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1+はんぶんこ✕2  作者: 春野わか
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絆創膏 29

 ゆっくり歩いて行けば道の途中で宍倉さんと会うだろう。

 公園から宍倉さんちのマンションまでは三回折れるだけの単純な道のりで、別の近道はないし。ワタルくんは怪我をしてテンションが落ちてるし。


 大人だったら三十分くらいなら待ってられるけど小さい子には数分でも長いもんな。


「せんせい、幼虫」

「あ、そうだ!」


 始めに見つけた落ち葉のとこに幼虫を置いてきてしまった。

 二人で戻って探すと風で動いた落ち葉の下に幼虫がいた。


「よかった!」


 怪我して大泣きしたくせに幼虫のことは忘れないのが子供だもんな。

 けっきょく公園を出て宍倉さんちに向かうことにした。

 ワタルくんが公園に飽きてしまったのと、早くウチに帰りたいという様子がうかがえたから。


 エコバックを俺が持ってワタルくんが両手の上に大事そうに幼虫をのせて歩く。


「名前は何にしようかな」と、ワタルくん。

「うーん……」


 思い浮かばない。と、思ったらすぐに浮かんだ。


「ヘラクレス、はどうかな?」

「姫せんせい。すごい! うん。それがいい」


 ヘラクレスは子どもたちに大人気のアニメ、ポコッとモンスターのカブトムシ型のモンスターの名前だ。

 全モンスターの数は八百くらいいるらしい。

 三百匹くらいまでなら名前を暗記してた。


 始めに宍倉さん親子を見かけたスーパーの前も過ぎて、クリーニング店やラーメン屋、銀行のATM、整骨院が並ぶ広めの通りの先を曲がったら、マンションが見えるという辺りまで来てしまった。

 宍倉さんが公園を出て三十分くらいしか経ってないから、待たされてるってほどではないんだけど。

 自転車なら往復で十分もかからない。虫のケースを取ってくる時間込みで長めに見積もっても二十分あれば余裕で戻ってこれそうなのに。

 まさか何かあった?いやいや、ドラマじゃあるまいし。


 

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