絆創膏 6
「どうしよう。やっぱ明日、浅草橋のシモジマ辺りで似たのを探してくるか」
ご飯作る
両腕を上げて伸びをして、文字が大きくて見やすい実用重視の壁かけカレンダーに視線が動く。
十一月の十六日に赤丸が付いてる。人生で最高に幸せな日になると思ってた。
なんだか遠い昔みたいだ。
玲央に会おうって言われたとき、水曜日に?って思ったけど、早く会いたくてオッケーして。向こうもそういう気持ちでいると思ってた。
でも金曜日なら土日も一緒に過ごせるのになって少しだけもったいない気がした。
だけど結果から見ると水曜日で良かった。
金曜日に会ってたら、予定のない土日を一人暗い顔で過ごす羽目になっただろうから。
「明日は金曜日か」
けっきょく水曜日でも金曜日でも辛いんだ。
スマホの画面に視線を落として、しばらく無言。
人差し指が画面上で迷って、おずおずとラインアプリをタップする。
トークに並ぶアイコンの一番上が漆原先生というのが泣けて笑える。
彼女のこと悪く言えない。分かってた。
ゲイで彼氏がいない俺なんかが。
彼氏がいないのが不幸なのか、ゲイであること隠してるから必然的に交際範囲が狭いのか。
どっちもなのか。ゲイな上に性的被害者というトラウマがあるから難解なのか。
ともかく、漆原先生の下にあるアイコンは玲央だ。背景が海で横顔がシルエットになってる。
やっぱりかっこいい。
あれからメッセージは届いてない。届いてたら怖いけど。
トーク画面を開いてみる。
最後のトークは、こっちからの「新宿に着いた」、返しの「りょ」のスタンプ。
コールしてるときに抱きしめられたんだった。




