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第?章 Xの思考

不死鳥族も人間となんなら変わりは無い。

 神も滅んだ天使も、そして悪魔も。

彼等が種族の違いを主張する線引きみたいなものは、各々の能力と容姿のみ。

能力だけを見るなら断然『神』が優れている。

容姿を見るなら悪魔を除いては差は無い。せいぜい翼が有るか無いか程度の話。

 人間にはこれといって特筆するような能力も容姿も無い。

ただ、人間は驚く程の知恵………言いかえればひらめきがある。

そのひらめきを人間達は『科学』と呼んでいる。

 あらゆる種族に共通する唯一無二の能力。戦闘意識に溢れているという事。

 何かにつけて戦争を始める。

私はそれを生まれ変わる度に何度も目にしてきた。

 誰も彼もエゴイストだ。

例えばフォルテという少年。

彼は不死鳥族でいながら不死鳥王に不信感を抱き、掟に背く。 彼に待っているのは死罪のみ。不死鳥を持ち去るなど考えられない事。 しかし、持ち去られた不死鳥の方はどうだろうか?

不死鳥王に命を奪われそうになったとして、それが嫌だと口にしたのだろうか?

いかに不死鳥族といえど不死鳥と会話をするのは不可能だ。

フォルテがよかれと思ってとった行動が、果たして感謝されているのかはフォルテは推測するしかない。

目黒羽竜。彼は地上を不死鳥族から守る為に戦うと息巻いているが、不死鳥族の苦しみをわかりはしまい。

 正義感を立ち振る舞うのは結構だが、正義とはいつも使う側の一方通行。それを理解せぬ限りは迷走を繰り返すばかりだろう。

藤木蕾斗。この少年は神にすら宿らない力、魔導が使えるという。

彼はその使い道に悩んでいるようだが、もし彼が本気で地上を救いたいと願うのならなんとでもなる力だ。

地上で苦しむ人々を救う事などあまりに容易。

それをしないのはエゴイストな証拠と言える。

吉澤あかね。エアナイトの力を否定して、それでも戦う姿は彼女の潜在意識の中に戦いたい気持ちがあるからだろう。

彼女自身ももしかしたら気付いているかもしれない。

そこから目を反らしているだけ。

 ジョルジュ・シャリアン。目黒羽竜、藤木蕾斗、吉澤あかねを魔導書を巡る戦いに巻き込んでおきながら、彼らが傷つくのを望んではいない。

矛盾した意識は所詮は身勝手な理屈でしかない。

そして私が注目しているのは魔帝ヴァルゼ・アーク。

魔界の神。一万年前、不死鳥王バウンスと戦った時以前から知っている。

同種族の行く末にすら興味しなかった男が自ら行動をしたのは一万年前と今回だけ。

一万年前には不死鳥王バウンスが『ある事実』を知ってしまい、歪んだ事実を正そうとするのをヴァルゼ・アークが止めたのだ。

何故ヴァルゼ・アークが不死鳥王バウンスに身体を張ってまで、たった一人で戦いを挑んだのかは未だに私にもわからない。

そして今回は、早くから闇十字軍を結成して積極的に行動している。

 彼については謎ばかり。

その本心もまた利己主義者でしかない。

私もまた利己主義だ。

 戦いの結末は予測出来ないが、不死鳥族と人間は存在にも滅びにも値しない。

全てはある者の思惑で動いている。私はそれが誰かを知っている。

おそらくはヴァルゼ・アークも。でなければ彼の行動に説明がつかない。

これを知ってしまったら希望など消え失せてしまうだろう。

 このまま成り行きを見守る。


運命に打ち勝つ。それすら叶わぬ宇宙で、彼らは何を求めるのだろうか……………


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