白い恋人たち(番外編 モデル達編 )
白い恋人たち(番外編 モデル達編 )
私(朝倉由布)は突然にジュジュの編集長に呼び出されて、事務所の扉を開けた。
中に入ると副社長(結衣のお義母さん)と編集長が待ち構えていた。「おはようございます」頭を下げて「本日はどの様な件でしょうか」って尋ねる。
副社長が「そこに座って、あと一人来るので、お話はその時にします」って答えてくれた。
私は副社長はとても厳しい人なので、かなり緊張してソファーに腰をかけた。
「どう、最近は」って尋ねられて「司会のアシスタントの仕事が入りまして、充実しております」って答えた。
さらに内容をと思っていると、ドアをノックされた。編集長が「入ってきて」って言うと、ドアが開いて橘悠さんが入ってきた。
橘さんは「失礼します」って部屋に入ってきた。開口一番。あら!朝倉さん。貴女も呼び出されたのかしら」って尋ねた。
編集長が「朝倉さんの隣に座って」って私の隣に手をかざした。
「失礼します」って橘さんが私の横に座ってきた。
副社長が「お二人とも揃ったので、今回のお話をしたいと思います。」って私と橘さんを見た。
「今回のお話は貴女達に普通のアルバイトを経験してもらおうと思って、芸の肥やしって訳なの、お願いできるかしら」って尋ねたてきた。
「いつ、どこで、どの様なことをするのでしょうか」って橘さんが尋ねた。
「内容はね。白鳥 葵ちゃんが正月にアルバイトをするのよ。アルバイトというのはスキー場のペンションのお手伝いなんだけど、一日だけ、そこで行われるイベントに彼女を参加するために、貴女達に彼女の代わりをお願いって訳なの。」って言った。
「へ~・・・イベントって何ですか」って朝倉さんが尋ねる。
「スキー場の青年団の催しなの、知り合いから是非って頼まれちゃって、でも貴女達も彼女の次の日に出演をお願いされているからよろしくね」って微笑んだ。
「「え~・・・」」二人でびっくりする。
「アルバイトの代わりだけじゃないのですか?」って聞くと、「もちろんよ」って答えてくれた。
二人で顔を見合せて、二人で苦笑した。
橘さんが「わかりました。私一回ぐらいそんなアルバイトしてみたかったの。友達も同じようなことしてるみたいだし、少しは気になっていました」ってOKした。
橘さんは高校三年生で一年からモデルを始めたから友達がアルバイトでキャピキャピしているのを見ながら羨ましかったらしい。
副社長が「朝倉さんは?」って聞いてきた。
私は短大生で今年卒業後ここのモデル事務所の専属になるから、いろいろ言うことを聞いていた方が良いのでは、と思い「わかりました。橘さんと一緒でいいです」って答えた。
その後内容の詳しい打ち合わせを行い事務所を後にした。
一緒に出た橘さんに「駅前の喫茶店で少しお話をしませんか」って言うと。
「私も、お話ししたかったです」って同意してくれ、一緒に駅に向かった。
喫茶店で、私は「レモンティー」橘さんは?「私はミルクティーで」ってウエイターに告げる。
橘さんが「二人でいると結構目立ちますね、特に男性の視線が・・・」って笑う。
「そりゃそうよ。ジュジュのトップ2・3がいるんだもの、でも気にしてちゃだめだわよ」って言う。
「でも今回の仕事は変わってますね。でも事務所で言った通りに同級生がアルバイトの話をしていると気になっちゃっていまして、コンビニとかウエイトレスなんかの話で、一緒にいる、男性の話なんかしていると羨ましいなんて少し思ってました」って橘さんは話す。
「そうね、スタジオでは男性の平均年齢なんか結構高いものね。モデル同士だといろいあるし・・・」少し笑った。
ウエイトレスが飲み物を持ってきたので話が一時中断した。
二人して飲み物を飲みながら「橘さん良かったじゃない。アルバイトの体験ができて」。
「はい。そうですね。私は良かったのですけど、朝倉さんはどうでした?」
「う~ん。何とも言えないね・・・でも、私は料理を習ってるから裏方の方でも一度腕を試してみたいわね」って笑った。
「それにしても、白鳥さんって結構自由なんだ。履歴も分からないし・・・でも友人と一緒だって話だから少しは彼女の不思議も解けるかも」
「そうだね。休憩時間に探りを入れようか」ってほほ笑んだ。
その後たわいもない話をして解散した。
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当日
副社長から白鳥さんが説明を受け私たちを紹介すると、びっくりしてしきりに頭を下げていた。
私たちはオーナー夫人に連れられてペンションで打ち合わせをして早速仕事に取り掛かった。
ペンションには白鳥さんの中学時代の友人がいて、私たちを見てびっくりしていた。
橘さんが年齢も近いこともありすぐ仲良しになった。そして彼女について、いろいろな話をしてくれたけど肝心なことは高校に入ってからのようで肝心な部分は分らないままだった。
収穫は本名ぐらいで・・・劇的な変化は高校に入ってかららしい。まああきらめるしかなく二人して彼女の代わりをする。
店に出ると最初は彼女のことを聞かれたが、私たちの出演でお店に来る客も私たちにびっくりのようで悪い気がしなかった。
しかしイベントに人を採られて集客が少なかったらしく彼女の友人や地元のアルバイトたちがなぜかホッとしていた。
接待時に読者から直接感想を聞けて私たちとっては有意義なアルバイトだった。
私(朝倉)の作る料理もそれなりに受けたみたいで少し自信がついた。後での感想だったけど白鳥さんが作る料理の方が家庭的だったらしくペンションの食堂としてはそちらの方が良いらしかったらしい。
彼女の作る料理はほんわか温かいらしく人気があるらしい。でもオーナーシェフには一流の味付けだねって誉められた。
橘さんもウエイトレスとして走り回りくたくただそうだけど、読者の感想が聞けて次の糧にできそうって喜んでいた。
アルバイトも終わり副社長と話す機会があったので今回の感想をすると「よかったじゃない」って誉めてくれた。
イベントへのゲスト出演もペンションの食堂に来てくれたお客さんが来てくれて、盛況なうちに終わることができた。
どうもモデルとしてお高くとまっているイメージが崩れたようで、これが功を奏したみたい。
このことがあり私たちのモデルとしての人気が一段と上がったのは、これからしばらくしてからのことで、私(朝倉)はなんと料理番組のアシスタントとしてレギュラーが決まった。彼女(橘)も、女優のチョイ役が決まり・・・。
後日二人で「彼女って福の神かな」なって話し合ったのは数カ月あとの話だった。