絆創膏 22
「すいません……」
宍倉父子の背中を追ってたら買い物客と接触してしまった。
深く頭を下げてぶつかったのを謝り宍倉さんの方に視線を戻す。
「いない……」
さっきまであった宍倉さんの自転車は二人と共に消えていた。
驚いた声を出して気付かれてしまったと焦る気持ちもあったから、いなくなってホッとする。反面、空気が抜けたような物足りなさが残った。
ジェイボードを積んでたってことは家に戻らずに公園に向かったんだろうな。
俺は宍倉さんたちを見かけたから足を止めただけ。スーパーじゃなくて向かおうとしてたのは駅だ。目的を思い出す。
だけど少し歩くと左側に公園が見えてきた。園児たちのお散歩で何度も連れてきたことがある。
ジェイボードやサッカー、フリスビーが楽しめる広場と、遊具や憩いのスペースとで分かれてる。
別に宍倉さんを尾けてきたんじゃない。
駅までの通り道にあるんだし、ボール遊びができる公園は貴重だ。公園に関心を持つのは職業病のようなものなんだから。
公園の入口で足が止まる。脇の駐輪スペースに並ぶ自転車の中を探して、さっき見た宍倉さんのを見付けた。
やっぱりここで遊んでるんだ。
「だから何だよ」
つぶやきを吐いて、反対側に顔をそむける。
道路を挟んで入口のちょうど真ん前にある自販機に視線が向いた。
この自販機の前を通ったとき、明るいライトのせいで泣き顔を見られてしまったんだ。
よりによって。誰にも見られたくない。一番見られたくない姿を。
これ以上、気持ちだけでも宍倉さんを追ってしまったらストーカーとの境が分からなくなってしまう。
おまけでストーカーと誤解されたら立ち直れない。




