絆創膏 2
「まったく同じもの、ですか。うーん」
小さな顎に指を当てて首を傾げる。リスみたいな可愛さだ。俺がノンケなら──
「同じものは難しいかもしれないけど、浅草橋だったらあるかもしれませんよ」
「ああ、そっか。シモジマなら」
浅草橋ならその手のパーティ系小物、工作グッズ扱ってる店が多いから似たようなの見つけられるかもしれない。
考えてみたらビニールなんて色さえ同じならどこで買っても大差ないもんな。
気持ちが一気に軽くなった。
これで玲央とドロシーの衣装は別問題と切り離して取り組める。
一応はラブホに問い合わせてみようとは思うけど。
「材料足りないんですか?」
「……衣装をどっかに置き忘れてしまって」
「ええ!」
「漆原先生には言わないでください」
「もちろんです」
嘘吐くのに疲れてた。
花城先生ならいいやと、置き忘れたこと打ち明けたら、可愛く拳をぎゅっと作って秘密を約束してくれた。
花城先生と時間をずらして保育園の外に出る。
彼女は話しやすいけど、駅まで三十分も並んで歩いて、流れでカミングアウトしてしまうのは避けたいから。
先生たち個人個人に差別感情がなくても、保育園という場でオープンにした結果、新たな偏見が生まれるのが怖かった。
世の中の決まりごとは多数派に合わせて設定されてる。
だから少数派のために新たな決まりが作られたり役割を変えられることは一般的にはメンドーなことなんじゃないのか。
メンドクサイ。
何て残酷な響きなんだろう。
ゲイに限らず社会の枠にはまれない少数派は、普通に生きるだけのために倍も三倍も我慢しなきゃならない。
昔からの決まりに守られてる人達は、ソファに寝そべって規則の根源を知ろうともせず、変えようとも思わない。
自分に関係ないことに首を突っ込むのも関わるのもメンドーだから。
多数に保障されてる権利を与えられず、規則で弾かれて生き場所を失う人間さえいるというのに。
少数意見は大勢に潰されてしまいがちだから、声を大きくするとその主張がワガママに映ってしまう。




