表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1+はんぶんこ✕2  作者: 春野わか
87/199

絆創膏 26

「宍倉さんは虫が苦手なんですか?」


 自然に親子の会話に滑り込んでいた。


「こんな白くて気持ちの悪い幼虫つかめる方が変なんだよ。姫せんせい、見た目によらねえな」


 変なポイントで褒められた。

 褒められてないのか?


「一応、保育士ですからね。子どもにとって身近なものは大抵さわれますよ」


 こういうのも特技って言えるんだろうか。


「せんせい、この前ウンコさわってたもんね」と、ワタルくん。

「それは……」と、手に汗をかく。

「ウンコ……それはもっと意外だ」と、宍倉さんが頷く。


いつの間にか二人の間に挟まれて歩いてた。カブトムシの幼虫を手のひらにのせて。


「姫せんせいみたいなママがいればいいのにな」


 俺の太ももに寄りそう小さな頭。

 空色を映したピュアな瞳で訴えてくる。

 冗談みたいな言い方に本気の顔で。


「え? ママ? パパじゃなくって?」


 おおげざに驚いて笑いに変えようとした。ワタルくんの本気にキュンと胸を締め付けられたから。

 

「だってパパはもういるもん」

「あ、そうだね」


 俺は女性から見ても男性から見ても女役なんだ。

 まあ、それでも純粋に必要としてもらえるならいいけど。

 諦めの笑みを口元に残したまま何気なく宍倉さんの方を向いた。

 途端に注がれる真剣な眼差しに射貫かれる。不意打ちに息を呑んで息を止めた。


「……」


 目も口も笑ってない。宍倉さんからほとばしる何もかもが熱い。結んでくれたマフラーを外して扇ぎたくなる。


「幼虫入れるケースを取りに戻りたい」


 え、幼虫——ワタルくんのために。だから真剣な眼差し、なのか。なあんだ。


「あ、ああ。いいですよ」


 一拍遅れて理解したくせに即答してしまった。用事があるって言えないくらいの用事だから。まあ、いっか。

 どうせすぐに戻ってくるだろうし。「え? ママ? パパじゃなくって?」


 おおげざに驚いて笑いに変えようとした。ワタルくんの本気にキュンと胸を締め付けられたから。

 

「だってパパはもういるもん」

「あ、そうだね」


 俺は女性から見ても男性から見ても女役なんだ。

 まあ、それでも純粋に必要としてもらえるならいいけど。

 諦めの笑みを口元に残したまま何気なく宍倉さんの方を向いた。

 途端に注がれる真剣な眼差しに射貫かれる。不意打ちに息を呑んで息を止めた。


「……」


 目も口も笑ってない。宍倉さんからほとばしる何もかもが熱い。結んでくれたマフラーを外して扇ぎたくなる。


「幼虫入れるケースを取りに戻りたい」


 え、幼虫——ワタルくんのために。だから真剣な眼差し、なのか。なあんだ。


「あ、ああ。いいですよ」


 一拍遅れて理解したくせに即答してしまった。用事があるって言えないくらいの用事だから。まあ、いっか。

 どうせすぐに戻ってくるだろうし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ