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文化祭(その後)

文化祭(その後)


呆然とした私の肩を抱きながらスタッフルームまで連れてきてくれた。ひろくんは「結衣。大丈夫か?」って聞いてきた。私はしばらく何も答えることができずただ呆然とするばかりだった。


そしてはっと気づき「彼は?・・・絵美の彼は?」って言いながら、ひろくんの胸の中に泣き崩れた。「うぅぅぅ・・・・」。


私はかすり傷一つ負っていない。絵美の彼氏がかばってくれたんだ・・・。彼のお腹に刺さったナイフから赤い血がにじんでくるのを思い出し又ひろくんの胸にしがみついて泣き崩れた。


ひろくんは私の頭をなぜて「大丈夫。彼は必ず助かる。」って言って私を抱きしめてくれた。


遠くでサイレンのことが聞こえた・・・・・・。




一方。体育館の会場では・・・。


澤田君がひろくんの指示により、岩田君の倒れていた場所を確保するように、周りに衝立を追加して現状を確保した。


学園長が慌てて現場に駆けつけて指示に当たると、騒然としていた会場にも静かさが戻る。


学園長は各責任者に「文化祭はただいまをもって中止いたします。」って伝えた。そして出入り口に居るガードマンに指示してお客さんを学園外へ出ないよう指示をした。


救急車が去った後、今度は警察官が到着した。稲波君が犯人を警察官に引き渡す。思わず警察官が「お前は・・・山田組の若じゃないかこんな所に居たのか」って手錠を掛けて連行されていった。


さらに刑事さんが現れて、学園長に事の事情を聞く。私の所にも女の刑事さんが尋ねてきたが、泣き崩れている私を見て困った顔をすると、ひろくんが「申し訳有りませんが後日にお願いします」って告げた。


刑事さんは「わかりました」って答え、頭を下げて返っていった。


園長室では、刑事さんが稲波さんや澤田君に事情説明を聞いていた。外ではお客さんの身分確認を行っている。夜になる前に学園内に潜んでいて山田組の子分が3名ほど見つかり逮捕された。



救急車で運ばれている中では絵美が意識がない岩田君の手を握り「直樹君・・・」って大粒の涙を流す。


病院に着いて彼がストレッチャーで運ばれている間ももちろん手を離すことはなかった。救急の医師や看護士達は、最初は由美の衣装にびっくりしたが(この時結衣と同じタイプのメイド服を着ていた)すぐに気を取り直し診察室へと運んで行った。


部屋に入るときに、看護士さんの杉崎さんが絵美の肩を支えて「ここは任せて頂戴。貴女は彼の無事を祈ってね。でも今日は長嶌先生が当直だから大丈夫よ」って彼女を待合室に連れて行く。(長嶌先生は外科ではNO,1の腕らしい)


そして彼女の衣装のどす黒い赤色を見てはっとするが「あなたの名前は」って聞く。絵美は「後藤 絵美です」って小さく答える。


看護士さんは「私は 杉崎 真弓って言うの、さっきの人は、彼氏?かっこいいわね・・・彼の名前は」って言う。絵美は小さな声で「岩田 直樹君」って絵美の頬が少し赤みを帯びた。


手術中のランプが点灯している中、少しずつ杉崎さんが緊張を解いてくれる。文化祭の内容や彼との出会いなどを話し少しは落ち着いてきた。


でも・・・手術時間が結構長い、もう三時間以上掛かっているようなのです。


「後藤さん」って呼ばれる・・・あ・・・澤田君達だ。澤田君に学園長さらに結衣や葵先生まで来てくれた。


学園長が看護師さんに「お世話になります。彼は安否は・・・」て尋ねた。彼女は「救急担当の杉崎です。今担当している先生は当医院のNO,1の腕です。安心して任せてください」っていった。


しばらくすると、手術中のランプが消灯する。中から手術着を着た男の人が現れた。


その人が開口一番「おや?ここはメイド喫茶かな?」って言う。杉崎さんが「長嶌先生!」って睨む。


長嶌先生が「真弓ちゃん損な顔をして睨まない。」って笑いながら「手術は無事成功しました。ナイフがかなり危険なところに刺さっていましたが、刺さったまま搬送した為大きく出血することを防いだようです。」って告げると。


全員がホット安堵の顔をする。先生が続けて話す「でも何方かですかなナイフを抜かないように指示した方は?良い判断でしたな」って言う。


おもわず澤田君が葵先生の方を見ると、葵先生が少し苦笑いする。


岩田君が運ばれてきてさらにICUに運ばれる。絵美が慌てて後を追う。


先生が「多少出血が多かったのでしばらくは意識がないですが数日もすれば意識は戻るでしょう」って言った後、去った行った。


全員でICUに向かうと、岩田君の両親も駆けつけてきた。学園長が両親に「このたびは、ご子息に傷害事件が起きまして、私の監督不行き届きでした。申し訳ありません」って言って、深々と頭を下げる。


岩田君の両親は無言で頭を下げた。そして澤田君が事情を岩田君の両親に説明する。


医師に説明をもう受けている両親はICU内でメイドの服を着て手を握っている絵美を見つけて「後藤さん。息子に付き添ってくれてそうね、ありがとう。後は直樹が目覚めるのを待つだけだから、迷惑かけるから帰っていわよ」って言ってくれるが、絵美は「彼が目覚めるまでここに居ます」って涙で目を腫らした状態で両親に訴えた。


両親は二人で顔を見合わせ、困った顔をする。ひろくんが「彼女に任せてやってください」って両親を説得すると、私も澤田君も同調した。


両親は夫婦で相談してお母さんが「貴方は会社があるから帰ってください。私と後藤さんで見守ります」って告げた。


皆で打ち合わせをして、二人を残して帰宅することにした。


私とひろくんは絵美の自宅によって彼女が彼と一緒に病院で泊まる話をして、絵美の着替えを持って病院へと引き返した。


絵美の両親は彼と結構深く付き合っていることを知っているらしくスムーズに泊まりの許可が出た。


病院に居る絵美に着替えを渡すと「結衣。ありがとうね」って言われる。私は「ごめんなさい。私のせいで岩田君がこんなになっちゃって・・・」って言うと。


絵美は「彼って正義感が凄く強いのよ、結衣でなくても一緒よ」って言ってくれた。岩田君のお母さんが微笑んで「結衣ちゃんって言うのかな絵美ちゃんの言う通りよ。気にしないで」って言ってくれた。


私とひろくんは「失礼します」って頭を下げてその場を離れた。


帰ってゆく途中で、岩田君のお母さんが、絵美に「彼女って可愛いわね。先生もカッコいいし」って話すのが聞こえた。


帰宅途中にひろくんの携帯に連絡が入り、学園長から「明日より三日間の休校を決定しました」って連絡が入った。


岩田君を刺した犯人は以前に私にちょっかいを掛けた、西邦高等学校を退学させられた山田君って事だった。


なんと山田君は学園の一人を仲間にして講堂の道具置き場に隠れていて、私を捉えるべく現われたらしい。


さらに山田君は覚せい剤にも手を出していたようで警察でも捜している状態だったらしい。これで山田組も壊滅に持ち込めるって話だった。


山田君を手引きしたうちの生徒は、なんと里美らしいって事だった。最近あまりひろくんにも、まとわり着かずあきらめたと思っていたところのこの事件だったので私はひっくりした。


彼女は職員会議に掛けられるって事だった。彼との仲が焦点でかなり、やばいらしい「彼女はたぶん自主退学するのではないかな」ってひろくんは言った。


ひろくんは「俺はたぶん会議が多くなるから、送り迎えは俺がするから、俺の実家に泊まってほしい」って言われる。


まだ一発逆転を狙って山田組が動いてるって事だった。私は「うん。わかったよ」って返事をした。


そして、しばらく間、ひろくんの実家に泊まる為の準備を整えた。


明日は実況見分があるそれが終わった後で送ってもらう予定なのだ。




絵美サイド


「キャー」っと悲鳴が上がる中、私は直樹君に駆け寄った。結衣をかばって、なんと腹部にナイフが刺さって居る。


「直樹君」って声を掛けると彼は結衣の無事を確認した後、私の腕の中で意識を失った。


じわじわと腹部から血がにじむ、おろおろとすると澤田君がナイフを抜こうとするが先生の掛け声で抜くのを辞めた。


しばらくすると、救急隊員が現われて直樹君を運んでゆく、私はあわてて後を追い「私が付き添います」って救急車に乗り込んだ。


救急車内で息も絶え絶え呼吸する直樹君を見て涙が止まらない「死なないで」って心の中で叫ぶ。


実は犯人が一番最初にナイフを向けたのは私だった。私と結衣は、ほとんど同じ衣装を着ているので、最初は勘違いしたようだ。


私に刃を向けようとしたが人違いしたようで突き飛ばされた。その後結衣を見つけて彼女を刺そうと近づいたところを直樹君が結衣のの前に立ちふさがったのだった。


病院に着くと救急の入り口にドクターや看護師さんたちが待ち構えて、すばやく治療室へと運んで行った。


看護士見習いの杉崎さんが私の相手をしてくれた。結衣達も駆けつけてくれた。結衣の顔を見ると派手に泣いていたようで目の周りが大きく腫れている。


後で着替えるときに私も鏡を見ると、結衣と一緒で、かなり目が腫れていた。私は両親に電話で直樹君に付き添うって無理やり説得した。


彼の両親も私が付き合っていることを知っているので無理をお願いして、付き添っていいようにお願いをする。


私の必死のお願いに彼の両親は折れてくれて、彼のお母さんと一緒に付き添うことになった。


彼は三日間眠り続けて三日目の朝に、私が手を握っているときに、目を覚ました。開口一番は「絵美。おはよう」だった。


私は、真っ赤にになり、最高の笑みと涙を浮かべて直樹君の顔を見て「おはよう」って言った。・・・その後あわててナースコールを押した。


結衣と葵先生は毎日見舞いに来てくれた。目が覚めてからは土日のどちらかには顔を出してくれた。結衣と先生って仲が良いようだ。


見舞いに来る結衣は病院内でも可愛いって評判で、見舞いに来ると何処ともなく人が集まってくるようだ。私と直樹君はいつも苦笑の連続になる。


結衣が「メイドの衣装のクリーニングが出来上がったから絵美のお母さんに渡した置いたよ」って言ったのを聞いた直樹君は「絵美ちゃん。お願いがあるんだけど」って言う。


「なに?」って聞くと、なんとメイドさんの服を着て看病して欲しいって事だった。私は「傷が治ってから」って真っ赤になって言った。


絵美サイド終わり




私が落ち着いたところで事件の経緯を聞かれた。私はほとんど訳が解らないので代わりに、ひろくんがしっかり説明してくれたからあまり聞かれることはなっかた。


私は身代わりの岩田君が気になり、ひろくんになるべく病院に連れてもらうことにした。


直樹君が三日目で目を覚まし意識が回復したらしい。おもわずほっとして少し胸の支えが取れた。


山田組は今回の事件で最終的なダメージを受け、解散に追い込まれた。里美は謹慎処分になったが結局自主退学することにしたらしい。


私たちは直樹君のお見舞いによく行ったが、直樹君は人気があるのか一杯人が病室を訪れる。直樹君と絵美は苦笑するばかりだった。


事件発生して二週間後にマンションに戻ってきた。そして、ようやく学園が正常に戻った。










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