プロローグ
人が亡くなると、葬式というものが必ずと言っていいほどあげられる。死者を弔うための儀式、とでも呼べばいいのだろうか。不思議なことに、葬式までには手順がある。一般的に、人が亡くなると、その次の日に通夜、そのまた次の日に葬式が執り行われる。死んだ今となっては理由を調べる術もないため、どうしてそうするのかは迷宮入りしそうだ。
さて、先程葬式までには手順があると説明したが、葬式に辿り着くまでおよそ三日があるということはわかっていただけたはずだ。その三日の間、死者はどうするのか。
死後の世界を幼い頃はよく想像したものだ。絵本に書いてある天国だの、地獄だの、三途の川だの、そんなところに行くのだろうかと思い描いて、出来るものなら天国に行きたいと、そう願ったものだ。ところが実際は全然違って、すぐにそういう場所へ行くのではないらしい。いや、これは特別な場合によるものなのらしいけれど、とにかく猶予が与えられるそうだ。およそ三日。そう、ちょうど葬式があげられるまでの期間。その間、魂だけの存在となって現世を彷徨うことができるらしい。ただし、悪さをすれば即連行されるそうだ。
ーーそうして、私には三日の猶予が与えられた。