2 採掘生活
騎士風の男に起こされ、ひたすら採掘を行い、不味い飯を食い、泥のように眠る。
次の日
騎士風の男に起こされ、ひたすら採掘を行い、不味い飯を食い、泥のように眠る。
次の日
騎士風の男に起こされ、ひたすら採掘を行い、不味い飯を食………
次の日
騎士風の男に起こされ、ひたすら採掘………
次の………
騎士風の………
ここまでくればさすがに分かる。
これは夢ではない。
冷静に考えればすぐに分かりそうなことだが、非現実的なことの連続で頭がフリーズしていた。
どうやら俺は奴隷というモノになったらしい。
騎士風の男たちが「この卑しい血が!!」とか「この奴隷どもが!!」とか散々言っていたので間違いない。
ここの生活は酷い。
まず、衛生状態が最悪だ。
風呂には一週間以上入っていない。
たまに、騎士風の男が水をぶっかけてくるがすぐに臭くなるので気休めにしかならない。
そう言えば、あの水はどこから出ているのだろうか。
空中から吹き出しているようにも見える。
謎だ。
それから採掘作業も楽ではない。
ひたすら単純作業だ。
掘っては運び、掘っては運び、掘っては運ぶ。
頭がおかしくなりそうだ。
しかも、少しサボると容赦なく鞭打ちの刑だ。
これで、死んだやつもいる。
俺は目立たず、騒がず、地味に採掘している。
騎士風の男たちは魔石というものを欲しがっているらしい。
魔石は特殊な鉱石らしく真っ赤で血のような色をしている。
大きさは大体石ころサイズで、大きいものほど価値が高いらしい。
厄介なことに魔石は衝撃を与えると爆発する性質をもっている。
幸いなことに俺はまだ爆発に巻き込まれていないが、手や足を失い死んでいくものも多い。
これのせいで魔石をうまく取り出すように慎重に採掘する必要があり、しかも単調だ。
俺も含めて皆精神を磨耗し、廃人同然の生きる屍になっていた。
唯一の救いは食事だ。
芋をふかしたようなもので、日本のものと比べると味は最悪だが、量はそれなりにある。
俺の場合、体重は逆に増えている。
泥のように眠る中、俺の心の中は怒りに満ちていた。
多分ここは、今まで俺が生きてきた世界とは別の世界だろう。
この理不尽な状況にも怒りが沸くが、一番は爆殺決行前夜に連れて来られたことだ。
この世に神とやらがいるのならば、そいつはよほど俺を怒らせたいらしい。
この世界に連れて来られて10日ほどだろうか。
今までは様子をみてきたが、ここにいてはいつ死ぬか分からない。
俺は決意した。
脱走だ。
続きます。