頭の良い犬。
すごく短いです。気まぐれで書きました。
頭の良い意犬が、こちらを見ている。
「君はどうしてこっちを向いているの?」僕がそう聞くと、
「僕は君なんか見ていない。安心したまえ。」犬がそう言ってトコトコトこちらに歩いてきた。
「どうしてこっちにくるの?」僕がそういうと、
「君に用は無い。向こうに行きたいだけだ。」犬はそういいながら、やはりこちらに近づいてくる。僕は、頭の良い犬が嫌いだった。だから、頭の良い犬から離れようと、走り出した。
しばらく走って、もう大丈夫だろうと振り返ると、頭の良い犬はまだこちらに歩いていた。
「どうしてついてくるの?」僕は泣きそうになりながらそういった。
「君になんて興味は無い。安心したまえ、安心したまえよ。君。」犬はそう言って、僕に近づいてきた。僕は恐くなって、目をつぶった。それから大分経って、そぉっと目を開けた。犬がいなくなっていた。
僕はあたりをキョロキョロ見回して、犬を探した。犬は僕の後ろにいた。犬はあっちを向いていた。しっぽをふりふりしながら、あっちに歩いていく。僕はほっとして、ため息をついた。そこで、ふと気がついた。
犬の向かう先。そこには、耳と鼻の無い象と、首のないキリンが立っていた。
なるほど、犬が見ていたのは、あのひと達か。