第三十話 人材確保
お待たせしました…(汗)
「店長…もうムリ…いい加減人を増やしてよー」
オリビア姉妹の長女マヤーからの苦情を聞きながらお昼の混雑をこなしていた。「ほんと、ゴメン…ギルド長にも相談してるんだけど、もうこれ以上冒険者をこっちに回すのわ冒険者ギルドとしての機能が回らなくなるって言われてしまってね…」
「はぁ…じゃあ仕方ないですね…なんて言うわけ無いでしょが!どうにかして!」
「わかりました、でも、今の状況はすぐに改善できないので、申し訳ないけど頑張りましょう」
「わかったわよ…期待していいのよね?」
「どうにかします。でも、あとで相談乗ってくださいね」
「了解!」
本当にどうにかしなきゃだ、コンビニほどの大きさしかないにせよ、回転率が良いため、元の世界のレストランと違い長居する客が居ないのだ、料理を食べたらすぐに店を出て仕事に向う。そのため、すぐにテーブルの片付けを行わないとお客を待たせてしまう。待たせないためには従業員が総出で動かないと捌ききれない。
「お待たせいたしました、お席にご案内します」
今日も忙しくMIKAZUKIは営業するのだった…
★
昨日のマヤーからの要望である従業員確保の為にみんなに相談することにした。
「奴隷商に行けばいいんじゃない?」
くっ…やはりあるのか…異世界モノの話でよく聞く定番の奴隷商。
人身を売買して、労働で使い潰したり、貴族の変態が慰めものにしたり…とか俺にとって悪いイメージがある、薄々あるんだろうなぁって思ってはいたが、実際にあると聞くと忌避感があるんだよなぁー。
「あまりいいイメージはないけど、背に腹は変えられないか、行ってみましょう。フェレナさんついてきてもらっていいですか?」
「うん、それはいいけど、お店の方はどうすんの?」
「流石に2人しか居ないんじゃ営業は出来ないので、今日はお店休みましょう」
そう言うとオリビア姉妹はガッツポーズを取って喜ぶのだった。
「休みも取れてなかったから、今日は二人ともゆっくり休んでくださいね」
「うん、ありがとうね。頑張ってよく働きそうな奴隷を仕入れてきてね」
「うーん、その言い方あんまり良くない気がするんだけど……」
アユムの呟きはもうすでにオリビア姉妹には聞こえないのであった…。
その奴隷商は北区の最奥にあった。朽ち果てた門があるが、その門をくぐると割と綺麗な建物が立っていた。
中に入り、受付らしいところに行くと割と仕立ての良い服装を着て、長髪の髪を後ろに束ねた40代くらいの男性が声をかけてきた。
「いらっしゃいませ、本日はどういったご用件でしょうか?」
「こちらが奴隷商で間違いないですか?」
「はい、複数の奴隷を取り扱っております」
「あの…自分、初めてここを訪れるのでよろしければ詳しい説明を聞かせていただけませんか?」
詳しい説明がないと、後々困るのでそう聞くと、男の店員はニッコリ微笑んで「勿論でございます」と奥の部屋に通された。
通された部屋には応接室みたいな場所になっており、大きな机とソファが置かれていた。
「ささ、こちらへお掛けください」
「はい、ありがとうございます」
フェレナさんと俺は席に座ると、奥の部屋からメイド服を着た中学3年くらいの女の子がお茶を持ってきて目の前においた。
「下がって良いぞ、メリッサ」
メリッサと呼ばれた女の子は軽くお辞儀をして奥の部屋へ下がっていった。
「まず奴隷についてどのような情報を知っていますかな?」
「お恥ずかしいことに、何もわからないです…」
「なるほど…奴隷について語れば良いですかな?」
「無知で申し訳ありませんが…説明をお願いします」
「畏まりました、まず奴隷についてですが…」
1から説明を聞かせてもらって1時間ほど説明を聞いていたが、自分が考えていた奴隷の扱いとしては割とまともに思えた。
まず奴隷と言っても、3つに分かれる。
まず1つめは、借金が支払えなくなり奴隷に落ちてしまう場合、冒険者の依頼失敗により借金をして奴隷落ちになる冒険者が一定数居るんだとか…フェレナさんよく落ちてなかったな…と思ったのは秘密だ。
2つめは、軽犯罪で捕まり、奴隷に落ちてしまう場合いがある。しかし、この奴隷はあんまり居ないらしい…この世界は軽犯罪の延長で人の命を奪うことが多いらしく、軽犯罪だけで終わる人はあんまり居ないとのこと。泥棒をして騒がれては困るから、殺してしまおうと考えるんだと…何それ…怖い…
3つめは殺人などを犯した人がなる犯罪奴隷がある。
1つめと2つめの奴隷の扱いは同じで、奴隷だけどきちんとした人権が与えられており、所有者の一方的な命令を与えることはできず、両方の合意がないと命令はできないみたい。それにちゃんと賃金支払いの義務も発生するので、わかりやすく説明すると、奴隷=フリーターみたいな扱いだなと思った。
ただ、犯罪を犯した奴隷は人としての尊厳は無くなり、鉱山への強制労働として働かされたりするらしい。貴族が飼って、あんな事こんな事ーとかは無いらしい…ま…良かった。
「今日は買って行かれますか?」
「はい、従業員が欲しいので見せてもらってもいいですか?」
「はい、それはもちろんです、今現在こちらには8名の借金奴隷がおります」
「おお、これで人材確保達成して休憩も休み体制も整えることができるねアユムくん」
応接室で出されたお茶と茶菓子を夢中で食べて黙りこくっていたフェレナさん…お菓子食べすぎ!俺の分も食べやがって…ぐむむ…
「そ、そうですね…」
こうして、案内された場所で衝撃を受けることになるのだった。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
面白そう、続きが気になると思ってくれましたら星の評価をお願いします。




