が読めるかどうか…………。


「読める。」


羽竜の手から書き置きがするすると抜けてレジェンダの前に移動する。

そしてフォルテの書き置きを読み上げる。


…………『親愛なる友人達へ

突然いなくなる事をどうか許してほしい。

昨日会った悪魔に言われて気がついたんだ、いつまでも羽竜達に甘えてるわけにいかないって。

僕は羽竜達から勇気をもらった。不死鳥界に戻って不死鳥王にもう一度お願いしてみようと思う。

フランジャーの事、そして人間界への進軍の事。

何が出来るかわからないけど、僕にしか出来ない事もきっとあるはずだから。


短い間だったけどありがとう。とても楽しかった。

いつかまた会える日が来るのなら、また友達でいてほしい。


さよなら。

フォルテ


追伸 ハンバーガーはホントに美味しかった!』

………だそうだ。」


「なんだよ、さよならって。もう会わない気かよ……」


両親が仕事で日本におらず、一人暮らしを余儀なくされた羽竜にとって、フォルテがいた数日間は弟が出来たような時間だったろう。


「羽竜、お前も聞いていたはずだ。フォルテは不死鳥族の掟を破り不死鳥を盗むという大罪を犯した。フォルテの罪はゆるされるものではない。それを承知で不死鳥界へ戻ったという事は彼の死を意味する。」


レジェンダもまた、フォルテとの日々を気に入っていたのかもしれない。

 肉体の無いレジェンダは、人がフードを被ったような形でその存在を示している。

だからいつの時代でも気味悪がられて来た。

でも羽竜、蕾斗、あかねそしてフォルテはレジェンダの存在を否定する事無く普通に接してくれた。

これ以上の喜びは彼とって他には皆無だ。


「腹は決まっているのだろう?」


羽竜の返事を待つまでもない。

二人共気持ちは一緒だ。


「蕾斗と吉澤に連絡するよ。」


オクターヴとの戦闘の疲れなど、どこかへ消えてしまった。

少しでも早くフォルテを助けたい。


「行くのだな?不死鳥界へ。」


「聞くなよ。フォルテは仲間だ、死なせやしない。」


「フッ………そうだな。愚問だった。どうせ戦わなければならない相手だ、どうせならまたこちらから乗り込もう。」


意外そうな顔でレジェンダを見る。

 出会ってほんの一ヶ月程度………変わった。こんなに前向きな奴じゃなかった。


「望むところだ!」


もし、レジェンダに素顔があったなら、今の彼は頼もしい表情をしているに違いない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ