絆創膏 20
「ふう……」
掃除機をかけ終わり、インスタントコーヒーを入れて洗濯が終わるのを待った。
玲央のこと、考えても仕方がない。シモジマで見つからなかったときに考えればいい。
玲央の顔がブレて宍倉さんの顔に変わった。
だって、あの人はノンケだ。
半分だけの可能性もあるけど、あとの半分はノンケだろう。
そういう意味でもはんぶんこだ。
日暮里駅に向かう途中にスーパーがある。
家からは五分くらいの距離だから近い。
なのに休みの日しか利用しないのは、平日仕事帰りは保育園寄りにあるスーパーで買い物を済ませるから。
今日の夕飯は何にしよう。駅寄りのスーパーは肉が安い。生姜焼きやハンバーグが浮かんだけど、もっと違うレシピにも挑戦してみたい。
スーパーの前を通りかかって入口の方を見てギョッとした。
出入りする人たちの中に、一つも二つも抜き出た長身の、見間違いようのないツートンツーブロの宍倉さんを発見したからだ。
一瞬、俺は運命の出会いと錯覚しかけた。
休みの日にも会うなんて、と。
だけど考えてみたら、保育園の他の園児たちとも日暮里近辺で会うのは珍しいことじゃない。
保育園から日暮里駅の範囲までで生鮮食品を買える場所は幾つもあるけど、宍倉さんが利用しやすい範囲に絞るなら、ここと保育園の方の二つだけだから。
思わせぶりな態度ばっか。
いや、宍倉さんのせいじゃなくて俺に疚しい期待があるから、そう感じるのかな。
普通は何とも思わないのかな。
マイカちゃんママ達の会話を思い出す。
「宍倉さんの耳に入ったら……俺の場合は少しは当たってるけど、ネタにされてるの知ったら凄い怒るだろうし、きっと俺のことも避けるだろうな」
ブラックコーヒーを飲み干すと苦みがいつもより舌に残った。
男一人の洗濯物は少ないから、すぐに干し終わって家を出た。




