1 私は越冬ガエル
高松市内の交差点で信号待ちのライダーを見た。カワサキのNINJA ZXだ。緑色の車体、ライダーのヘルメットからは、長い髪が流れるように出ていた。女性のライダー、少しカッコいいと思った。信号が変わるとスーと発進して見えなくなった。
そして私の妄想が始まった。
キラキラと光る瀬戸内の海、その沿岸を走る国道11号線。そしてツーリングを楽しむバイクの群れが走り抜けて行く。
この季節、沢山のライダーが四国を訪れる。
彼らは暖かくなると現れるカエルや蛇に例えられる。かく言う私もライダーの1人です。
私の愛車はカワサキ NINJA ZX、色はカワサキグリーンだ。そして私は真冬でもバイクで走り続ける。
春になると現れ、冬になるといなくなる他のライダーと違い、私は冬を越せる緑のライダー。
そこでついたあだ名が越冬ガエル。
ケロロ軍曹と呼ばれたこともある。どちらにせよカエルには違いない。馬鹿にした呼び名だと言う事は理解している。
しかし、結構気に入っている。越冬つばめの歌が好きだから。死んだ祖母が好きだった歌。
祖母は自由奔放で少しだけ我儘だったと聞いている。
故人に対して悪口を言うのだから、少しだけではなかったのだろう。
そして私は祖母に似ていると言われている。
「ヒュルリ、ヒュルリララ、聞き分けのない女です」 私は口ずさむ。
聞き分けのない女で何が悪い。
28歳の時、男に振られた。いや逃げられた。
あの野郎、許さない。
別に、男を追いかけるためにバイクを買ったのではない。
でも、その機会に免許を取り、このバイクを買った。
素敵な女性ライダーを思って書き始めたのに、どうやら違う方向に向かっています。




