玲央と亮輔 33
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朝の体操の今日の曲は子どもたちにも大人気の「秘伝ソーメン体操」だ。
明るくてリズミカルで、ソーメン食べたいと歌ってるとお腹が空いてくる。
全身大きな振りで伸ばしたり、飛んだり、縮んだり。
汗を流して子どもたちに笑顔を振りまいてるうちに心の雨雲が消えていた。
「ワタルくん縄跳びやる?」
「うん」
体操が終わって外遊びの時間。ぽつんと一人残されたワタルくんに声を掛ける。
四歳くらいになると仲良しグループで固まってきて、男女で分かれて遊ぶことも増えてくる。
〇歳児からずっと卒園まで一緒の子が大半だから、幼いなりに輪に入りづらいと感じてるんだろう。もちろん、始めのうちだけだけど。
「おーい! 縄跳びやる人ー」
長縄持って大声出すと、散らばってた子たちが集まってきた。
大きく回して、次々と入って跳んで縄から抜ける。
何回も続くとみんな夢中になって汗を滲ませる。
ワタルくんの顔にも笑顔が浮かんでた。
良く似てる。顔のサイズを小さく、寸を短かくして目を大きくして幼な顔にしただけ。
笑ったらこんな顔になるのかな。亮輔さんも。
「姫せんせーい」
漆原先生の声でハッとした。
ワタルくんの笑顔にほんわかして。
その幼い姿に思わず重ねた顔はーー
今、心の中で、亮輔さんて言った。
「姫せんせーい。外遊び終わりの時間ですー」
自覚して胸がドキドキする。
心の中で言っただけだ。誰にも聞かれてない。
口に出してない。絶対に。
「みんな時間だから、そろそろ教室に入るよー」
外遊び終了を叫んで子供たちを手招きする。
早くも服の汚れが目立つ子もいた。
手洗いをさせて汚れの酷い子の服を着替えさせる
「姫先生、発表会の役なんですけど」
「あ、ワタルくんの役ですよね」
オズの魔法使いの配役は担任が人数を割り振って子どもたちに好きな役を選ばせてる。
「セリフが多いと大変でしょうし、園にも慣れてないから出番の少ない役の方がいいかもしれませんね」
漆原先生の意見も分かるけど。
「でも練習は始まってませんし」
「ともかくワタルくんに聞いてみてください」




