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白い恋人たち(バイトスタート前 編)

白い恋人たち(バイトスタート前 編)


私たちを乗せた菜緒子のおじさんの車は休憩のため高速道路のサービスエリアに寄っている。


四人して、エリア内の売店でキャピキャピ騒ぎながらみやげ物やさん内を徘徊する。


佐織が「ねえ。あの人たち私たちを見てるよ」ってこそっと伝えてきた。


横目で見ると、四人組の大学生らしき人たちが私たちを見ていた。さらに菜緒子が「あっちにも、三人組の人が見てるよ」ってすこし笑った。


私たちがソフトクリームを買ってテーブルで休憩していると、その四人組が私たちに声を掛けてきた。


「ねえ、君たち何所に行くの?」


裕未が私の耳元で「結衣。ナンパだね」って言うと、思わず「え~・・」って声を上げた。慌てて、裕未に口をふさがれ、もぐもぐする。


菜緒子が先頭に立ち「駄目だよ。私たち全員彼氏いるもん」ってやんわり断りの返事をする。


佐織が、裕未と私に「結構全員イケメンじゃん。ナンパされようかな」ってこそっと言う。


彼氏暦名が長い裕未が佐織を睨んだ。佐織は「へへへ・・・」苦笑いだ。


彼らは「何だ、彼氏いるんだ。残念・・・君たちは高校生かな、俺たち先生の卵なんだ。これか俺らは志賀高原にボードをやりに行くんだ。仲良くしようよ」って言う。


先生の卵って聞いて、すこし安心したのか菜緒子が「私たちも、志賀高原に行くよ、但しアルバイトなんだ」って言うと。


「へえ、そうなんだ。何所でするの、遊びに行っていい」って軽いのりだ。


裕未が「先生目指してるんでしょう。そんな軽くていいの!!」って強く言う。


「この二人は、目指してるけど、俺とこやつは免許だけ取ろうって、さんだんさ。少しぐらい羽目は外さなきゃ」って口調も軽い。


菜緒子があからさまにいやな顔をする。その時、おじさんが「お~い、出発するぞ」って声を掛ける。


奥に居る人が「あれれ、大林さんじゃないですか」って先生を目指している人が話しかけた。


おじさんが「え~っと君は・・・」「やだな、忘れたのですか?上ノ内ですよ」って話しかける。


「おお、そうだったね。御免旨く思い出せなかった」周りを見て「お前らは何処に行くんだ」って言う。


「俺ら、ボードをやりに行くんですよ。おじさんのペンションとは離れているけど、遊びに行きますよ」って笑いながら話した。


おじさんは腕時計を見て「お!、悪い遅くなるからお先に」って車に向かう。私たちも「じゃ」って慌てておじさんを追いかけた。


残った彼らは口々に「一人飛び切り可愛い子がいたな、ぜひとも親父さんのペンションに遊びに行こう」って話し合っていた。


私たちの話を盗み聞きしていた、何組かの男のグループも同じようなことを思っていたとは、ぜんぜん知らない私たちだった。


この話でペンションに人が、ごった返すのは数日後の話だった。


車の中で、おじさんが彼らの話をしてくれた。「あいつらたちは、以前にアルバイトをしてくれた連中で、仕事はがんばってくれるのだが、軽い連中で、すぐ一緒にアルバイトしていた子をナンパしようとするので、いつもしかってばかりだった」って話してくれた。


「でも、根は悪い連中で無いから、時にはアルバイトの女の子をナンパから守ってことも有ったよ。少しは下心もあったようだが。ははは」って笑った。


菜緒子が、「先生の卵だって言ったよ」って言うと「もうあいつ等は就職か、時はたつのは早いな」って、驚いたようだった。


車は高速を降りて山道に入る。道路も回りも雪で覆われて、白銀の世界になっていた。おじさんは巧みなハンドルさばきで、まるで普通の道を走るように駆け上って行った。


大きな駐車場の淵に車を止めると、二台のスノーモービルが私たちの車に横付けされた。なんと、乗っている人は女の人だった。


菜緒子がさっさと降りて「おばさん。来たよ」って声を掛ける。女の人は「奈緒ちゃん。はるばる、ありがとうね。皆も無理言って御免ね」って私たちににも声を掛けた。


私たちは、早速一番後ろのそりに荷物を載せて、座席に座った。


おばさんは「行くわよ」って声をかけて、勢いよくアクセルを開けた。すごい音ともに、ぐんぐん真っ白なゲレンデを登って、おじさんが経営するペンションに到着した。


ペンションはすごく大きかった。特にレストランが大きく2階部分の半分が吹き抜けで開放感もある。


一階がレストランと厨房で二階が売店と貸しスキーなどでその上が宿泊施設だ。新築ですごくきれい。


おばさんは、裏口からペンションに入り。三階の大広間で休憩中の何人かと顔合わせする。


迎えに来てくれた、もう一人の女性はおばさんの妹さんで小田 幸子さんって言う人だった。


厨房には幸子さんの旦那さんとおじさんがメインで料理を作る。後のお手伝いはパートのおばさんが6人での交代で常時は2人、ウエイトレス役は私たち四人と地元の女子高校生3人と力仕事のウエイター兼雑仕事役の男子高校生3人だそうだ。後夕方からも少し人が来るそうだ。


おばさんが、私たちに料理が少しは出来る人は?って聞いて来た。おずおずと手を上げると休憩していた地元の女子高校生の一人が「私もいい」って手を上げた。


私と地元の女子高校生が厨房に連れて行かれて野菜のカットの試験をやらされた。彼女が先にキャベツの千切りを行う。


おばさんは「翔子ちゃん旨いわね」って褒めた。次は私の番だ。お義母さんに鍛えられた腕を発揮する。さくざくさくスムーズなリズムで野菜をカットした。


「あらまあ」おばさんがびっくりした顔で私に「結衣ちゃん。貴女ってすごく旨いのね、誰に教えてもらった」って聞いてきた。


私は「お義母さんに、鍛えられました」って答えた。おばさんは「すごいわねあんたのお母さん」って豪快に笑った。


「じゃ。二人は厨房が忙しいときはお願いね」って言って皆で大広間に戻った。


奈緒子たちが私に「あんた。中学の時にはなにも出来なかったじゃない。いったいどうした?」って不思議がられた。


私は、ひろくんの為にいっぱい覚えたとは言えず「へへへ・・・」ていつもの曖昧な返事で返した。


地元組の高校生たちは以前から仕事だけど、私たちは明日からなので部屋に入って休憩することにした。


佐織が「みんな良い人たちみたいだね。明日からがんばろうね」って、まず全員でラフな格好に着替え始めた。


私を除いて皆はミニスカートだった。「なによ皆。何か意識してない?」って言うと、全員が「これくらいのかっこうしなきゃ、あんたに男ども、全員もってかれちゃうよ。だって結衣かわいすぎ」って言われる。


着替えたので、全員でペンション内を回ることにした。2階の売店には一緒に野菜を切った翔子ちゃんがレジに立っていた。


売店には地元のお土産などがいっぱい並べてあり、裕未が「これ可愛い」って地元のキャラクターのぬいぐるみを手にとって言う。


翔子ちゃんが「それって、人気があるのよ。皆結構買っていくわ」って話す。私たちが見ている間もカラフルなウエアーを着たお客さんがいろいろなものを買っていった。


二階から下のレストランを覗くと、やはりかなりの人が休憩をしていた。


大広間に行くと、男子高校生の二人とパートの女の人が2人、休憩していた。


奈緒子が先に入って挨拶をする「初めまして、私たち、明日から皆さんと一緒に働かせてもらう者です」そう挨拶をすると。


パートの姉さんが「オヤジさんから聞いてるわよ。私は斉藤 美津枝 よろしくね」って告げる。隣の人も「小野田 由紀よろしくね」って言ってきた。


私たちは、頭を下げて「よろしくお願いします」って告げ、奈緒子が自己紹介を始める。


「私は、大林 奈緒子です。四人は中学からの友人で、この二人は同じ高校です。名前はこちらが、右から足立 裕未と隣が西村 佐織で、私の左隣が紺野 結衣です」って紹介してくれた。


すると男性人が「俺。加賀見 雄太よろしく」「俺は佐橋 省三仲良くしよう」って笑って挨拶してきた。


奈緒子は「ゆうくんに、しょうくんね。よろしくね」って、あっという間に親しくなった。


美津枝さんが結衣を見て「貴女。どこかで見たような気がする・・・」私は、ドキっとする。


奈緒子が声をかぶせて「結衣は可愛いからどこかのモデルにチョイ似かもしれないね」ってかばってくれた。


雄太君が柱時計を見て「休憩時間が過ぎちゃったよ」って四人して慌てて大広間から出て行った。


私がモデルをやっていることはここでは奈緒子しか知らない。よく利く機転でばれずにすんだ。


ここにいると皆が休憩に来て四人で旅の疲れ取りしている間に全員と挨拶が出来ちゃった。


夕方になると夜専用の人が来て食事の支度などする、でも明日からは夜組みはお休みに入りその代わりは私たちだ。


片づけが終わると夜組みは「私たちは正月休みに入るから、後はよろしくね」って手を振って帰ったいった。


おじさんの奥さんが「今日はお客さん扱いだからお風呂に入って、お部屋で遊んでおいで、でも明日からは朝早いから、お寝坊さんしない様に早く寝るのよ」って釘も刺された。


私たちは「は~い」って答えて、早めにお風呂に入り部屋に戻った。


部屋の戻ると、恋ばなでもしようと奈緒子が張り切ったが、佐織が「私もうだめ」って、布団を引いて、眠りに入った。佐織はアルバイトが始めての上に、色々気遣いで疲れが出たらしい。


裕未も同じくあくびを繰り返す。私は奈緒子の顔を見て「私たちも寝ようか、朝早いんだし」って話す。


奈緒子も「そうだね。結構早いもんね」ってお休みの準備にかかる。「奈緒子。明日からって五時半起き?」って聞いた。


「ううん。そんなに早くなくてもいいよ。六時過ぎでも十分間に合うって、佳代子おばさんが言ってたもん」って言った。


佳代子さんはペンションオーナーの奥さんの名前だ。仕事は速く頭が切れて経営にたけてるらしい。


「わかった。六時には起きるようにするわ」って、目覚まし時計をセットして、皆で「お休み」って言って、眠りに入った。


佐織たちはペンションに着いてから、かなりバタついたりしたから、だいぶ疲れたようでけど、私は、葵家に慣らされているのか精神的にもあまり疲れなかった。


布団に入ってボケーっとしていると、奈緒子たちの寝息が聞こえてきた。私も寝よっとって目をつぶった。


明日からは、アルバイトのスタートだ。心で「がんばろう」って気合を入れて、「ひろくん。おやすみ」って眠りに入った。










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