絆創膏 17
俺が花城先生を恋愛対象として見てないように、花城先生も俺のこと男として見てないんだもんな。その点は笑える。
俺の傷はえぐられるばかりだ。酷い傷跡に塩を塗られてさらに傷ついて。
ずっと癒えない傷に木枯らしがしみる。
だから夏のひまわりみたいな花城先生に温もりを分けてもらいたくなるんだ。
「俺はそこまで女性が集団でいるときの声は気になりませんよ。話の内容によるかな。おしゃれや、恋バナだったら別に。人の悪口言ってたらイヤですけど」
いつの間にか保育園から自宅までの距離の半分くらいまで進んでた。
「だけど女性がかたまって話してたから挨拶するのためらったんじゃないんですか? 女は男性が何人かいる中に入ってけますけど、男性は気にするでしょ? 特にマイカちゃんママは声が大きいですもんね」
違う。そうじゃない。そういう声の大きさじゃないし、女性の集団が苦手だったわけじゃない。
心ではそう思いながら「え、ええまあ。そうですね。花城先生の言う通りです」と、うわべで合わせた。
ママさんたちが何を話してたかなんて言えるわけない。
女性のネットワークは男よりも細分化されて広がって、どこで繋がってるか分からない迷路のようなものだ。
切れたと思うと違うとこで繋がってたり、切れたネットワークの情報を別ルートから吸い上げてたり。
怖い、怖い。
花城先生が悪い人じゃないのは分かってるけど、口が固いタイプじゃないし、天然だから悪気なく暴露されてしまう恐れがある。
けっきょく花城先生の徒歩に付き合って、
自宅近くで別れた。




