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白い恋人たち(イベント 打合せ編)

白い恋人たち(イベント 打合せ編)


白石さんが打ち合わせ資料をテーブルに並べながら「奥さんは?」って聞いてきた。


「結衣は今日からアルバイトですよ、さっき駅に送って行ったばかりですよ。」って答える。


「ふ~ん・・そうなんだ。」って不適な笑いを向ける。俺は何か裏があるのかと怪訝な顔をすると、すっと目線をずらしテーブルの上に資料を並べ始めた。


内容はスキー場でのお正月の盛り上がりイベントだった。こんな時期によく決まったものだと感心する。内容はたいしたものではなかったのだが・・・。


白石さんがさらっと説明し素早く片付けて、次の仕事のプレゼン資料をテーブルに並べ始めた。


なになに、俺は並べた順に軽く目を通す。「白石さん。この企画って、まさか・・・ジュジュがらみ?」って顔を上げて白石さんの顔を窺がう。


白石さんは微笑を浮かべながら「正解よ。」ってコクリと頷いた。


俺はため息をつきながら「やっぱり・・・そんな感じがしたんだ」って言いながら企画書に全部目を通す。


俺は「相手役は?」って尋ねると。「現地調達よ」って真顔で答える。


思わず「そんな顔をしても無駄だよ。ちゃんと確保してあるんだろう。俺の一番知っている人を」って覚めた目で言った。


「やはり、私では誤魔化し切れないわね。ちゃんとオーナーには話を通してあります。人数も確保済みです」って話した。


「相手のメイン役は、まさか・・・じゃないだろうね」って白石さんの口から言わせようとする。「御免口止めされているの、言えないわ」って苦笑した。


「ふ~ん。まあいいかすぐに解る事だから」って追求をやめた。


白石さんが「出発は明後日です。足はお願いできるかしら」って聞いてきた。


「もうそのつもりでしょう」って笑って答えると。白石さんも笑いを堪えて頷いた。


家に帰る途中に「まあいいや。お袋には、だまされてあげよう」って独り言を言いながら岐路を進んだ。


明後日、俺のセカンドカーで長野に向かう道中に「白石さん。同乗するのはいいけど帰りは?どうするんです」って聞くと。


「あら大丈夫よ。帰りはお邪魔しないわよ。ちゃんとスタッフと一緒に帰るよう手配してあるわ。ふふふ」ってからかいぎにみ笑った。


山道に入ると路面は雪で覆われているけど、極太のスタッドレスタイヤとLSDでスムーズに上ってゆく。


ゆっくり駐車場にとめると、先についていたスタッフが私達を迎えてくれた。


スノーモービルでペンションに向かう。ペンションに近づくにつれ人だかりが増えてゆきペンションの前は人でいっぱいだった。


白石さんに「大丈夫ですか?俺ばれてません?」って尋ねると、「おかしいですね、絶対にバレてはいないと思うんですが」って頭をかしげた。


俺達はこそこそと裏口からペンション内に入った。


ドアを開け中に入ると、女の人が待っていた。「ご苦労様です。私オーナーの家内の大林 佳代子です。皆さんお揃いになっていらっしゃいます。三階の大広間へ案内します。」って階段を上っていった。


「こちらこそ、よろしくお願いします」ってオーナー婦人の後を白石さんと追った。


大広間に入ると、青年団の皆さんとジュジュのスタッフが私達の到着を待っていた。


「お待たせしました。」って挨拶をして中に入る。青年団の女性スタッフがよろめきだす。青年団の責任者が私の前に現れて握手を求めて、「遠いところまで、ありがとうございました。私は今回の責任者の佐橋です。よろしくお願いします」って挨拶をしてきた。


「いいえ。こちらこそ、よろしくお願いします」って握手した。


彼に案内されて、大広間の上座に案内されてそこに座った。


青年団のスタッフによるイベントの説明を受けて、最終の確認を取った。このイベントを受ける代わりにジュジュの撮影のお手伝いをしてくれるって言うことであった。


撮影時の場所の確保や人員の整理やもろもろを全部引き受けてくれるらしい。


「よろしくお願いします」って会合を終えた後、なにげに、このペンションの前の騒ぎを聞いた。「佐橋さん・大林さん。このペンションの前の人だかりは何でしょうか?今回のイベントは極秘だと聞いていましたが」って二人に尋ねた。


佐橋さんが「大丈夫です。貴方のことは絶対ばれていません。でもこの騒ぎは・・・たぶん彼女のせいだね」って大林さんを見た。


「佐橋さん。どうせばれちゃうので言うけど親戚の子とその友達がアルバイトに来てるのだけどそのお友達の中にジュジュのモデルの子が居たのよ。HIROさんも競演したことのある、白鳥 葵さんが居るせいよ。でも外部にはそっくりさんって言ってるんだけど・・・口コミでどんどん広がっているようで」って困惑の顔をする大林さん。


佐橋さんや男性陣は、キョトンとするけど青年団の女性スタッフから「やっぱり・・・彼女がアルバイトしてるって本当だったんだ」って声が聞こえた。


大林さんが「ぐれぐれも、他言無用にてお願いします」って皆に釘をさした。


女性陣が「あとでこそっと合わせてね」っておねだりした。男性陣が「そんなにすごい子なんだ」って言うと「美人じゃないけど可愛いというか、とにかく人気があるのよ」って女性陣の一人が代弁した。


俺は、そ知らぬ顔をして「ふ~ん。彼女居るんだ。しかもアルバイト?面白い子だね」って笑った。


その後、佐橋さんの案内で隠密にホテルに入った。


結衣に電話を入れると、大変らしく「そうなの・・・」って声が沈んでいた。


結衣はジュジュの企画を聞いているらしく、俺がこちらに居ることを知っていた。


俺が「夜、こそっと会おうよ」って言うと「うん」ってうれしい声が戻り、落ち合う打合せをして電話を切った。


「今年の正月は面白くなりそう」って俺はベットの上に寝転がった。


夕食後、待ち合わせ時間になって、結衣との待ち合わせ場所に変装して向かった。


外ではナイターが行われており、俺達が会っていたくらいではわからない状態だった。


ペンションに近づくと、裏口から出てくる結衣を見つけた。手を振ると、結衣も見つけたらしく手を振って俺に向かって駆け出した。


開口一番「ひろくん。会いたかった。」って抱きついてきた。「俺もだよ」ってしっかり抱き寄せてキスをした。


「アルバイト大変なようだね」って聞くと「ううん 大丈夫だよ」って答えてきた。


「どれくらい時間が取れる?」って聞くと「15分~20分ぐらいかな」って結衣が答える。


「それじゃ、俺の部屋には来れないな」って拗ねると、「私もさびしいんだよ」って結衣が言って俺にしがみつく。


たわいもない話しか出来ず、俺は「メールするわ」って、キスして別れた。


今年はだめかと思った、カウントダウンが何とかなりそうで俺は意気揚々とホテルに戻って行った。








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