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1+はんぶんこ✕2  作者: 春野わか
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玲央と亮輔  35

「あのね。パパは半分こなんだって。だから弱いんだって」


 ワタルくんの声で巻き戻しが中断した。


「はんぶんこ?」


 幼い子どもの表現は常識に縛られてないから独創的でユーモラスだ。

 たまに哲学的でハッとさせられたり。

 そのぶん伝えたい内容を理解するのに時間がかかるんだけど。


「うんとね。僕はいちにんまえなんだって。パパは僕は強いって言ってる」


 一瞬、考えて理解した。はんぶんこ、というのはきっと半人前という意味なんだろう。


「そっか」


 半人前の間違いじゃないかな、とは口にしない。

 それよりも宍倉さんは何で自分を半人前って言うんだろう。


「大人で半分この人は余りいないんだって。だから、あと半分こあれば、一人前になれるのにってパパは言ってるんだよ」


 それってシンパパだから?

 シングルの理由で多いのは離婚だ。だから離婚したんだって思い込んでた。

 シングルに対して偏見というのを持つ人は今時少ないとは思うけど。

 でもやっぱり生活面での大変さや、理由を言いづらいとか多少はあるんだろうし。

 子どもに申し訳ないという気持ちから半人前だとか弱いって発言に繋がったのかな。

 死別なら悲しい。

 

 宍倉さんに、俺は心の深い部分をさらけ出すことはないと言い切ったけど。

 強そうに見えても根っこでは不安を抱えてるのかもしれない。


「はんぶんこかあ」


 後悔が膨らんで呟いた。

 自分もそうだ。成人してるのに半人前だ。

 ワタルくんははんぶんこと間違えて覚えてしまっただけかもしれないけど。

 はんぶんこという言葉はとても優しく響く。

 誰かと分け合うなら、その半分には一人占めよりもずっと価値がある。

 机の上に視線を落とすと、紙飛行機が完成していた。

 今日の空の色のような、キレイな紙飛行機が。


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