白い恋人たち(アルバイト本番編 その4 )
白い恋人たち(アルバイト本番編 その4 )
お正月はお義母さんにお願いされたイベントでアルバイトはお休みになっちゃった。
でも、イベントの参加はひろくんのおかげで、いっぱい楽しませてもらった。イベントで遊んだだけなのに出演料がもられるんだってなんか悪いみたい。
でもひろくんに言わせると「今回はほぼボランティアって話だからスズメの涙ってことだよ」って言ったけど私にとっては十分だった。
イベントは大変楽しくって。新雪10m競争なんかも、ちょっとカンジキの使い方が判らなかったけど、次第に慣れて結構速く走れた。
でも、ゴールしてひろくんを見ようと後ろを振り向くと、ひろくんが新雪に足を取られて新雪にダイブするところを見ちゃった。なんかかわいそう・・・。
最後はラッキーで優勝までもらって、思い出に残るイベントの参加だった。
このイベントはローカル地域の放送局が来てビデオ撮影し夜にローカル放送で流すらしい。菜緒子たちと一緒に見よう!!。
イベントがお開きになってペンションに帰ると、皆が手ぐすねを引いて待っていた。
菜緒子たちが朝一番に私が居ないことにきずいて、おろおろしたところにモデルさんたちが現れて、しかも私の代わりだってアルバイトの手伝いを始めてさらにびっくり仰天だって、まくしたてた。
特に朝倉さんの方は料理がとってもうまくペンションのオーナーもびっくりしていたらしい。
そりゃそうだ。ジュジュのモデルのトップ2なんだもの二人とも才色兼備のスーパーモデルなんだ。
でも菜緒子たちはまだ少し仕事が残っているので慌てて仕事に戻った。戻り際に「HIROとの共演話ちゃんと話してね」って言われた。
片付けなどと夕食やお風呂に入ったりしたら、結構な時間になってしまい、皆で見る予定のイベントのローカル放送を見逃しちゃった・・・。
皆で部屋に戻って「残念だったね」って言いながら「仕方がないよ。私たちはアルバイトに来ているんだもの」ってあきらめながらため息をついていると。
「コンコン」ドアをノックする音が聞こえ、菜緒子が「はーい」って返事をするとドアを開けて佳代子さんが顔を出した。
「菜緒ちゃん。はいこれ」ってCDを渡してきた。でもよく見ると、それはDVD-Rだった。「これ結衣ちゃんが出ていたイベントよ。録画してあげたの」って佳代子さんが中身を説明してくれた。
全員で「ありがとうございます」ってお礼を言った。菜緒子がさっそく部屋にあるDVDプレイヤーにセットして皆で見ることにした。
私はカメラ目線での内容は知らなかったので、新たな構図で見れたので大変よかったんだけど、菜緒子が「HIROって以外に3枚目なのね。菜緒なんかクールガイそのものだと思ってた。」って感想を述べる。
ひろくんは私と居る時は結構甘えん坊で、HIROとはキャラが全く違う。でも今回のイベントでの私との競技では結構三枚目を演じて皆に受けていたのを思い出した。
他の人も「HIROの意外な面を見ちゃった。ますます惚れちゃいそう」って目がハートになる。
私は思わず苦笑した。すると「いいな。結衣は・・・すぐそばに居られたんだから。この・この!!」って肘でつつかれた。
結構コマーシャルや内容によっては早送りで見たのだけど、DVDを見終わる頃は日付がもう変わっていて、私たちは慌てて就寝についた。
次の日はイベント効果もあり、全員がめちゃめちゃ忙しく一日を過ごした。菜緒子たちは「貴女の代理が来てた時より大勢の人が来たようだわ」って汗をぬぐった。
私は「彼女たちはジュジュのNO,1・2なのよ。私より集客が少ないのはたぶんHIROの所為なんだわ」って心で思った。
アルバイトもあと一日で終わりになる。ファイト”結衣”って自分で自分に気合を入れた。