第24話 スキルの獲得について
隣の席で美味しそうに月見ハンバーグを食べているジュリエナさんだが、中央区から北区までダッシュしてきたという話をパートンから聞いた。
「なんでダッシュなんですか?それにしても息切れも無しによくここまで来れましたね?」
「え?何言ってんの?スキル使ってるに決まってるじゃない」とフェレナさんが突っ込む。
「えっ…」
「アユム様はもしかして、アユム様だけスキルが使えると思っていらっしゃいますか?」
「いや…それは思ってないですけど…普通の人でもスキルが使えるなんて話は知らなかっただけです」
と答えると、その場にいたみんなの顔が引き攣る…
「おほん…普通の人も当然使えます。」
「例えば、アユムくんで言うと料理を作る作業を繰り返しすることで料理スキルを獲得するってこと、あたしもソロ冒険者で料理したりするから、料理スキルは持ってるわよLv1だけどね」
「おや?ということはですよ、自分も剣なんかを振り続けたら剣術スキルが発生するってことですよね?」
「ええ、獲得しますわね、でも個人差がありますからアユム様がすぐにスキル獲得できるかはわかりませんが…」
なんて素晴らしい世界なんだと俺は思った。せっかく異世界に転生したんだから、ファンタジー世界を堪能したいって思うのは無理もないだろう。もし、自分に剣の才能が無かったとしても、生きていく上で必要になるかもしれないし、たまに素振りするくらいバチは当たらないだろう。
「パートンも何かスキル持ってるの?」
「俺ですか?俺は農夫ですので、剣術スキルは持ってないですが、クワや鎌を扱うので、打撃スキルと斬撃スキルは獲得してますね」
俺はパートンを鑑定してみた。
【種族】 ヒューマン族
【名前】パートン
【年齢】 42歳
【職業】 農夫
Lv7
【体力】150
【魔力】30
【攻撃】50
【防御】40
【俊敏】25
【スキル】打撃Lv2 斬撃Lv2 土魔法Lv1
【固有スキル】アースマインド
「すごいよパートン!、土魔法が使えるじゃないか!」
「えっ、アユムさんは鑑定スキル持ってるんですか?」
「あ…やべっ…」
あまりに興奮した為に、鑑定スキルを知る人を減らす為に秘密にしていることを忘れてうっかり話してしまった。
慌てて口を抑えるが、もう遅い…
「パートン、今の話は郊外しない様に頼むよ…もし喋ったらパートンも酷い仕打ちを受けることになると覚えておいて」
「わ、わかりました。絶対に郊外しません」
もう鑑定スキルを俺が持っていることはバレたので、パートンに質問する。
「パートンの固有スキルのアースマインドって何?」
「アースマインドですか…そうですねぇ、少しだけですが、土の精霊の声を聞くことができる能力ですね、例えば、次に作る野菜はどれくらい収穫できるとか、どこで育てるとよく育つとか教えてくれる能力です」
「ほぅ、凄い。精霊もいるってのが驚きだけど…」
俺の感想について、フェレナさんからのツッコミが入る。「そりゃ、いるわよ魔法バカのエルフは精霊が進化した姿がエルフの始まりとされてるくらいだからね」
なんで、エルフの話になると、フェレナさんは口が悪くなるのか謎なんだけど…昔、なんかあったのだろうか?
そうこう話しているうちに、ジュリエナさんが食事を終えて支払いをしてくれた。
「今日も大変美味しゅうございました。では、また明日、ごきげんよう」
「はい、毎度ありがとうございます」
ジュリエナさんが帰るので、すかさずジュリエナさんを鑑定する。
【種族】 ヒューマン族
【名前】ジュリエナ・マーキュリー
【年齢】 22歳
【職業】 商業ギルド副ギルドマスター
Lv15
【体力】180
【魔力】60
【攻撃】70
【防御】60
【俊敏】40
【スキル】剣術Lv3 棒術Lv2 槍術Lv2 武術Lv3 風魔法Lv3 算術Lv5
【固有スキル】駿足
………ん?
ジュリエナさん、めちゃめちゃ強いじゃないですか!
俺の驚愕した顔にフェレナさんが反応してツッコむ、「アユム君、勝手に鑑定しちゃ駄目!」
「あ…いや…ごめんなさい」
「まったく…もう、強かったでしょ?彼女」
「え?あ、はい、もの凄く強かったです」
「やっぱりねぇ〜立ち振る舞いが普通じゃないとは思ってたのよ」
「そんなことも、わかるんですか?」
「わかるわよ、あたしだってCランク冒険者だもん、相手の強さも知らなくて冒険者なんてできないわよ」
「その割には、ギルド長相手によく絡みますよね」
「ギルド長は別よ。話せばわかるやつだから」
まぁ、それはそれとして、パートンも待ってるわけだし、スキルレベルも早いとこあげてしまわなきゃ…