絆創膏 26
「宍倉さんは虫が苦手なんですか?」
自然に親子の会話に滑り込んでいた。
「こんな白くて気持ちの悪い幼虫つかめる方が変なんだよ。姫せんせい、見た目によらねえな」
変なポイントで褒められた。
褒められてないのか?
「一応、保育士ですからね。子どもにとって身近なものは大抵さわれますよ」
こういうのも特技って言えるんだろうか。
「せんせい、この前ウンコさわってたもんね」と、ワタルくん。
「それは……」と、手に汗をかく。
「ウンコ……それはもっと意外だ」と、宍倉さんが頷く。
いつの間にか二人の間に挟まれて歩いてた。カブトムシの幼虫を手のひらにのせて。
「姫せんせいみたいなママがいればいいのにな」
俺の太ももに寄りそう小さな頭。
空色を映したピュアな瞳で訴えてくる。
冗談みたいな言い方に本気の顔で。
「え? ママ? パパじゃなくって?」
おおげざに驚いて笑いに変えようとした。ワタルくんの本気にキュンと胸を締め付けられたから。
「だってパパはもういるもん」
「あ、そうだね」
俺は女性から見ても男性から見ても女役なんだ。
まあ、それでも純粋に必要としてもらえるならいいけど。
諦めの笑みを口元に残したまま何気なく宍倉さんの方を向いた。
途端に注がれる真剣な眼差しに射貫かれる。不意打ちに息を呑んで息を止めた。
「……」
目も口も笑ってない。宍倉さんからほとばしる何もかもが熱い。結んでくれたマフラーを外して扇ぎたくなる。
「幼虫入れるケースを取りに戻りたい」
え、幼虫——ワタルくんのために。だから真剣な眼差し、なのか。なあんだ。
「あ、ああ。いいですよ」
一拍遅れて理解したくせに即答してしまった。用事があるって言えないくらいの用事だから。まあ、いっか。
どうせすぐに戻ってくるだろうし。「え? ママ? パパじゃなくって?」
おおげざに驚いて笑いに変えようとした。ワタルくんの本気にキュンと胸を締め付けられたから。
「だってパパはもういるもん」
「あ、そうだね」
俺は女性から見ても男性から見ても女役なんだ。
まあ、それでも純粋に必要としてもらえるならいいけど。
諦めの笑みを口元に残したまま何気なく宍倉さんの方を向いた。
途端に注がれる真剣な眼差しに射貫かれる。不意打ちに息を呑んで息を止めた。
「……」
目も口も笑ってない。宍倉さんからほとばしる何もかもが熱い。結んでくれたマフラーを外して扇ぎたくなる。
「幼虫入れるケースを取りに戻りたい」
え、幼虫——ワタルくんのために。だから真剣な眼差し、なのか。なあんだ。
「あ、ああ。いいですよ」
一拍遅れて理解したくせに即答してしまった。用事があるって言えないくらいの用事だから。まあ、いっか。
どうせすぐに戻ってくるだろうし。




