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1+はんぶんこ✕2  作者: 春野わか
83/199

絆創膏 22

「すいません……」


 宍倉父子の背中を追ってたら買い物客と接触してしまった。

 深く頭を下げてぶつかったのを謝り宍倉さんの方に視線を戻す。

 

「いない……」


 さっきまであった宍倉さんの自転車は二人と共に消えていた。

 驚いた声を出して気付かれてしまったと焦る気持ちもあったから、いなくなってホッとする。反面、空気が抜けたような物足りなさが残った。

 ジェイボードを積んでたってことは家に戻らずに公園に向かったんだろうな。

 俺は宍倉さんたちを見かけたから足を止めただけ。スーパーじゃなくて向かおうとしてたのは駅だ。目的を思い出す。

 だけど少し歩くと左側に公園が見えてきた。園児たちのお散歩で何度も連れてきたことがある。

 ジェイボードやサッカー、フリスビーが楽しめる広場と、遊具や憩いのスペースとで分かれてる。

 

 別に宍倉さんを尾けてきたんじゃない。

 駅までの通り道にあるんだし、ボール遊びができる公園は貴重だ。公園に関心を持つのは職業病のようなものなんだから。

 公園の入口で足が止まる。脇の駐輪スペースに並ぶ自転車の中を探して、さっき見た宍倉さんのを見付けた。

 やっぱりここで遊んでるんだ。


「だから何だよ」


 つぶやきを吐いて、反対側に顔をそむける。

 道路を挟んで入口のちょうど真ん前にある自販機に視線が向いた。

 この自販機の前を通ったとき、明るいライトのせいで泣き顔を見られてしまったんだ。

 よりによって。誰にも見られたくない。一番見られたくない姿を。


 これ以上、気持ちだけでも宍倉さんを追ってしまったらストーカーとの境が分からなくなってしまう。

 おまけでストーカーと誤解されたら立ち直れない。


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