絆創膏 13
マイカちゃんママが、クラスの大半の保護者のことを下の名前で呼んでることや、休日も連絡して子ども同士を遊ばせたり、ハロウィンや誕生日には、しおりまで作って大勢の子どもを招いてパーティーをしたり。耳に入ってきても、園ではそういうのを禁止してないから注意はできない。
「出席率が多いのは悪いことではないんですけどね」
これ以上は漆原先生も言えないようだ。
実際に何かトラブルが発生してるわけではないんだよな。水面下では、モワモワした何かが漂ってるけど。
「新しく入った宍倉ワタルくんは特に問題なさそうですか? お父さんの外見が派手で個性的だから、ちょっと気にする保護者の方もいるようですけど」
園長先生の発言にドキっとする。漆原先生の影に隠れて俺はちょっと置物になりかけてた。
「気にする、というのは? 悪く言う保護者がいるということですか?」
陽だまりで昼寝をして目覚めたら、極寒の地に飛ばされていたような冷えた空気が胸に吹いた。
「まあ、悪くというわけではなく。新しく入ってきたばかりで目立つ容姿なので話題にのぼりやすいというだけですよ……」
「ワタルくんはホントにいい子ですよ。四歳とは思えないほどしっかりしていますし」
体に力が入ってるのが自分でも分かった。
顔や口調には表れないように頑張ったけど、手には少しだけ汗が滲んでた。
ワタルくんは受け持ってるクラスの生徒なんだからかばうのは当たり前だ。
でも、かばいたいのはワタルくんのことじゃなくて──
「問題ないならいいんですよ。ただ、私もまだ把握しきれてないので聞いてみただけですから」
園長先生はそれ以上追及はしてこなかった。だけど打ち合わせが終わった後も、退勤時間を迎えるまでモヤモヤした感情を引きずることになってしまった。




