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バレンタインは嫌いだ

バレンタインは嫌い


今日はひろくんに渡すためのチョコケーキ作りをクラスメイトの薫の家にお邪魔してる。


メンバーは私と裕子と絵美のいつもの三人でこの時期は薫におんぶに抱っこで、頭が下がる。


薫の家のキッチンはお母さんがお菓子作りが趣味だけあって道具も一杯そろっている、薫はテキパキ作業を進める。


私と絵美はついて行くことが出来ない。「薫もう少し遅くやってよ!ついて行けないよ」私たちは根をあげた。器用な裕子も薫にはついていくのが精一杯だ。


薫は「も~そんなんでは彼氏に嫌われるよ」って笑った。そしてペースを落としてくれた。


私は赤くなり、裕子は「まだ告白してないから良いもん」って頬を膨らました。


薫の熱心な指導のもと、私はバレンタインのチョコレートケーキ定番中の定番ガトー・ショコラを完成することが出来た。


薫はハート型のチョコケーキで裕子と絵美はクッキー・ブラウニーをつくった。


私たちは「薫ありがとう感謝感謝しかありません」ってお礼を言いながらも


「来年もよろしく」ともお願いした。薫は苦笑しながら「仕方が無いわね」って言ってくれた。


バレンタインデーの2月14日は平日で、ひろくんは授業があるので早めに学園に出かけていった。





***************


俺は学園に着く早々に上野に待ち伏せされた。教員用駐車場にとめると。後ろ手にチョコを持った上野が駆け寄ってきた。


どうも一番乗りを狙っていたようだ。俺に向かって両手で包み紙を差し出して所で、A組の竹谷先生がゴルフに乗って職員用駐車場に入ってきた。


谷竹先生が降りてきてこちらを見ていたので、とりあえず俺は受け取ることにした。実は先週にB組の田石先生に対応を聞いていたので・・・。


田石先生いわく「無碍に断ると授業などに影響がで易いので、受け取ったほうがいいのですが、出来れはどなたかが見ている状態で受け取ったほうが無難です」って教えてくれていた。


だから俺は丁度谷竹先生が着たので、上野さんより受け取ることにしたんだ。


今日は極力単独にならないようにしようと心がけたが皆は俺が一人になるのを狙って渡そうとするみたいだ。それでも廊下や準備室で次々と生徒が現れてチョコを渡される。


渡してくる女子生徒は全学年に渡っており中学生からもかなりの人数から渡された。俺の席の準備室の角はチョコで一杯で今にも崩れそうになってしまった。


チョコを直接貰うのは久しぶりで悪い気はしないが受け取るたびに結衣の顔が浮かび苦笑するしかなかった。帰りに車に積み込むとトランクだけでは入りきらず後部座席も一杯になってしまった。


家に帰ると結衣があきれ顔で出迎えてくれた。大量のチョコも山を見て「どうするの?」って聞いてきたので、中のカードを抜いて知り合いのボランティアに委託する。まさかこんなになるなんて・・・。


俺は「チョコは家の冷蔵庫の中に入っているやつだけで十分だし、それしか正式には受け取らない残りは全部義理」って冷蔵庫に指を指して言ってやった。


案の定結衣は真っ赤になって食事の準備を始める。




*********


私は冷蔵庫の奥に見つからないように隠しておいてたガトー・ショコラを見られてしまっていたので。赤くなり、そそくさとキッチンに向かって食事の準備を始めた。


今日の食事は寒い日にすこし暖まる、湯豆腐をメインにした和食にした。実はこのレシピは以前ひろくんが連れて行ってくれた旅館の女将さんに教えてもらった料理だ。


実はひろくんに内緒で旅館を出る前に女将さんと電話番号とメアドを交換していて時々メールなどで交流がある。もちろんひろくんは知らない。女将さんとの秘密の交流をしている。


女将さんがパソコン通信でデーターを送ってもらっていて家庭用のレシピなどいろいろアドバイスをくれる私にとっても大切なお友達なのです。


私が料理の腕を上げたのは女将さんのレシピも一役買っている。


食事の後の休憩中に見つかってしまっていたガード・ショコラをデザートの出した。ひろくんは「おぉ、おいしく出来てるね」って言って口に運んだ。教えてくれた薫に感謝だ。



食べ終わったところで私はプレゼントの品を後ろ手に持ってひろくんに両手で差し出した。


「はい・これも」って、それは悩みに悩んで選んだチェック柄のネクタイだ。受け取って中を見て、ひろくんは「ありがとう、あす早速つけてゆくよ」って言ってくれた。


あとは大量に貰ってきたチョコに入っているカードを向き取りボランティアに委託できるように纏めた。それだけでも二人で3時間ぐらいかかった。


それでも全部チョコ関連でよかった。物が入っていたら処分に困るので助かった。


私は「ブツ・ブツ・ブツもうこんなバレンタインデーなんて嫌いだ!!」って大量にあるチョコの山に向かって嘆いた。結構部屋を占領している。


俺はカードの中身を読み、過激な内容が無いのを確認して「ほっと」した。俺も結衣と一緒の考えが浮かんだ。結衣はテーブルのカードの束を見てあきれた顔をした。


来年は何とか断る方法が無いかと・・・真剣に考えなければ。


もう・・・事務所に来た分は白石さんに丸投げしよう!!byひろき・・・。



後日裕子に「バレンタインの成果は」って聞くと、裕子は笑顔で顔を崩し両手で丸を描いた。私たちは手を握り合い「裕子おめでとう」って祝福をして皆で盛り上がった。



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