絆創膏
宍倉さんのお迎えは十八時過ぎだから、帰りは顔を合わせることなくエプロンを外して仕事を終えた。
人手が足りてて何か起こらない限り、土曜出勤も平日残業も発生しない。
俺は平日毎日十八時までの勤務。
顔を合わせるのは朝の決まった時間だけ。
昨日までは互いに名前も知らないうちのことだから、偶然が重なってるように感じたけど。
これからは顔見知りだから、道で会ってもインバクトは薄まってくだろう。
つまり始めに感じた運命も、たまたまという言葉に置き換えられるんじゃないかってこと。
「姫せんせい、なんか疲れてます?」
「すこし寝不足で」
花城先生と帰りもロッカー室で一緒になった。
聞かれるの花城先生で何人目だろう。
適当な理由で返すのにも慣れてきた。
「愚痴聞きますよ。同性じゃないから言いづらいかもしれませんけど。なんなら今日、飲みに行きます?」
ストレスと決めつけてるけど当たってる。
ありがたいけど、苦い酒の次の日にまで飲みたくない。
酒で忘れるどころか飲んだら余計思いだしちゃう。
それに酒の力を借りたって、オープンにできるほど傷も癒えてない。
せっかく心配してくれてるのに、すごく申し訳ない。
「すみません。今日はちょっと」
駅前に停めたチャリも取りに行かなきゃならないし。
「あ、そうですよね。寝不足なら今日は早く寝た方がいいですもんね。じゃあ飲みはまた今度」
「花城先生……その」
花城先生が髪を結んでる二つのゴムを外して出ていこうとするのを呼び止めた。
「なんですか?」
「学芸会の衣装に使うカラービニール。まったく同じ物、売ってるとこどっか知りませんか?」
祈る思いで聞いてしまった。




