第二十七話 オリビア姉妹の生きる道 前編
私は魔族国家ガルディアス帝国で侯爵家に産まれた双子の妹、カナー・オリビアと申します。
侯爵家で産まれたから公爵令嬢ってことになりますね…しかし、私達双子は良い固有スキルに恵まれなかったことにより、幼少の頃から、人間国であるグレイモルア王国で冒険者として活動していました。
私達姉妹はそれはそれは厳しい冒険者活動の中で固有スキルの不遇で苦労しながらもBランク冒険者として頑張っていました。
そんな中、ある貴族の依頼で、謎の店を調査してくれないかという依頼を受けMIKAZUKIなる店を調査する為、姉妹二人で調査することになりました。
貴族からの依頼と言うことで、報酬も良く、調査だけでいいからという依頼はなかなか無いので即決でした。
北区の一角で、その店はとてもキラキラ輝いて周りからとても浮いている存在でした…
「姉さん、本当にここが例の店なの?」
「そうみたいねぇ、それにしてもなんのお店かしら…」
「とにかく、入ってみなきゃね」
「ちょっと、カナー待って!」
「え?なに?」
「ガラスよこの扉は…一体いくらかかってるかわからないわよ」
「で、でも、調査しないといけないんだから」
「それもそうねぇ、それじゃ入ろう」
そんなやり取りをしつつ中にはいると、20名を少し越えるほどの人数が入っており、「美味い」「最高」の言葉が響いていた。
「いらっしゃいませMIKAZUKIへようこそ!」
「大変申し訳ございません…只今、席が満席でございます、こちらに名前を記入の上お待ちいただけますか?」
と、声を掛けてきたのは、昔、一緒のパーティーで組んだことのあるCランク冒険者のフェレナだった。
「アンタ、なにしてんの?こんなところで」
「あーーーカナーじゃん!久しぶり〜」
「久しぶりじゃない!なにやってんのって聞いてるの!」
「んーと、あたし、冒険者引退したからここで働いてるのよ」
「は?引退した?嘘でしょ?」
「カナーに嘘ついてあたしになんの得があるのよ」
「いやいや、得とかどうでもいいから」
「それより、満席だからコレに名前書いて待っててくれる」
そう言って、フェレナはこれまた上質で真っ白な紙を渡してきた。
「見たところ食堂みたいだけど、ガラスを使ったドアやこの真っ白い上質な紙なんて、一体どこから入手しているんだろう……」
名前を記入し、しばらく待ってるとフェレナから名前が呼ばれた。
二名がけ席に案内されてメニューを渡されたので、どんな料理があるのか、内心ではワクワクしながら目を通した。
見慣れない料理が書かれていて、どれを頼んだらいいのかわからない……貴族からの依頼で来ているが、もうすでに料理を出す店と言う事はわかったので依頼達成ではあるものの、料理を食べずに帰るには惜しいと思えるほど、良い香りが店中を覆っていた。
「姉さん、どれを頼む?どれを頼んだらいいか分からないわ」
「私もわからないから、フェレナにオススメを聞いてみてから注文したほうがいいかもね」
二人で相談して、フェレナを呼ぼうとした時に、厨房から、黒髪黒目の男性が私達の席の側を、料理を持って通り過ぎるとこだった。
「あの、すみません、注文いいですか?」
「あ、少々お待ちくださいませ、席に設置されているベルを鳴らして貰えますか?」
「え、ベル?」
「はい、そちらにあります、赤い装置を押してもらえますか?」
指を刺された方向を見ると、そこには赤い装置が置かれており、言われた通りに装置押すと知らない鳥の鳴き声が響く…
「カッコー♪カッコー♪」
「はい、畏まりました。少々お待ちくださいませ!」
従業員一同が元気よく応える。
「お待たせいたしました、ご注文をお伺いいたします。」
フェレナが来ると思っていたのだが、注文を取りに来たのは先程声を掛けた男性が来た。
「注文が決まらなくて…どんな料理がオススメなのか相談したいのですが…」
「なるほど、それではMIKAZUKIカレーとチーズハンバーグがオススメです」
「どんな料理か、わからないけど…それでお願いするわ」
「畏まりました。しばらくお待ちくださいませ 」
軽く礼をしたあと、早歩きで私達の席を離れる男性。
正直、どんな料理かわからない為、私達姉妹は周りをキョロキョロ見ながら料理を待つことになった。
長らくお待たせしてすみません…。
オリビア姉妹の話を一話で終わらせるつもりが終わらなかった…。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
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