絆創膏 14
◇◇◇
職員用の駐輪場からチャリを引いて、表玄関の方に向かう。
もう十八時を過ぎてるから外はかなり暗い。保護者用の駐輪場の方から話し声が聞こえてきた。
「四歳とは思えないくらい大人びてると思わない? 親があんな感じでシングルでも子どもはマトモに育つのねー」
「でもさ、子どもらしさがないって気にならない?」
「え? どういうこと?」
「だから、虐待されてて自分を出せないだけかも、なんて」
会話の内容がはっきり聞こえる距離まで近づいて、ぴたりと止まる。
主語が抜けてても分かる。
宍倉さんとワタルくんのことだ。
それに駐輪場はライトで照らされてて明るい。立ち話をしてるのはマイカちゃんママと、良くつるんでるサナちゃんママとユイトくんママの二人だった。
とっさに息を潜める。幸いこっちは暗くて、話に夢中なママたちに気づかれる可能性は低そうだった。
思いがけず、悪口に近い噂話に遭遇して停止してしまったけど。
聞いてるうちに腹が立ってくる。
ホントなら注意してやりたいところだ。暇なんだろうか。良く知りもしない相手のことをネタにして盛り上がれるなんて。しかも自分たちの子どもを連れてるのに。
注意しないと。ママたちの会話が途切れた。今だ。半歩前に踏み出す。
「そういえば、BLって知ってる?」
「知ってるわよ。ヤダあ。もう、朝のアレのことでしょ?」
ママたちの声がひときわ高くなる。
BL?朝のアレ?浮いた足の裏を元の地面に着地させた。
「姫先生、可愛いから。朝、二人で見つめ合って話してるとこ見るとさあ」
「リョーさん見た目は芸能人みたいにイケメンだもんね。姫先生と並ぶと、もうBL!」
「妄想じゃないんじゃない? リョーって呼べなんて絶対おかしいって。うちらのことはギって睨むくせにさ。姫先生を見つめる目はどう見ても優しいもん」
「姫先生、リョーさんに何か言われて顔赤くしてたしね。ホントに告白されちゃったかも?」
笑い声が響く。




