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クリスマス大作戦の計画

クリスマス大作戦の計画


私は、お義母さんから貰った企画書のプレゼントのところを何度も読んで、ひろくんとのクリスマスの過ごし方の作戦を練ることにした。


そして、ひろくんに「今年のクリスマスは私が企画するから24日と25日は空けておいてね」ってお願いした。


すこし驚いた顔をしながらも「結衣。解ったよ、今年は結衣に任せる」ってひろくんが微笑んだ。


早速一生懸命考えてた計画を実行することにした。まずはホテルのスイートルームの予約の電話を入れる。


予約には遅すぎたようで私が考えるところはすべて予約で一杯だった。「後は高級ホテルしかなくなった。う~ん。予算が・・・」そして。


あっと思い出した。お義母さんからカードを受け取ったんだ。いくら入ってるかな?っと思ってATMで確認すると、目が点になった。


丸が異様に多い。一・十・百・千・万・・・・残高は一千万円を超えていた。あわてて、お義母さんに電話を掛ける。


ルルルルル。三回目のコールでお義母さんが出る。「お義母さん。結衣です。この前いただいたカードですが・・・こんなに貰ってよいのですか?」って聞いた。


お義母さんは、笑いながら「結衣ちゃん。これでも少ないほうよ、学生だから少し抑えさせてもらったけど、本当だったらその金額の倍以上はあげてもいい位よ」って笑う。


思わず「は~・・・」ため息が出た。でもこれでホテルのレベルアップが出来る。お義母さんに「ありがとうございます」ってお礼を言って電話を切った。


一生懸命あっちこっちに、電話を掛け捲ると、一箇所だけ空いていた。あわてて予約を入れた。思わずガッツポーズが出る。


空いたいたのは鳳グループが経営している超高級ホテルだった。かなり予算オーバーだけど何とか予約が取れてよかった。


私が電話を掛けた少し前にキャンセルが入ったらしい。ラッキーそのものだった。


そしてひろくんへのプレゼントの購入とディナー最後に出してもらう手作りケーキの特訓だ。ケーキは薫に頭を下げまくって教えてもらうことにする。


学園で薫に話しかける「薫ちゃん。お願いがあるんだけど」って、彼女の前で両手を合わせて頭を下げる。


薫は少し苦い顔をして「結衣がそんなお願いって事はどうせとんでもない話でしょう」って苦笑いする。


「おねがい!。クリスマス前までにケーキの作り方を教えて、とびっきりの凄いやつを」ってさらにお願いをする。


それを聞いていた、他の女子も慌てて薫の周りに集まって薫にお願いをし始めた。薫がさらに苦笑する「結衣がこんな所で言うから、とんでもない事になりそうだよ」ってため息混じりに言った。


「薫・・・って言うことは、OKって事だね」って薫が引き受けてくれるようで、ホッとする。皆で「よろしくお願いします」って頭を下げた。


弘子が「薫クッキングスクールの開催だね」って薫の肩をたたいた。すこし落ち込みを見せる、薫だが・・・「よし!!私について来い」って気合を入れた。


週三回。薫の家でケーキ作りに励む。薫の怖い声が飛ぶ「結衣。そんなんじゃ駄目!!最初からやり直し」「薫ごめん。もう一度やり直します」


薫のお母さんが「薫。あんた厳しすぎよ」って助け舟が入る。


薫の厳しい特訓で、12月の中旬にはどうにか格好が良いケーキを作成することが出来た。後は本番に臨むだけなの、自分で勢いをつける”がんばれ!!結衣”。


そして空き時間に手編みの・・・へへへ。今帽子を編んでいるんだ。なぜ帽子かって言うと、1月の終わりにに学園でスキー研修があるんだ、最初はひろくんので、後から私のも編むんだ。もちろん御揃いのね。


帽子って言うのは裕未が彼氏に編んでるらしく、冬休みに一緒にスキーへ行くんだって、そのアイデアを頂いちゃった。


でも裕未も試行錯誤であまり旨く編めないらしく、ケーキやさんで会った数日後に連絡を取ったら、半分投げ出し状態だったらしい。


逆に私に泣きつかれちゃった。私は去年多治見夫人から教えてもらった、手芸店の神谷さんを二人して尋ねることにした。


学園が終わり裕未が指定する駅で待ち合わせをする。丁度この駅からバスで15分ぐらいと所にお店があるので丁度よかった。今回は多治見婦人を通さず直接連絡したけど、すぐ多治見婦人に連絡が入り「もう・・水臭いわね」って結局仕切られた。店で待ち構えているらしい。「ふ~・・・」。


駅前で裕未と待ち合わせをしていると、大学生と思われる人たちから声が掛かった。


「君。ひとり? その制服は白鳥学園だね。ちょっとお茶しない」って数人に囲まれる。柱を背に下を向く私・・・。


その時「結衣?」って声が。顔を上げると佐織が居た。男の人たちは佐織にも「あんたは、青葉台だね、彼女と知り合い?折角だから二人とも一緒にどう?」って佐織のも声を掛ける。


佐織はあわてて私に駆け寄り二人して固まる。そして裕未と菜緒子も現われると、相手も丁度四人で一人ひとりが私たちの手を引っ張ってゆこうとする。


一番気が強い菜緒子が「辞めてください」って手を振り切る。「よお・・・ねえちゃん威勢がいいね」ってへらへら笑い出す。


私は手首を掴まれて黙って下を向いて引っ張られないように抵抗するだけだった。そのうち一人が佐織の手を大きく引っ張ると「キャー」って佐織が悲鳴を上げた。


その時聞き覚えのある声で「こら!お前たち。彼女たちが嫌がってるじゃないか」って声がした。


顔を上げると「あ・・・間宮さんに稲波さん」って言うと、彼らは私たちを掴んでいる手を振りほどいてくれた。


男の人たちは「てめえ、邪魔するなよ」って凄んできた。間宮さんたちは私たちを背中に回し「嫌がるナンパなんかやめときな」って諭すが・・・。


そんな説教も無視して、男の人の一人が間宮さんに襲い掛かる。でもあっという間に腕をひねられ苦痛に顔をゆがませる。


間宮さんは私たちの方を見て、ニヤって笑った。私は「間宮さん。すみません」って言うと。


男の人の中の一人が「え・・お前は間宮・・・」って言うと、他の二人が「まさか・・・都大会優勝の間宮5段?」って言う。


間宮さんは男の子たちを睨んで「お前たち。いい加減に、女の子の嫌がるナンパはやめろって言ったろう」って低い声で、諭す。


彼らは、口々に「やばいよ、やばい」って、最後には、この場からあわてて足早に逃げ出した。


人だかりが出来ていた駅前に騒ぎが収まったことで皆がばらばらに足早に解散して行った。


そしていつもの駅前の風景に戻る。私たちは間宮さんたちに「ありがとうございます」って頭を下げた。


間宮さんは「葵ちゃん。待ち合わせは、どこかの店の中の方が安心だよ」ってアドバイスをくれた。


世間話をしようとするところに、後ろから声が掛かる「結衣ちゃん」って、女の人の声で呼ばれる。


振り向くと「あ・・・神谷さん、どうしてここに?」って、聞いた。


「用事で駅前に来てたんだけど、ごめんね。少し前から見てたんだけど・・・びびっちゃった。でも貴女って頼もしいボディーガードが居るのね」って笑って言った。


裕未たちも、神谷さんの話に同調する。「「そうそう、結衣って凄い人と知り合いなんだね」」って言う。間宮さんと稲波君が困惑する顔をした。


彼らは、照れた顔をして「俺たちは、もう行くわ。気をつけろよ」って二人は手を振って離れて行った。


神谷さんが「一緒に行きましょうか」って歩き出すと、私たちは「はい」って返事をし、神谷さんの後を付いて行った。


歩いている途中、何気に菜緒子が「結衣。あんたさっき、葵って呼ばれてたね。どういうこと?」って尋ねてきた。


私は、心の中で「しまった」って思い。私が苗字が変わって事がばれちゃった・・・どうしよう、困った。


困った顔で下を向いて歩いていると・・・ショーウィンドーのマネキンに私が着た事のある衣装を着たマネキンが立っていた。


ピン。私はある考えが浮かんだ。「菜緒子。横のウィンドーを見て」って言うと、菜緒子は横を向いた。


「あ、これね。ジュジュの表紙でモデルが着ていた衣装だね。」って、菜緒子が言う。


私はさらに、「モデルの名前知ってる?」って言うと、「当たり前じゃん。白鳥 葵 って言うんだよ。」って言ったので。


「そのモデルって・・・実は、私なんだ」って言ったら、菜緒子は、大きな声で「え~・・・う・そ・・・」って唖然として私を見た。


菜緒子が、あまりに大きな声を上げたので、周りの人にじろじろ見られる。キョトンとする裕未を尻目に慌てて、神谷さんのあとを追った。


でも菜緒子には「後で、じっくり聞かせてもらうからね」って言われてしまい、「わかった」って私は、菜緒子にモデルの件の話を約束させられた。


でも、モデルの話で苗字が変わったことをごまかす算段を考えた。しばらく歩くと、私たちは、神谷さんの手芸店に到着した。


神谷さんが店の中に入ると、店員さんが「社長。お帰りなさい」って、頭を下げた。神谷さんは「留守中は変わったことは無かった?」って聞くと。


店員さんの一人が「変わりは無いです」って返事をした。神谷さんは、後ろに居る私たちを見て、「今日は手芸教室は空いてるわね、彼女らと使うから何かあったら連絡して頂戴」って、私たちを、奥の部屋に案内した。


私たちは、少し頭を下げながら、神谷さんの後に続いた。奥の部屋に入ると、多治見婦人が待ち構えていた。


多治見婦人は開口一番「結衣ちゃん。遅かったのね」って、笑いながら言った。


神谷さんが「彼女たちは、駅前でナンパされていたのよ」って遅くなった理由を代わって言ってくれた。


多治見婦人は「結衣ちゃんは可愛いからすぐナンパされちゃうね」って、からかった。そして「今年は、なんにするの」って尋ねてきた。


私は、「今年は帽子の予定です。他の友達も同じなんです。でもこの彼女はマフラーなのよね」って佐織向かって言った。


佐織は「どうせ、私だけ彼氏ができるのが遅かったんだもんね」って少し頬を膨らまして言った。


「まあまあまあ」ってたしなめる神谷さん。私たちは全員「くすくす」って笑い始めちゃった。


「さあ、始めるわよ」って神谷さんが号令をかけた。菜緒子達は紙袋から毛糸を取り出し、網掛けを神谷さんに見せた。


私は、毛糸の色選びからなので、一度店内居に戻って選び事にした。配色は去年と同じにして御揃いにする事にした。


赤・白・黒の三種類の毛糸で店員さんが帽子を編むのにいいぐらいの太さの毛糸を男の人の頭に合う分を出してきてくれた。


教室に戻ると、菜緒子達がアドバイスを聞きながら真剣に編んで居た。神谷さんが手順をきちんと教えてくれる。


私も、真剣に編み物に集中して編んで行った。一時間位したところで、神谷さんが「今日はこれくらいにしましょう」って終わりを告げた。


私たちは、神谷さんにお礼を言って店を出ようとすると、多治見婦人が「結衣ちゃん。家の旦那が迎えに着てるから乗せてってあげる。」っと言ってくれた。


「でも・・・迷惑じゃないです?」って遠慮すると、神谷さんが「駄目だよ、一人で居ると、又ナンパされちゃうよ。乗せてもらいなさい」って言う。


菜緒子たちも「結衣は、そうしなさい」って命令されちゃった。「多治見さんでは、お願いします」って多治見夫妻と一緒に帰ることにした。


菜緒子達は、佐織のお兄さんが迎えに来るので、それに乗って帰るそうだ。帰り際に菜緒子が「例の話は後日ね」って別れた。


当然、後日菜緒子に呼び出されて、モデルの話をさせられた。でも苗字と名前が混合して私が苗字が変わったことはばれずに済んだんだ。


やっぱり神谷さんのアドバイスは的確で思ったよりスムーズに綺麗に出来上がった。「ひろくん。喜んでくれるかな・・・」







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