絆創膏 7
メッセージ入力欄でカーソルが点滅してる。何かを入れろと言ってるみたいに。
同じようなカラービニールを浅草橋やネットで見つけられても、全く同じものは作れない。
漆原先生にはバレるだろうし、作り直した理由も追及されるだろう。
自宅にあったハギレを足したのが今となっては失敗だった。
親指が動いて引っ込んだ。
「もう少し……もう少しだけ日にちを置いてから」
連絡も削除もブロックも、今はできない。
ネットの同性愛者の出会い系にも登録したままで、メッセージもコメントも残ってる。
衣装のこと、聞くだけ聞いてみようか。冷たい返信ならそれでもいいし、無視されるならそれでもいい。
これ以上、あの時のこと謝るのも変だけど。
俺と玲央とでは犯した罪の内容が違うから。
でも、謝って済むならそれでいい。
「はあ……」
そうだ、お腹空いてたの忘れてた。夕飯作ろう。冷蔵庫にあるものでチャーハンとオムレツでいいや。
キャベツとモヤシで野菜炒めも。
テレビを付けようとして止めた。
映像より音に浸りたい。
耳にイヤホンを突っ込んで現実世界を遮断する。
鶏ガラと塩胡椒の香りにお腹から元気になっていく。
ダニエル・パウターのBad Dayを繰り返し流しながらフライパンを揺らした。
◇◇◇
「おはようございます。アキトくん、元気になって良かったね」
デートの日に吐いてしまったアキトくんが登園してきた。連絡帳に書かれた経過と、病院の診断内容を聞いて受け入れる。ただの風邪だったようだ。
「あ……」
アキトくんママの後ろに周囲の視線を集める長身の宍倉さんの姿が見えた。
昨日よりも登園が早い。
教えた通り、廊下のフックに汚れ物入れや上着を掛けている。
そちらを気にしながら他の保護者の対応と園児の受け入れを急いだ。




