ひな祭り
ひな祭りは・・・
2月26日にお義母さんに実家に来るように言われ一人でひろくんの実家に行き玄関の呼び鈴を鳴らすと・・・。
お義母さんが勢いよく玄関の扉を開けると私の腕を引っ張り中に入るとぐんぐん私の手を引っ張り日当たりのよい和室の前に連れて行かれた。
お義母さんが引き戸を開けると、眩いばかりのすばらしい雛人形が飾ってあった。私は頭の中は?でいっぱいだ。
お義母さんは笑顔で「ようやく娘ができたから飾ってみたかったの」「これは結衣ちゃんのために特別に作ってもらった物で」
「人間国宝の大塚 正美さんにお願いしてかなりの時間を掛けて製作してもらった物なの」・・・「きれいでしょう」
横にある立てに「葵 結衣さんへ 大塚 政美 作」って書いてある。
あまりにすばらしい出来のようで私には勿体無い。お義母さんに「私には勿体無いです」って言うと。
お義母さんは「私が好きでしたことなの近所にお披露目するから来週のひな祭りの日に又来てね」言って「今日は予行練習なの」って着物に着替えさせられ・・・。
段々飾りの前でいっぱい写真を撮られた。「う~ん やっぱりこれが目的?」
すこしは近所の人に声が掛けてあるらしく、しばらくすると数人が人形を見に集まってきた。よく考えてみれば人形でなくどうも私を見に来ているようだ。
近所の方から人形でなく私に質問が飛ぶ。
名前は? お年は?
私「結衣です」 「16歳です」
皆私の歳を聞いて目を白黒させてびっくりしている。
ひろくんのお嫁さんだよね、本当?
これはお義母さんが答えた「もちろんひろきのお嫁さんですよ、しかも現役女子高生なの、羨ましいでしょう」私の横で肩を抱いた。
私は恥ずかしくて、体中が真っ赤になった感覚になってしまいました。
ご近所さんは口をそろえて「「「奥様は16歳で女子高生」」」・・・「ひろきくん羨ましすぎる」
「しかもこんなに可愛くて礼儀正しいなんて・・・家の娘どもに言って聞かせなきゃ」って口々に言っている。
わたし猫かぶっているのに、ご近所さんの娘さんたちに悪いわって心で思った。
その後どこの高校?って聞かれたので「白鳥学園です、高校からの転入組みです」って答えたら、ご近所さんはなぜか納得している顔をしている。
そこでお義母さんが、まあまあそれくらいにしてお茶しましょう、結衣ちゃんよろしくねって皆で応接室へ移動した。
キッチンで夏休みにお義母さんから教えてもらった紅茶を入れてワゴンで応接室へ向かい来てくれた人に振舞う当然着物なので淑やかな仕草になる。
皆お義母さんに向かって口々に「おしとやかな娘さんでいっぱい自慢できるわね」って言われお義母さんはニコニコで機嫌がいい。
皆さんが帰った後に「結衣ちゃんご近所さんのお相手ご苦労様です。今日はありがとうね」って言われた。
夕食前にはひろくんが迎えに来てくれて家族で食事をした後で一緒に帰った。ひろくんは「お袋の相手ご苦労さん、結衣のおかげでお袋の機嫌がいい。ありがとう」って抱きしめていっぱいキスをしてくれた。おかげで疲れが飛んだ。
ひろくんの横で寝ながらひな祭りの日はどうなってしまうんだろうって今からドキドキになってなかなか眠れなかった。
よくよく考えてみると私は小さな雛人形しか飾っておらずそれも小学生ぐらいで飾らなくなってしまった記憶がある。明日裕子たちに聞いてみよう。
月曜日に学園で裕子たちに聞いてみるとほとんどの人が飾るのは小学生までのようだでも由美さんの家はいまだに飾っているそうで。皆でひな祭りの夜に片付けるので大変だそうだ。
むかしお母さんがこんなことを言っていた「ひな祭りを超えて飾ってあるとお嫁に行きそびれる」って言う話だ。そういえば私の家は3月3日の夕食前にお母さんが片付けた記憶がある。
だから私ってこんなに早く嫁入りしたんだって納得?しようと考えた。
バタバタしているうちに3月3日になってしまった。今日はひろくんと一緒にひろくんの実家に帰る。義両親は当然のごとくてぐすねを引いて私が来るのを待っている。
実家に着くと早速お義母さんに私の為の専用の部屋に連れて行かれ予行練習できた着物よりもっときらびやかな着物を帰させられて、ひな壇の前に連れて行かれた。
あれ?見たことがある人がカメラを構えている、それにレフ板を持った人も数人照明もついている一瞬ここはスタジオ?って錯覚しそうだ。
お義母さんはカメラマンと何か打ち合わせをしてから私のところに来てから「結衣ちゃんすこし特集用に撮るからよろしくね」ってひな壇の前に連れて行かれた。
カメラマンがパシャ・パシャ・パシャやたらとシャッターを切るポーズも注文が多い。私は「少し?ってどんな位?」頭の中は?でいっぱい。
一時間以上撮影は続きようやく終了の挨拶になった。ひろくんはそんな私を見て苦笑続きになっている。
応接間で休憩していると、撮影道具がばたばたと片付けられ、今度は・・・やっぱりご近所さんが一杯集まってきた。私はお義母さんと一緒に隣で一人ひとりに挨拶をする。
10人以上居る様ですごい事になりそう・・・。
全員が揃った所でお義母さんが私を紹介する。「皆さんこの子がひろきのお嫁さんです、温かく見守ってください。皆さんよろしくお願いします」私は「結衣と言います、ご近所の皆様よろしくお願いします」
ひろくんが「俺の嫁さんをよろしく」って全員で頭を下げて挨拶をした。
皆さんも「こちらこそよろしくね、余り固くならないように」「それにしても年末に少し見ただけだけど本当に若くて可愛い子なのね」「葵さんも本当によい子を貰ったみたいで、お幸せに」って皆さんからお祝いの言葉をいただいた。
今日の会はひな祭りだけなくご近所さんへの挨拶でもあったんだ。でも一杯お祝いの言葉を貰いうれしかった。
この後皆さんで雛井籠をいただいてお開きとしました。雛人形はすぐ片付けずしばらく飾るんだって、だって早くお嫁に行かないように?だって。
もうお嫁に来ているのに、ここから出て行かないおまじないかな?へへへ・・・。
私たちは夕食をいただいて帰路に着いた。後日撮った写真はお義母さんが私的目的に使うそうだ。
大人のひな祭りが終わった。結構疲れもした休日になった。