長い夏休み「はじめまして結衣です」
長い夏休み「はじめまして結衣です」(ひろくんの両親と)
今、ひろくんが彼の実家に向かって車を進めている。昔はよくひろくんの家で逢っていたはずなのに結構緊張している。
ひろくんがあと15分ぐらいで着くよって言われていっそう心臓がドキドキしてきた。
どうやって挨拶しようって考えているうちに、ひろくんが大きな屋敷に入っていった。
玄関で車を止めると、すこし覚えがありそうな綺麗な女の人が出迎えてくれた。
女の人はやはりひろくんのお母さんで、ひろくんは「お袋、ただいま。結衣を連れてきたよ」って紹介してくれた。
私は「結衣です。お招きありがとうございます。もっと早く来なければならないのですが申し訳ありませんでした」って挨拶した。
お義母さんは「まあ、結衣ちゃん大きくなってますます可愛くなったね」って両手を握ってきた。
私は、お義母さんに背中を押されて玄関を入ると、ひろくんのお父さんが出迎えてくれた。私は「結衣です」って頭を下げた。
お義父さんは「おぉ来てくれてありがとう、ひろきがわがままを言っているんじゃないかな」って言ってニコニコしている。
私は「そんなことはありありません。いろいろ手伝ってもらってます」って答えた。
少しドキドキが少し収まったようだ。リビングへ行き、現在のお話と昔のお話で花咲いた。
お義母さんは私のことを”可愛い可愛い”の連発で「ひろき!奥さんを夏休みの間少し貸して貰うわよ」って宣言した。私どうすればいいんだろう?
夕方お義母さんと一緒に夕食を作った。
お義母さんは「結衣のお母さんより何も出来ないって言ったけどそうでもないわね」って言われ、ひろくんの為に努力ことが認められた気がした。
お義母さんと私の両親とはツーカーの仲なので、言っていることには、うそでは無いのはリビングのお話で判っていた。私は、はにかみながら「うれしいです」って答えた。
結局、私は夏休みのほとんどを、ひろくんの実家で過ごす事になってしまった。
そのおかげで、私の料理の腕はかなりUPした・・・と思う。お母さんに教えてもらっていない、その他の家事も一緒に教えてもらった。
花嫁修業?・・・もう奥さんだからそうは言わないけど同じようなものだもの・・・。でもお義母さんの嫁の教育は楽しく一杯勉強になった。
あとはクラスメイトとは映画を見に行く程度で、夏休みの、ほとんどはお義母さんに振り回された。でもひろくんの両親は私を実の娘のように接してくれる。
がみがみ怒られたり、頭をなぜてほめられたりした。本当にいい義両親だ。ひろくんも安心してか、例の仕事に出かけているようだ。
私はよくお義母さんに、大きなデパートに連れて行かれ一杯いろんなものを買ってもらった。
お義母さんは「娘がようやく出来てうれしいわ」って喜んでくれた。でも私は、いろいろ着替えさせられ、着せ替え人形にさせられてしまった。
どうもこれが後に続く予行練習だったようなのだった。
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夏休みの中盤。私はお義母さんに連れられ、分けも判らず某プロダクションの写真スタジオに連れて行かれた。
おろおろしているとお義母さんが私をスタイリストに連れて行き、スタイリストさんに「よろしく」ってどこかへ行ってしまった。
スタイリストさんは「私はスタイリスト担当の粥川有希ですよろしくね」って言った。、私は、ばたばたと着替えさせられメイクするとスタジオに連れて行かれた。
スタジオに行くと青い垂れ幕の前に連れて行かれて、ここに居る様にいわれた。そしてカメラマンさんが私にポーズの指示をする。
お母さんが総監督をしているらしい。
カメラマンがお義母さんの指示により、私に命令し、いろんなポーズをさせられ、私を写すため次々とシャッターを切っていく。
私はストロボの中いわれた通りにポーズを取らされている。
私は、めがねを獲られストロボの光で周りが見えなく、いわれる通りにするしかなかった。又着替えも何回か着替えさせられもうわけがわからない。
撮影が終わり着替えるとお義母さんが「結衣ちゃんありがとう助かったわ」って家まで一緒に帰った。あわただしかった一日が終わった。
後でひろくんに言うと、ひろくんがお義母さんに理由を聞きにいった。
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俺は結衣に言われて、お袋のしたことを聞きに言った。
実はお袋は俺たちの教会での写真を見て、今度立ち上げる雑誌のモデルにしようと、俺たちが来るのをてぐすね引いて待っていたって打ち明けた。
結衣の撮影したモデルの写真データーを見せてもらったが、めがねを掛けて普段着の結衣とは別人のようで余りにも可愛くびっくりした。
お袋は「元がいいからどんな衣装でも似合うでしょ?これからは”ジュジュ”専属モデルよ、反論は無しね!」って宣言された。
お袋は言い出したら梃子でも動かない。諦めるしかなく「あまり結衣を引っ張りまわさない様に」って言うのが精一杯だった。
どうやって結衣を説得しよう・・・俺は頭を抱えた。
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ひろくんにモデルの件を言われ、私は「えぇ~」って言うことしか出来なかった。
翌日お義母さんに「昨日はありがとう。これからもよろしくね」って言われ、私は苦笑いするしかなかった。
夏休みの後半に、もう一度モデルをやらされて、あわただしくマンションに戻った。楽しかったけど大変でもあった夏休みだった。
さらには秋には白鳥学園のパンフレット作成に制服モデルもやらされた。
この制服モデルが私に災難?をもたらすとはこの時点では何も考えられなかった。