第九話 フェレナ視点その一
割とご都合展開になってしまって(汗)自分の引き出しの無さに情けなくなる毎日ですが、読んでくださる方の為にこれからも頑張ります。
あたしはトラ人族のソロ冒険者をやっているフェレナ。パナットの町で、黒髪で黒目の少年をみつけた。旅人の様な格好をしているけど、旅慣れしている感じがしない、どうも不思議な感じがしていて気になって声をかけた。
話を聞いてみると、どうもおかしい…ポッテ村方面からパナットの町まで、深緑の街道を通って来なければこの町にはたどり着けないはずなのに武器の類いも持っていない、軽装過ぎる格好だし強そうにも見えない…。
おまけに門番をやっているベックに通行税の支払いもできなくて借金までしているみたい…怪しいけど、あたしの鼻が悪い人ではないと教えてくれている。
働く場所も探しているみたいだし、ちょうどあたしもソロ冒険者でやっている弊害がではじめているところだったから、ちょうどいいということで依頼を一緒に手伝って貰う事になった。
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翌日、冒険者ギルドで依頼を受けて、ノースヴェルグ森林に向けてアユム君と一緒に出かけて、腹ごしらえをしようとアユム君に食材の材料を渡したら衝撃を受けた。
アユム君の目の前に鉄の塊みたいな家ほどの大きさの箱が現れた…出した本人もびっくりしているみたいだが、アユム君はスキルの力で出したと言っていた。初めて見るスキルで他の誰も持っていないスキルだと思う…。
アユム君に促され箱の中に入ると、机とソファーが置いてあり、見た感じ食堂のランクを少し上げた程度の部屋という印象を受けた…料理を作ってくるので、ソファーに座って待っててと言われて待っていると、ものの15分程で料理が運ばれた。
普通、料理を作るには火を起こさなければ、料理は出来ない。調理するにしても時間がかかる為、15分程で料理が出てくるなんて考えられない…驚きつつも、お腹も空いていたので、少し焼き目がついたパンを手にとってそのまま齧り付いた、あたしは驚きに目を丸くする…なんて柔らかでフカフカなパンだろう…小麦の香りもしっかりあり、とても美味しい。
卵が半熟で焼かれていて、食べるのに少し躊躇してしまう…それはそうだろう、この世界の住人は卵を決して生で食べるということをしない。よく火を通さないとお腹を壊してしまうからだ…
でも、あたしの鼻がこれは美味しい食べ物だということを教えている。不味いわけがないと…案の定、美味かった。フォークで、半熟の黄身を破いて流れ出た卵の黄身をパンにつけて食べると幸せを感じるほど感動した。他にも豚肉のウィンナーやミニサラダも全てが美味しかった。
夢中で食べて、あっという間に食べ終わったあとの満足感…今まで味わったことのない料理を食べ、力が溢れる気がした。
気になったので自分のステータスを確認してみた…
【種族】 トラ人族
【名前】 フェレナ
【年齢】 18歳
【職業】 冒険者Cランク
Lv20
【体力】 280(+50)
【魔力】 120 (+50)
【攻撃】 160 (+50)
【防御】 120 (+50)
【俊敏】 180 (+50)
【スキル】
格闘Lv3 短剣Lv4 剣術Lv2 盾Lv1 狩猟Lv3 解体Lv3 裁縫Lv1 料理Lv1
【種族固有スキル】
ビーストモード
なんと…+50の補正が付いていた。
「なんじゃこりゃ…」
思わず口に出してしまって、アユム君に「どうしたんですか?」と言われたのだが…「ううん、何でもない」と誤魔化した。
この事はあたしだけの秘密にしなければならない…。
もし、他の冒険者にバレれば、私利私欲の為にアユム君は一生こき使われてしまうかもしれない。
そうならない為にあたしが守らなければならないと…なぜだかは、あたしにはわからないけど、そんな事を思った。
渉はそのことをまだ知らない…フェレナさんが渉のスキルの重要性に気づいた事、そしてフェレナさんがずっと一緒に居てくれることを…
ビーストモードの解説はまた別の話で書こうとお思います。面白そう、続きが気になると思ってくれましたら星の評価をお願いします。