玲央と亮輔 20
「そういえば、昨日どうでしたあ?」
うわ。何で知ってるんだ。
「ど、どうって……」
どこまで知ってるんだ。花城先生は実は魔女なのか。
「え? もしかして……アキトくんママお迎え来れなくて、そうとう遅くまで残ってたとか?」
「あ! アキトくん。え、違います。花城先生が帰ったあと、わりとすぐに迎えきました。アキトくんもママの顔見て少し元気になって」
そうだよ。花城先生が玲央のこと知ってるわけない。
聞かれてすぐにアキトくんのことと気付かないなんて。保育士として失格だ。
昨日のこと引きずってちゃダメだ。
「良かったあ。もちろん今日はお休みでしょうけど」
「そうですね。でも、子どもはすぐ熱出ますけど回復も早いから」
話しながら屋内の扉を開く。
「あれ? 今日は歩きですか? 自転車は?」
油断したところで無邪気なカウンター。ホントに悪気ないんだけど、悪気ない分、漆原先生よりも強烈だったりする。
「あ、その。昨日はちょっと用事があって」
嘘をうまく吐ける才能が欲しい。自分では見えないけど顔色が虹色に変化してそう。
どうしよう。追及されたら。
「そうそう、昨日はすっごくスマホ気にしてましたもんね。もしかして、デート、かな? って」
のぞき込むように見つめられる。澄んだ瞳がかえって悪意のように俺を追いこむ。
「まさか……俺に限ってそんなわけないじゃないですか」
俺に限ってって。どんな自信なんだ。
「ええ? あ、でも言われてみれば姫先生が女性とデートしてるとこ想像できないかも。うーん。だって女子より可愛いですもんね。どっちかっていうと、男性と歩いてる方がしっくりくるかな。きゃっっ! それだとBLになっちゃう」
エプロンで顔下半分隠す萌えポーズ。ノンケなら熱く悶えるんだろうな。
俺には効果ないけど。
でも、けっこう失礼なこと言われてるのに憎めない。天然だからかな。




