第一話 MIKAZUKI
そこはフォースサンデル大陸にあるグレイモルア王国の中心地に位置する町、パナットそこでひときわ目立つ看板を掲げキラキラと異世界には相応しくない電飾を付けて入り口の前に大勢の客が並んでいた。
看板にはMIKAZUKIと書かれていて子供連れの家族や冒険者など様々な人が並んで待っている…
重そうな鎧を装備し、背中に斧を背負った大柄な男が行列で並んでいる客を見て並んでる客に尋ねる。
「何だこの行列は?魔導具のバーゲンセールでもやってんのか?」
そう尋ねられた客の一人が応える…
「アハハ、違う違う、俺も初めて並んでるんだけど、知り合いに聞いた話によるとなんでもびっくりするほど美味い飯を出す店らしい」
「何だ、飯屋でこんな並んでるのか?」
「ここらへんじゃ食べたことのない異国の料理が出るみたいで美味いんだってさ、そんなに美味いなら一度は行ってみたいってことでこうやって並んでるのさ」
「へぇー、異国の飯ねぇー俺も並んでみるか」
「あんたも並ぶのかい?けど俺も大分並んで待っているけど全然動く気配がないんで出直すか迷ってるとこだよ」
尋ねた男にそう言われて一度並ぼうかと思って最後尾の列を見たもののどうも俺の腹のヘリ具合は待てないみたいだ…
仕方ないから諦めて近くの酒場で飯を食べることにした。
斧を背負った男が酒場に入ってみるとチラホラ自分と同じ冒険者がすでにいい感じで出来上がってる姿があったのを目で流し、席につくとエールと定番であるオークチョップとフライドオークを注文した。
「はい、先にエールお待ち」
エールが来ると待ってましたと言わんばかりにエールを一気に喉に流し込み再びおかわりをまた注文した。
少し落ち着いたので他の冒険者たちの話を耳にしながら料理を食べつつエールを流し込む。
冒険者達の話題はさっき自分が並ぼうとして諦めた店の話題だった…
「お前、MIKAZUKI行ってきたんだって?どうだった?」
「おう、行ってきたぞ!どのメニューもみたことがない料理ばかりで戸惑ったんだがよ、ドリンクバーというジュースが飲み放題の魔導具が置いてあってだな、料理の方はハンなんちゃらとかいう料理が美味すぎてここの料理が不味く感じていけねぇや」
「おいおい、そりゃ言いすぎだろう」
「いいや、お前も行ってみろよ、MIKAZUKIの料理を食べたら、俺らが今まで食べてた料理の常識が覆るぜ」
「ホントかよ〜、でもあの行列を毎回並ぶのはキツイぜ」
「まぁ、それはそうだが、一度は行ってみるべきだぜ」
近くで話してる行列の店MIKAZUKIの話を聞いた斧を背負った男は店の評判を聞いて…
「よし、次こそ並んでMIKAZUKI行ってみるぞ」
と小さく呟くのであった…